斬新なスタイルのFFグランドツアラー! 7代目トヨタ セリカ

1999年に登場した7代目セリカは、1985年登場の4代目あたりから顕著になってきたハイパワー4WD路線から一転し、前輪駆動の軽量スポーツクーペへと方向転換を果たした。
ボディサイズは全長4335mm×全幅1735mm×全高1305mmで、ホイールベースは2600mm。先代よりも全長は100mm短縮されたが、削減された部位は主にオーバーハング部であり、タイヤがボディの四隅に配置されたことで全高は数値以上に低く見える。
なにより7代目セリカの特徴はそのスタイリングだ。珍しい鋭い形状の縦長ヘッドライトを採用し、テールランプまわりの造形も独特。ボディのあらゆる点が斬新な意匠でまとめ上げられており、時代を先取りしすぎた感さえ漂う。
このスタイリングは、いくつかの歴代セリカも手掛けてきた北米にあるトヨタのデザイン拠点“CALTY(キャルティ)”の仕事だ。インテリアも外観に負けない個性が与えられており、インパネデザインには幾何学造形を取り入れつつ、真下を指すメーター指針などスポーティな演出も怠っていない。
実用面では2ドアクーペならではの制限はあるが、ラゲッジスペースは広く確保されている。乗車定員は4人の2+2となるが、一般的な+2シーターよりは後席は広めだ。
発売当時はスポーツカー販売が下火だったことに加え、急進的すぎるデザインからか、それまでのWRC(世界ラリー選手権)のイメージが薄れたからか、7代目セリカは商業的な成功を収めたクルマとは言えなかった。しかし、現在までの自動車デザインの変遷を見渡しても7代目セリカのデザインは鮮烈だ。
2ZZ-GEエンジン+標準ストラットの“SS-II”グレードが狙い目

7代目セリカの中古車価格帯は80万〜250万円だ。ただし、セリカはグレードによって価格が大きく変わることは覚えておきたい。
セリカに設定されたグレードは大きくSS-IとSS-IIの2つに分けられる。SS-Iは、トヨタ カローラなどにも搭載される1.8L 直列4気筒可変バルブ機構VVT-i付自然吸気の1ZZ-FEエンジンを搭載したベーシックグレードだ。
SS-Iの最高出力は140psとスポーツカーとしてのスペックは低く、トランスミッションは5速MTでリヤブレーキはドラムブレーキとなるが、中古車価格は走行距離6万km以下の条件でも支払総額80万円からと比較的安い。
一方のSS-IIは、前述の1ZZ-FEをベースにヤマハがチューニングを施したハイオク仕様の2ZZ-GEエンジン+6速MTのスポーツグレードとなる。
排気量は1ZZ-FEと同じ1.8Lだが、ショートストローク化&高圧縮比化されているうえ、ヘッドは大径バルブに加えて高回転でハイプロフィールカムに切り替わる可変バルブリフト機構&可変バルブタイミング機構VVTL-iを搭載することで最高出力190psを7600rpmで発揮。ブレーキはもちろん前後ともにディスクブレーキだ。
高性能なSS-IIの価格は走行距離6万km以下で140万円からであり、なかでも6速MTは180万円以上が相場となる。なお、ATモデルはSS-I、SS-IIとも4速ATだ。
加えて、SS-IIには“スーパーストラットパッケージ”というグレードも存在する。このグレードは、フロントサスペンションに対地キャンバー角を抑えて高い旋回性能を発揮する変形型のマクファーソンストラット“スーパーストラット”を装備するモデルだ。
ただし特殊な構造上、サスペンションストロークが短いうえ、標準のストラットサスペンションとは部品互換性がなく、ダンパー交換などの将来的なメンテナンスコストや部品供給の面で不安がある。そのうえ価格も高いため、SS-IIのスーパーストラットパッケージを探して乗るメリットは薄いと言わざるを得ない。
特別な理由がなければ、標準ストラットのSS-IIが狙い目だ。ただし2ZZ-GEエンジンはオイルポンプが故障する事例が多い。またサーキット走行などで傷んだ個体も多いうえ、オイル管理次第でエンジンコンディションに大きなばらつきがある。SS-Iも前期型の1ZZ-FEエンジンはオイル上がりのトラブルが多い点には注意したい。
予算が許すのであればSS-I、SS-IIともに信頼性が向上している2002年8月以降の後期型を選ぶのが望ましいが、良好なコンディションの後期型は少なくなってきている。
安価な“SS-I”をファッショナブルに乗りこなすのもアリ

主要部品が当時の量産車と共通となる7代目セリカは、他モデルからの流用が効くため、年式の割には比較的維持しやすいクルマと言える。
ただし古いハッチバッククーペの例に漏れず、雨漏りしやすい点はセリカの大きなウィークポイントだ。
ウェザーストリップはすでに廃盤になっているが、ネットショップなどでは他の部品もまだ入手できる。購入時はリヤシートまわりの錆の状態に注意し、パネルのコーキングにひび割れなどがあったら購入後の雨漏り対策は必須となるだろう。
7代目セリカは最終年式モデルであってもすでに20年落ちであり、維持には相応の手間がかかることは覚悟しておきたい。しかし、ネオクラシックスポーツのなかでは入手性や維持のしやすさは悪くないと言える。
このクルマの魅力は何と言ってもその独創的な外観だ。そのぶん好みは分かれやすいが、低いルーフと着座位置だけを切り取っても特別感がある。2ドアの不便さや後方視界の狭さなどの欠点も、捉えようによっては特別感を強調する要素となるだろう。
7代目セリカは、目立つクルマや変わったクルマに乗りたい人におすすめのクルマだ。せっかく乗るなら高性能なSS-IIを探したくなるが、クーペやMT車が希少になった現在においては、手堅い後期型SS-Iの5速MTを選んでファッショナブルに乗るのも7代目セリカの楽しみ方となるだろう。
