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事実:バカ売れ|BMW F900R、電子制御は全部のせ、パフォーマンスも高次元!

  • 2020/06/29
  • MotorFan編集部
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国内BMWマーケットにおいてはあまり目立つ存在ではなかった、パラツインエンジンを搭載した「F」シリーズ。よきオールラウンダーであり、多くの場面にて楽しさ、便利さ、BMWらしさを提供するモデルだが、そのFが初めてとも言えるビッグチェンジ! メジャーモデルへと踊り出たか?

TEXT●ノア セレン
PHOTO●山田俊輔

BMW F900R……1,057,000円〜

ミドルクラスのパラツインという意味では確かにF800Rの後継機種ではあるものの、F850GS系の新エンジン、タンク位置をこれまでのシート下から通常の位置に移動させるなど完全新設計と言っても過言ではない内容。「デザイン・パフォーマンス・プライス」を掲げて開発されたというが、パフォーマンスやプライスは文句なし、デザインもFらしさを維持しながらもモダンにアップデートされている。

異端児からレギュラーメンバーへ

 00年代のBMWは大小の異形二眼ヘッドライトを特徴としていて、初代F800Rもこれにならって特徴的なフロントマスクをしていたが、「BMWと言えばボクサー」という意識がまだまだ強かった当時、パラツインを搭載するこのモデルは、バリエーションモデルも展開したもののもう一つメジャーになれなかった感がある。ただ、だからと言って失敗作だったわけではない。車体もエンジンもとても良くバランスされ、また360°クランクのエンジンはまるでボクサーツインのようなフィーリングも確かに持っていたのだ。
 国内でこそその人気に火が付いたということはなかったが、しかし世界的にも一定の支持層がいて、最初期モデルに報告されたマイナートラブルも一掃され、着実にBMWラインナップのレギュラーメンバーになっていく。15年には倒立フォークの採用とヘッドライトデザインなどの変更を受け、また、よりスポーティなミッション設定も与えられミドルサイズスポーツバイクとしての立ち位置を強めてきた。
 そして今回、車名を900に改めてフルモデルチェンジを果たす。エンジンは排気量アップだけでなくこれまでの360°クランクから近年のパラツインエンジンのトレンドである270°クランクに変更。車体もこれまでシート下にあった燃料タンクを通常のタンク位置に移動させるなど大幅なモデルチェンジをし、一躍注目モデルとしてデビューした。Fシリーズが積み上げてきたものが結実した感があり、長らく同モデルのファンだった筆者は嬉しい思いだ。

みんなが欲しかった「スーパーフォア750」

 試乗すると、あまりの完成度に頭をよぎったのは先代のF800ではなく、国産バイクの至宝・ホンダのスーパーフォアだった。接しやすい、使いやすい、速く走らせられる、利便性も高い……と死角なし。ただスーパーフォアは400と1300の間が大きく開いていて、「750ccがあればいいのにナ」と思ったことがある人は筆者の他にもいるはず。そんな「あったらいいのに」がまさに「あった」のだ。新型F900Rは超万能でありながら、エキサイティングで、速く、軽く、楽しく、そして現実的な価格で購入することができる。夢がかなったような幸福感に包まれて走り回った。
 跨るとルックスの印象以上にコンパクトで、小柄なライダーでもすぐにフィットすることができるだろう。ノーマルでこの低いシートを備え、しかもそのシートがタンクの後ろに落とし込まれたような位置のためニーグリップがしやすく、バイクとの一体感を得やすいと感じる。ライダーの腰がバイクの重心に近いような感覚で、それが安心感を生んでいるのだろう。
ハンドル位置はとても自然だが、一方でステップ位置は高く後方なのには慣れが必要。もっともそのおかげで足をステップとペダルの間にスッと下ろすことができ、それがさらなる足つきの良さに貢献している。ただ長身のライダーにとっては膝の曲りが強めに感じるかもしれず、オプションのハイシートも選択肢となるだろう。
 他にも、取り回しや荷物の積載に重宝するタンデムグリップや、標準装備されるセンタースタンド、ETC2.0、グリップヒーターなど、とにかく「あったらいいな」がぜんぶ「ある」のである。この充実ぶりで105万7000円~という価格は驚きである。

エキサイティングさと荒々しさ

 パッケージとしてとても完成度が高いことはお判りいただけたと思うが、乗った時のエキサイティングさが先代との一番の違いだろう。
 270°クランクになったことでアイドリングからかなり個性的なフィーリングがあり、メカニカルノイズも含めある意味BMWらしくはないとすら感じる。どこかKTM的な瞬発力というか「やる気」を感じさせるのだが、しかしクラッチを繋ぐとむしろおとなしくて驚く。アクセル開け始め、クラッチ繋ぎしなはちょっと頼りないと感じるほどトルクが薄く、あれ?とアクセルを開け増す場面が多かった。もっともこれはエンジン本体の性能ではなく、電子制御スロットルの設定によるものであり、大排気量初心者でも怖くない、柔らかなツキを意図的に作り出したものだと思われる。
 走り始めると先代にはなかったパルス、もしくは雑味のようなものを伴った使いやすい中回転域・実用領域があり、そして6500rpmから先は驚くほどパワフルにフケ上がっていく。7000rpmを超えた先は先ほどまであった雑味が整った連続音に代わり、どこかMotoGPマシン的な暴力性を持ったフィーリングで回り切る。しっかりとアクセルが開いていれば前輪がフワフワと離陸したがるほどパワフルで、高回転域を維持した走りはかなり激しい。常用域の使いやすさからは想像できないほどの高回転型エンジンであり、これは先代にはなかったエキサイティングさである。

「らしさ」と決別 新境地を切り開く

 マイルドな口当たりと実用的で使いやすい常用域、さらに強烈でハイレベルなスポーツ走行もこなす高回転域。こんな特徴を持つエンジンを寛容な万能ロードスターの車体に詰め込んだ新型F900Rは非常に魅力的なモデルであることは間違いない。加えて上級機種では様々な電子制御も付帯し、BMWのさらなるハイエンドモデルと同等の「全部乗せ」状態である。魅力的な価格設定を含め、これは買って損なし! と断言したくなるモデルである。
 一方で、これだけ魅力的なモデルではあるものの、先代のF800Rとはベツモノであるとも書いておきたい。F800Rはパラツインながら確かにボクサー的なフィーリングがあり、BMWらしさがあった。パワーデリバリーも900のようなエキサイティングさは少なめながら、いかにもBMWらしい質実剛健さがあったのだ。これに対し900は、冒頭に書いたようにどこかKTM的な激しさがあり、エンブレムを見ずに乗ってすぐに「BMWだな」とはわからないんじゃないかと思う。それを良い事だとも悪い事だとも思わないが、積み上げてきたものは大切にしつつもかつてのイメージや路線から決別し、Fシリーズは再スタートしたのだな、とは感じさせた。
 これまでと変わらない「使えるパッケージ」に、これまでなかった「激しさや興奮」を加えたF900R。世界中で歓迎され、国内でも完売間近だという。ライダーの体格や使い方を限定せずに、いつでも素晴らしいライディングエクスペリエンスを提供してくれるこのマシン、安心して誰にでも薦められる一台だ。

足つきチェック

815mmのシート高ではあるが、その数値以上に足つきはとても良いと感じる。ステップとペダルの間にちょうど足が下せるのも貢献しているだろう。なお2種類のハイシートやサスを含めたローダウン仕様などを含めると6種類ものシート高が用意されている。

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