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販売実績は好調なれど! ヤマハ・セローにラストモデル登場という悲しい現実。

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去る12月13日、セローらしい、いかにもなキャンプステージで新型の撮影会が開催された。いわゆるカラーグラッフィク変更による2020年型としてのマイナーチェンジだが、なんとこれがファイナルエディションであることが明言された。セローファンにはちょっとした驚きだが、果たしてどういうことなのだろうか。

REPORT & PHOTO⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)

ヤマハ・セロー250 ファイナルエディション.......588.500円

パープリッシュホワイトソリッド1(ホワイト/グリーンとホワイト/レッド)

 2018年の復活以後も、好調な販売実績をキープするセロー250。それぞれの自分スタイルで気軽に扱える事に加えて、自然の懐に入り込める機能的な魅力を持つ。いわゆるマウンテントレールとして根強い人気を誇っている。
 そんなセロー250も今回のマイナーチェンジ、2020年1月15日の発売をもって最終仕様となった。当モデルをもって生産を終了すると公表されたのである。通常生産の終了報告は人知れずが一般的。ひっそりと、いつの間にか行われるのが常だが、流石に多くのユーザーを魅了してきたロングセラーモデルだけに、最後の需要喚起も含めて多くのセローファンへ、新車購入できる機会が残り少なくなったことを真摯にお知らせした形となった。

 生産終了の真意を尋ねると、今後訪れるさらに厳しい規制の数々に対応するには現状に手を加える程度の熟成進化ではクリアすることが困難と判断したとの事。レギュレーション上、販売が許される限り、またユーザーニーズが有る限りは生産されるが、次のモデルは現在用意されていないというのが本当のところだ。

 ユーザー側としては、これほど多くの人に愛されたセローが消えゆくとは信じられない気持ちである。ただ、冷静に考えてみれば、セローが長きにわたって売れ続けた事実と、その要因を熟知しているヤマハが、セローで培ってきたノウハウが捨て去る訳はないのである。
 ヤマハ関係者から次期モデルについての情報が漏らされることはない。しかしセローに限らず、常々商品開発に励んでいることは事実。今バイクが人気上昇中として話題の東南アジア市場では、125ccから250ccクラスに多くの魅力的モデルが投入されている。
 かつての日本を思わせるそんな活況ぶりを横目で睨めば、こういった海外市場のモデルと協調すれば、セローを継投する新製品の開発は決して夢物語では無いと思えてくる。例えば原点回帰の軽量モデル。新世代セロー、あるいは別のブランニューで投入する戦略も悪く無い。可能性としては十分に有り得る話ではないだろうか。!? ……と尋ねてみると、何かしら検討中であることは間違いと答えてくれた。
 
 もちろんそれが何かは判然としないし、ましてや次期セローなんてまだ影も形も無いのは間違いない。ただ筆者は、ヤマハならまた何かやってくれると確信した。当たり障りのないそんな回答の背景に、新機種開発への新たな情熱が、垣間見れる思いがしたからである。

セローへの熱き想いを語ってくれた開発関係者。左から車両開発設計の橋本貴行さん、デザインの太田晴美さん、商品企画の松田克彦さん。

⚫️ヤマハ・ツーリングセロー .......644,600円(アクセサリーパッケージ装着車)

専用グラフィック付きハンドルガードやアルミアンダーガードも装備(オイル交換時は脱着が必要)
マルチパーパスバーを装備したアドベンチャースクリーン.......23,870円
堅牢で頼れるサイズのアドベンチャーキャリア.......30,800円(重量:3.8kg、積載重量:6.5kg)

 セロー人気の中でも侮れない存在がツーリングセローである。ワイズギアで用意されている多くのアクセサリーをセットでオプション装備したものだが、軽〜くアドベンチャーツアラー風に変身できるアイテム一式は、一般的なツーリング用途で欲しい思える程よい高機能ぶりを発揮してくれる点が見逃せない魅力である。
 
 もちろんアクセサリーの装備は個別(単品)でも可能なので個人の好みやニーズに合わせて購入すれば良いが、ツーリングセローは、ヘビーデューティな旅バイクとしての個性を気軽に主張できるところが人気のようだ。

⚫️懐かしくも偉大なる初代セロー225

シンプル軽量、二輪二足でトコトコ自然散策できるコンセプトが大きな反響と評価を集めた。
当初はキック始動のみ。足場の悪いシーンでも始動を容易にするデコンプレバーを装備。ヌタ場の下り坂でエンジンブレーキの効きを緩和することで、滑り出した後輪のグリップを回復する手段にも役立った。
XT200から発展、ボア・ストローク共に拡大された空冷のブラックエンジン。その排気量は223ccだった。

 初代セロー225のコンセプトには、なんと『転ぶ事』もキーワードに入れられていた。不整地を走れば当然転ぶ機会も多くなる、そんな時に転んでも笑って再スタートできるように、堅牢に作る。引き起こししやすいよう、グリップ(持ち手)を前後に設置。また、51°と言う大きなハンドル切れ角を確保。切れ角は現在にも引き継がれ、最小回転半径はわずか1.9mに過ぎないのである。
 初代モデルはほぼ4年毎に熟成を重ね、セルスターターの装備、リアチューブレス化、ディスクブレーキや明るいハロゲンライトの採用等、しっかりと手が入れられていった。ライバルを寄せ付けないロングセラーへの礎は、度重なる真摯なマイナーチェンジで培われていったわけだ。
 そして、『変化を求めず、深化を追求』したセロー250へのフルモデルチェンジ。セミダブルクレードルフレームの基本とエンジンをトリッカーと共用しながらも、ステアリングヘッド&スイングアームピボット回りや、リヤフレームはセロー専用の設計が施され、初代の基本機能をキープしながら、総合的なパフォーマンス向上を果たす。
 2008年には燃料噴射の採用やフロントフォークの変更、2018年には排出ガス規制に対応、ロングリアフェンダーを採用。そして2020年にファイナルエディションの投入となったのである。
 初代を彷彿とさせる「懐かしさ」とファイナルに相応しい「特別感」を取り入れたカラーデザインを採用。赤と緑の2色を設定し、フレームも含めてグレードの高い塗装が施された。

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