現行の最高出力330psから340ps前後まで引き上げる可能性も
ホンダのモータースポーツを象徴する「HRC」が、市販車の世界でも存在感を一気に高めようとしている。その中心的な存在となりそうなのが、『シビック タイプR HRC Concept』だ。

同車は2026年1月の「東京オートサロン2026」で世界初公開された。ベースとなるのは現行FL5型『シビック タイプR』。Honda Racing Corporation(HRC)がモータースポーツで培った技術やノウハウを投入し、「究極のピュアスポーツ性能」をさらに引き上げることを狙ったコンセプトモデルである。

市販化はまだ正式発表されていない。しかし、入手している情報では2027年にも「シビック TYPE R HRC」が設定される可能性がある。
注目したいのは、単なるエアロパーツ装着車では終わりそうにないことだ。
HRC Conceptのフロントには大型化されたセンターインテークを配置。左右には2本のフィンを備えたエアガイドを設け、さらに前方へ大きく張り出したリップスポイラーを組み合わせている。冷却性能と空力性能を強く意識したデザインであり、通常のタイプRとの差は明確だ。
今回制作した予想CGでは、このHRC Conceptが市販仕様へ発展した姿をイメージした。
コンセプトモデルの特徴を残しながら、フロントバンパーやグリル、エアインテークを量産車として成立する形へ再構成。大型インテークや専用リップ、コーナーフィンを採用するほか、リアには大型ウイングと専用ディフューザーを装着した。
専用ホイールやHRCを象徴するアクセントなどが加われば、外観だけでもタイプRの頂点に位置するモデルであることを強烈に主張することになるだろう。
そして市販化を考えるうえで重要になるのが、その登場時期だ。
入手している情報によれば、シビック タイプRは2026年9月にも改良を受ける可能性があるという。フロントまわりやインフォテインメント、走行性能などに手が入るとみられ、TYPE R HRCが2027年に投入されるなら、この改良モデルがベースとなる可能性が高い。
つまり通常のタイプRを進化させ、そのさらに上にHRCを置くという構図だ。時期的にもTYPE R HRCはFL5型の集大成となるモデルになり得る。
では、市販仕様はどこまで過激になるのか。
パワートレインには現行タイプRと同じ2.0L直列4気筒VTEC TURBOを継続するとみられるが、HRC専用のECU制御や吸排気系の最適化などによって、現行の最高出力330psから340ps前後まで引き上げる可能性がある。
ただし、TYPE R HRCで重要なのは最高出力だけではないだろう。
専用セッティングのサスペンション、強化ブレーキ、鍛造ホイール、カーボン製パーツなどを投入し、20~30kg程度の軽量化も期待できる。パワーアップよりも、シャシー、空力、制動、軽量化を含めた総合性能を引き上げることで「究極のFF」を狙うモデルとなりそうだ。なお、これらは現時点での情報やHRC Conceptをもとにした予想で、正式な市販スペックではない。
価格も気になる。現行タイプRを大きく上回り、700万円前後まで上昇する可能性もある。限定生産となれば、世界的なタイプR人気を考えても争奪戦になることは想像に難くない。
だが、このクルマでもうひとつ見逃せないのが「HRC」という名前そのものだ。
HRCはF1やMotoGP、SUPER GTなど、ホンダのモータースポーツ活動を担っている。また、近年は「HRC Performance Parts」などを通じ、市販車との距離を縮めている。
そして東京オートサロン2026では「HRC-spec models」を新たなラインアップとして掲げ、シビック TYPE R HRC Conceptとともに『プレリュード HRC Concept』も公開した。
トヨタには「GR」、日産には「NISMO」があり、いずれもレース活動で培った技術やブランドイメージを市販車へ積極的に展開している。ホンダにとって、その役割を担う存在がHRCになる可能性が出てきたわけだ。
もし2027年にシビック TYPE R HRCが市販化されれば、それはFL5型タイプRの集大成というだけではない。
「HRC」の名を冠した高性能市販車が本格的に走り始める。その第一歩となる可能性がある。




