iX3 M60は前後アクスルにモーターを配置するAWDで、最大の技術的ハイライトは、新開発された「第6世代(Gen6)EESM(Electrically Excited Synchronous Motor:巻線界磁型同期モーター)」をリヤアクスルに採用した点。永久磁石を使わず、ローター側のコイルに電流を流して電磁石として機能させる構造だ。これに新開発のステーターと、従来(300A)から電流容量を大幅に引き上げた「420A」の高出力インバーターを組み合わせている。

従来のハイパフォーマンスBEVは、トルクを稼ぐために強力なレアアースを用いた永久磁石同期モーター(PMSM)を用いることが主流である。いっぽうでEESMは、ローターの磁界を励磁電流によって調整できるため、走行条件に応じた効率の最適化が可能であり、高回転域でも出力を維持しやすい。ただしPMSMとは異なり、永久磁石を必要としない一方、ローターの励磁機構や励磁損失を伴うなど、それぞれにトレードオフがある。

リヤモーターユニット
リヤモーターユニット
リヤモーターユニット

BMWは、Gen6 EESMにおいて800 Vアーキテクチャのもと、420 Aに大容量化したインバーターを採用し、リヤ駆動系の出力・トルクを高めた。インバーターにはいよいよSiCを用いて高効率化を図っている。ギヤボックスはGen5同様のはす歯車式2段変速だが、低摩擦化とNVの対策がなされ効率を高めた。もちろん、モーター、インバーター、トランスミッションを一体のハウジングに収めた構造としている。

いっぽうのフロントモーターは誘導電動機(ASM)を装備。ローターは金属製のケージ形状。つまり、前後の駆動モーターに永久磁石を用いない構成としている。

フロントモーターユニット
フロントモーターユニット
フロントモーターユニット

【iX3 M60:主要スペック/数値】
・最高出力:450 kW(612 hp)
・最大トルク:875 Nm
・インバーター容量(リヤ):420 A(従来システムは300 A)
・バッテリー総電力量:108.7 kWh
・最大充電出力:400 kW(800Vアーキテクチャ)
・航続距離:最大754 km(WLTP)
* 数値は暫定

2027年春より、ハンガリーのデブレツェン工場にて量産開始予定。