アウディが主力SUV『Q5』に、シリーズ史上最も高性能なモデルを投入する可能性が高まっている。ドイツ・ニュルブルクリンクで目撃されたのは、これまで設定されていなかった『RS Q5』とみられる開発プロトタイプだ。

最大の注目点は、2026年に登場した新型『RS5』と共通のプラグインハイブリッド(PHEV)システムを採用する可能性があることだ。実現すれば、最高出力639ps級のパワーを備えた、アウディの新たな高性能SUVが誕生することになる。

SQ5とは明らかに違う! RS専用のワイドボディを採用か
アウディのQ5シリーズには、これまで高性能モデルとして『SQ5』が設定されてきたが、さらに上位に位置するRSモデルは存在していない。今回目撃されたプロトタイプは、そんなQ5のラインアップに新たな頂点が加わる可能性を示すものだ。
開発車両はニュルブルクリンク周辺で走行テストを実施しており、通常のSUVボディを採用している。クーペ風のルーフラインを持つ『Q5スポーツバック』とは異なり、ルーフ後端まで高さを確保した実用性重視のスタイルが特徴だ。ただし、外観は通常のQ5やSQ5とは大きく異なる。
フロントには大型のシングルフレームグリルを配置。その左右には縦方向に大きく開口したエアインテークが設けられ、標準モデルよりも攻撃的な表情を見せている。フロントバンパーも専用形状とみられ、エンジンやブレーキの冷却性能を高めるための変更が加えられている可能性がある。
サイドビューでは、前後フェンダーの張り出しが目を引く。ホイールアーチ周辺には拡幅を思わせる処理が施されており、トレッドの拡大を伴う専用シャシーの採用も考えられる。
足もとには大径ホイールが装着され、その奥には高性能ブレーキシステムが組み込まれると予想される。さらに、リヤエンドにはRSモデルを象徴する大径の楕円形エキゾーストパイプを左右に配置。通常のSQ5とは異なる排気レイアウトが、今回のプロトタイプの正体を示す重要な手掛かりとなっている。リヤバンパーやルーフスポイラーにも専用の空力処理が施されるものとみられ、SUVの実用性を維持しながらも、高速走行時の安定性を追求したモデルになりそうだ。
なお、RS Q5については、今回の通常SUVボディに加え、スポーツバック仕様とみられる開発車両も確認されている。市販化されれば、2種類のボディスタイルを展開する可能性がある。
新型RS5譲りの639ps級PHEVを搭載か
最大の関心は、やはりパワートレインだ。新型RS Q5には、2026年に登場した新型RS5の高性能PHEVシステムが流用される可能性が浮上している。
RS5は、アウディの高性能モデルを手がけるAudi Sportが初めて採用したハイパフォーマンスPHEVであり、日本でも2026年10月20日に発売されたばかりだ。
そのシステムは、2.9L V型6気筒ツインターボエンジンと高出力モーターを組み合わせたもの。エンジン単体で最高出力510ps、電気モーターは177psを発生し、システム全体では最高出力639ps、最大トルク825Nmという強烈なスペックを実現している。
トランスミッションには8速ティプトロニックを組み合わせ、駆動方式はアウディ伝統の四輪駆動システム“quattro”を採用する。さらに、リヤアクスルには新開発の電気機械式トルクベクタリング機構を搭載。左右後輪への駆動力配分を積極的に制御することで、コーナリング時の俊敏性と安定性を高めている。RS Q5にも同様の技術が導入されれば、単に直線加速が速いだけではなく、ニュルブルクリンクのようなサーキットでの走行性能も重視したSUVになるものと考えられる。ちなみに、新型RS5の0-100km/h加速は3.6秒。最高速度は標準仕様で270km/h、オプション装着時には285km/hに達する。
RS Q5はSUVならではの車重や重心の高さが影響するため、同じ加速性能を実現するとは限らない。それでも、600psを大きく超えるシステム出力が与えられれば、Q5シリーズの性能を大きく引き上げることになる。
他方、PHEVの採用は日常の使い勝手にもメリットをもたらす。RS5には総電力量25.9kWhのリチウムイオンバッテリーが搭載され、日本仕様のセダンでは最大85kmのEV走行が可能とされている。RS Q5でも同等のシステムを採用すれば、普段の移動は電気だけで走り、ワインディングロードや高速道路ではエンジンとモーターの力を最大限に引き出すという使い方が期待できる。ただし、RS Q5のバッテリー容量やEV走行距離については、現時点で具体的な情報は明らかになっていない。
2027年デビューの可能性も! 室内には最新デジタル装備
インテリアについては、現行Q5シリーズの基本構成を受け継ぎながら、RS専用の装備が加えられるものと予想される。現行Q5には、11.9インチのデジタルメーターと14.5インチのセンターディスプレイを組み合わせた“MMIパノラマディスプレイ”が採用されている。RS Q5でも、このデジタルコックピットをベースに、専用グラフィックや走行情報を表示する機能が追加される可能性が高い。また、RS専用スポーツステアリングホイールやホールド性を高めたスポーツシート、専用トリムなどによって、通常のQ5とは異なるスポーティーな室内空間が演出されるだろう。発売時期については、2027年中の正式発表が予想されている。
アウディは2026年に新型RS5を投入し、高性能モデルの電動化を本格化させた。RS Q5が同じPHEV技術を採用するならば、その流れをSUVへと拡大する重要なモデルになるだろう。これまでSQ5が頂点だったQ5シリーズに、初のRSモデルが加わるのか。ニュルブルクリンクで姿を現したプロトタイプは、アウディの高性能SUV戦略が新たな段階に入ることを予感させる一台だ。









