FIAT Grande Panda Hybri

初代パンダの魅力を受け継ぎ、現代のコンパクトSUVへ

フィアットから新型コンパクトSUV「グランデ パンダ ハイブリッド」が登場した。2026年10月16日に日本で発表され、11月7日から販売を開始する。

そもそもパンダとは、どんなクルマなのか。その歴史は1980年にまでさかのぼる。初代パンダを手掛けたのは、世界的な工業デザイナーのジョルジェット・ジウジアーロ。直線を基調としたシンプルなフォルムに、限られたスペースを最大限に活用する合理的な設計を取り入れたコンパクトカーとして誕生した。

装飾を抑えた機能的なデザインでありながら、どこか愛嬌があり、親しみやすい。そんな独特のキャラクターが支持され、世代を重ねながらフィアットを代表するモデルへと成長してきた。

今回、日本に上陸したグランデ パンダは、パンダの名を冠する4世代目のモデル。初代から続く実用性と遊び心を受け継ぎながら、現代のライフスタイルに合わせたBセグメントのコンパクトSUVへと進化している。

注目したいのは、その絶妙なサイズ感。ボディサイズは全長4010mm、全幅1765mm、全高1630mm。車名に付けられた「グランデ」は大きいという意味だが、全長はわずか4mほど。日本の道路事情でも扱いやすいサイズに収まっている。

一方で、2540mmのホイールベースとスクエアなボディ形状を活かし、室内には十分な居住スペースを確保。ラゲッジ容量も通常時で412L、後席を倒せば最大1366Lまで拡大できる。普段の買い物から週末のアウトドアまで、幅広いシーンで活躍してくれそうだ。

大きなSUVは必要ないけれど、実用性は妥協したくない。そんな人にとって、このサイズ感は魅力的なポイントになるだろう。

全長4010mm、全幅1765mm、全高1630mmという扱いやすいサイズ。スクエアなボディに力強いフェンダーを組み合わせ、コンパクトながらSUVらしい存在感を発揮する。垂直に近いリアエンドと大きく張り出したホイールアーチが特徴。リアゲートの立体的なPANDAロゴやブラックのバンパーが、遊び心とタフな雰囲気を演出する。

未来感あふれる外観は、純正とは思えないほど個性的

そして何より注目したいのが、そのデザインだ。

基本となるのは初代パンダを思わせるスクエアなフォルム。しかし、単に昔のデザインを再現したわけではない。直線的なボディラインに張り出したフェンダー、樹脂製のホイールアーチなどを組み合わせ、SUVらしいタフな雰囲気を演出している。

特に印象的なのがフロントフェイス。ブラックのグリルからヘッドライトへとつながる四角いグラフィックは、デジタル画像のピクセルをモチーフにしたもの。1980年代のレトロゲームを思わせるデザインでありながら、どこか未来的な表情を見せる。

さらに、FIATロゴをあえて中央からずらして配置するなど、一般的なクルマとはひと味違うアプローチも面白い。

ボディサイドには、大胆な「PANDA」の文字をレイアウト。単なるステッカーではなく、ボディパネルそのものにプレス加工した立体的なレタリングというのもユニークだ。Cピラーには見る角度によってFIATロゴと4本のラインが切り替わるグラフィックを採用するなど、細部にまでこだわりが詰まっている。

上級グレードのラプリマには、幾何学的なデザインを採用した17インチアルミホイールも標準装備。まるでカスタム好きが自分好みのパーツを選び、細部まで手を加えたようなスタイルが、最初から完成しているのだ。

ピクセルをモチーフにしたLEDヘッドライトとグリルが一体感を演出。直線的なグラフィックが、初代パンダを思わせるレトロな雰囲気と未来感を絶妙に融合させている。
縦型のリアコンビネーションランプには、立体的なピクセルデザインを採用。ブラックのガーニッシュとの組み合わせで、スクエアなリアビューに未来的なアクセントを加えている。
上級グレードのLa Prima(ラプリマ)に標準装備される17インチアルミホイール。幾何学的な切削デザインとブラックの組み合わせが、足元に力強さと都会的な雰囲気をプラスする。

まるでカスタムカー!? 内装の作り込みには驚かされた

発表会で実車を見て、エクステリア以上に印象に残ったのがインテリアだった。

最近の新型車は、素材やカラーリングにこだわったモデルが増えているものの、全体的にはシンプルでモノトーンを基調とした、落ち着いたデザインが主流。機能的で洗練されている反面、少々味気なく感じることもある。

ところがグランデ パンダは、そんな流れとはまったく違う。

室内の基調色にはタスマニア ブルーを採用し、ダッシュボードやディスプレイまわりには鮮やかなイエローを大胆に配置。さらに、シートの形状やステッチ、助手席前のダッシュボードに至るまで、独創的なデザインが随所に取り入れられている。

特にユニークなのが、ダッシュボードやディスプレイまわりの楕円形のデザイン。これはフィアットの故郷、イタリア・トリノにある旧リンゴット工場の屋上テストコースから着想を得たものだという。

四角いボディとは対照的な丸みを帯びた造形が、室内に柔らかな雰囲気を生み出している。

シートにも専用のレタリングが施され、デジタルメーター内には初代パンダのシルエットまで隠されている。どこを見ても遊び心があり、思わず細部までチェックしたくなる。

カスタム好きなら、内装のカラーコーディネイトや素材選びにこだわった経験があるはず。グランデ パンダは、そんな自分好みの空間づくりを、メーカー自身が思い切り楽しんでいるかのようだ。

タスマニアブルーを基調に、鮮やかなイエローをアクセントとして採用。楕円形のディスプレイまわりや独特なシート表皮など、純正とは思えないほど遊び心にあふれた空間だ。
助手席前には、天然竹繊維を約33%配合した専用素材を採用。動物のパンダが好む竹と車名を掛け合わせた、なんともユニークな発想。環境への配慮とデザイン性を両立している。
ブルーのドアトリムには斜めのラインをあしらい、アームレストや小物入れにも異なるカラーを配置。普段は目立たないドア内張りまで、徹底してデザインにこだわっている。

見た目で選ぶ楽しさを、改めて教えてくれる一台

パワートレインには、1.2L直列3気筒ガソリンターボエンジンと電動モーターを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドを採用。6速DCTとの組み合わせで、システム最高出力110psを発揮する。走行状況によってはモーターのみでの走行も可能で、WLTCモード燃費は20.8km/Lを実現している。

グレードはアイコンとラプリマの2種類で、価格はアイコンが369万円〜374万5000円、ラプリマが409万円〜414万5000円。さらに純正アクセサリーも用意されており、自分好みのアレンジを楽しむこともできる。

もちろん、実用性や燃費性能もクルマ選びでは大切な要素。しかし、毎日乗るクルマだからこそ、見た目が気に入っていることも同じくらい重要ではないだろうか。

グランデ パンダには、カスタム好きや個性派の心を刺激する要素がたっぷり詰まっている。

ノーマルのままでも十分に個性的。それでも、さらに自分らしく仕上げてみたくなる。

そんなクルマとの付き合い方を想像させてくれる、新しいフィアットの登場だ。

グリル中央ではなく、助手席側にオフセットして配置されたFIATロゴも特徴。ピクセル状のLEDヘッドライトと組み合わせ、左右非対称のユニークな表情を作り出している。
ドア下部に大胆に刻まれた「PANDA」の文字は、ステッカーではなくボディパネル自体を立体成形したもの。撮影車両に文字を立体的に表現した専用パネルが装備されていた。
2026年10月16日に開催された新型グランデ パンダの発表会。登壇したのは左から、ステランティスジャパンの黒川進一イタリアンブランド事業部長、フィアットのインテリアデザイン責任者ミケーレ・ロンゴ氏、ステランティスジャパンの成田仁代表取締役社長。

【FIAT Grande Panda Hybrid】
ICON(アイコン) 369万円~374万5000円
La Prima(ラプリマ) 409万円~414万5000円