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最先端のUS×JDMが生んだ、現代版ハチロク!

埼玉県のテックアートといえば、クオリティを徹底追求したAE86チューンで知られる存在。その同店が手掛けたこの一台は、北米から逆輸入したカローラGT-Sをベースに製作された特別なハチロクだ。

製作のきっかけとなったのは、2021年のSEMAショー出展。US仕様をベースにJDMテイストを融合させることで、これまでとは異なる視点からAE86を再構築するプロジェクトがスタートした。

「国内仕様はやり尽くしてきましたが、左ハンドル車は経験が少なかったんです。海外のお客さんも増えてきたこともあり、新しい挑戦として取り組みました」と語るのは、テックアート代表の鎌田さん。

ベース車両は、ロサンゼルスの提携先で探し出した極上のカリフォルニア個体。錆の少ない好条件な車両だったが、あえてシャシーをストリップし、ボディパネルまで徹底的にリフレッシュ。さらに、インパルス製カーボンパネル(ボンネット、ルーフ、ドア、リヤゲート)を組み合わせることで軽量化も実現している。仕上がりは、新車以上と言っても過言ではないコンディションだ。

エンジンには、20バルブヘッドをベースとした7A-G(1800cc)仕様を搭載。テックアート製クランク&コンロッドに83φ鍛造ピストンを組み合わせ、カムシャフトは264度/リフト9.0mmをセット。VVT制御を活かすことで、パワーと扱いやすさを高次元で両立している。

当初は電子制御スロットルによる4連スロットル仕様だったが、負荷面を考慮して現在はワイヤー式へ変更。制御にはモーテックM1を採用し、安定したフィーリングを実現している。

また、左ハンドル化に伴うパッケージングの違いにも直面した。ステアリングシャフトやメンバー形状の影響で既存のエキゾーストマニホールドが装着できず、新たにフジツボと共同で専用品を開発。この60φエキマニはその後製品化され、海外ユーザーからも高い支持を集めているという。

排気系も同様にフジツボとの共同開発によるオリジナルマフラーを装着。ノーマルバンパーに収まるシンプルなレイアウトながら、高効率な排気性能を確保している。

足回りには、クスコ製ダンパーをベースにしたオリジナル仕様を採用。ストリートとワインディングの両立を重視したセッティングが与えられている。

インテリアは、ブリッドのグラデーションロゴ生地によるフルトリム仕様。シートにはクスコ×ブリッドのストラディアⅢを装着するなど、細部まで抜かりなく仕上げられている。

外観は現在こそ国内仕様風にまとめられているが、サイドマーカーやリフレクター内蔵車幅灯など、北米モデルならではのディテールは健在。USとJDMが融合した独特の存在感を放っている。

このマシンは2022年のSEMAショーでクスコブースに展示され、現地での走行も経験。その後日本へ戻され、公道仕様へと手直しされた上でナンバーを取得した。いまやこのカローラGT-Sは、テックアートの技術力を象徴するだけでなく、世界へ向けてAE86の魅力を発信する存在となっている。

一方、現在テックアートが新たに進めているのが、AE86用6速MTコンバージョンキットの開発だ。

近年はリプロパーツの充実によって維持環境こそ改善されつつあるものの、トランスミッションに関しては依然として厳しい状況が続いている。オーバーホールは難しく、たとえ部品が揃ったとしてもコストは高騰する一方だ。

そこで新たな選択肢として提案されたのが、ZN6/ZN8純正6速ミッションの流用である。

このキット最大の特徴は、フロア無加工で装着可能な点にある。専用ブラケットやハウジングに加え、シフターやリンク機構まで専用設計。さらに、ワイヤー式スピードメーターを作動させるための変換ユニットやセンサーも用意されている。

テスト車両には、デモカー“エコハチ”を使用。電スロ化やフルコン制御を組み合わせ、17km/Lという優れた燃費性能を実現した車両で検証が進められている。

ZN6ミッションとの組み合わせでは違和感のないギア比を実現し、シフトフィールも非常にスムーズ。さらに、ファイナルを4.1へロング化することで、より扱いやすい特性に仕上げることも可能だという。

キット内容は、ミッションブラケット、ハウジング、シフター&リンク、車速センサー、変換ボックスで構成。なお、プロペラシャフトについてはZN6用とAE86用を組み合わせた加工品を別途用意する必要がある。

また、リバース操作はトリガーレス化されており、自然な操作感を実現。純正シフトノブがそのまま使用できる設計となっている点も、オリジナル内装を重視するユーザーには嬉しいポイントだ。

現在は最終テスト段階にあり、近々リリース予定。ミッション本体を除いた換装費用は100万円以下を目標としている。

AE86を“これからも乗り続けるための技術”。その答えのひとつが、この6速コンバージョンキットなのである。

●問い合わせ:テックアート 埼玉県八潮市浮塚54-1 TEL:048-994-2081/Gベース 埼玉県八潮市浮塚233-1

「リッター20キロ走るAE86って…」走りを犠牲にしない夢のエコチューン、その全貌に迫る

モーテック制御のもと、燃焼効率を徹底追求。リッター17km超という低燃費と140psの出力を両立したECOハチは、旧車エンジンの可能性を大きく押し広げた。

【関連リンク】
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