走る楽しさを突き詰めたFRオープン2シーター

肥大化した先代NC型ロードスターに対して、4代目となるND型ではボディを大幅にシェイプアップ。約100kgもの軽量化を果たしたうえでFRレイアウトに理想的な前後重量配分をさらに突き詰め、ロードスターらしい意のままにクルマを操れる高いハンドリング性能が徹底的に磨き上げられた。

排気量が1.5Lに縮小された点もND型ロードスターの大きなトピックだ。登場当初のエンジンスペックは最高出力131ps/7000rpm、最大トルク150Nm/4800rpmとスポーツカーとして特段秀でたものではないが、シーンを選ばず扱い切れる楽しさがある。

その一方で電動リトラクタブルハードトップの“RF”には最高出力184ps/7000rpm、最大トルク205Nm/4000rpmを発揮する2.0L エンジンが搭載されており、ソフトトップモデルとは異なる余裕のある走りが魅力だ。

ND型ロードスターは発売から現在までに細かな改良が重ねられており、その節目ごとに完成度が向上している。

2021年12月の商品改良では、独立したブレーキコントロールにより旋回時の車体姿勢を安定させる“キネマティック・ポスチャー・コントロール(KPC)”を採用。これによりコーナリング時の接地感が一段と高まり、スポーツドライビング時の安心感が増した。

2023年10月の大幅改良ではアダプティブクルーズコントロールが搭載されたほか、最廉価グレードを除く全グレードに新機構を採用した“アシンメトリックLSD”を搭載。さらに電動パワーステアリングのチューニングやサーキット走行に最適化された姿勢制御モード“ダイナミックスタビリティコントロール(DSC-TRACK)”が新採用されるなど、各部に徹底的なリファインが施されている。

このタイミングでエンジンスペックもわずかに向上。1.5L エンジンの燃調制御を国内ハイオク燃料に最適化することで最高出力が136psへ引き上げられ、同時にRFを含むMTモデルは制御ロジックの見直しによりスロットルの開閉応答性も高められた。

度重なる改良により高年式モデルほど魅力度が高められているが、どの年式のどの仕様を選んでもロードスターらしい走りは健在だ。

走行距離10万kmの低年式車が良コスパ! ただしATは相場が高め

長い期間にわたって販売されているND型ロードスターは年式やグレードによる価格差が大きい。なお、2200台限定だった“スピリットレーシング”は600万円、200台限定の“スピリットレーシング12R”にいたっては1000万円以上のプレミア価格が付けられている。

現在のNDロードスターの全体相場は、ソフトトップモデルが支払い総額で150万円から400万円となる。ただし150万円前後で購入できる個体は、いずれも走行距離10万km前後の初期型だ。

走行距離5万km前後のMT車に条件を絞ると170万円以上の予算が必要となる。AT車の流通台数は全体の約2割に留まり、その希少性からか同等の条件なら価格はMT車よりも30万円ほど高い点は心得ておきたい。

また、KPCが搭載された2021年12月以降のモデルは200万円から、大改良を受けた2023年10月以降のモデルは250万円が底値となる。

グレードによっても価格が大きく変わる。専用の足まわりやレカロシートなどを備えた最上級グレードの“RS”は初期型であれば200万円から探せるが、2021年12月の改良以降のモデルはベースグレード比プラス100万円ほどを見積もりたい。車両重量を990kgに抑えた特別仕様車“990S”は250万円が現在の底値だ。

一方、ロードスターRFの全体相場は170万円から500万円となる。走行距離5万km以下の条件に絞ると初期型でも200万円が底値だ。ソフトトップモデルとは購入者属性がやや異なるようで、ロードスターRFは約半数がAT車となる。そのため、AT車を希望する場合は幌交換の費用がかからないロードスターRF狙いの方がお得かもしれない。

ロードスター、RFともに高年式モデルになるほど中古車としての割安感が薄れていく。手頃な予算でロードスターがある生活を満喫したいのであれば、今は価格がこなれてきた2021年12月以前の低年式モデルがおすすめだ。

初期型から中期型にかけてのND型ロードスターはエアコンに持病あり

購入価格は高めとなるが、ND型ロードスターは歴代のなかで最も維持しやすい。低年式の個体は相応にヤレが出ているため、メンテナンスしながら各部をカスタムリフレッシュしていくとよいだろう。

NDロードスターのメカニズムは全体的に信頼性が高い。ただし、初期から中期にかけてのモデルはエアコンの配管をつなぐOリングが劣化しやすく、ガス漏れが起きやすい傾向にある。エアコンを作動させても車内が冷えにくい場合やコンプレッサーが作動しない場合は、まずガス漏れを疑いたい。

エアコンガスが旧来のHFC-134aから新型のR1234yfへと切り替わった2023年以降のモデルは、エアコンシステム自体の信頼性が大きく向上しているため、ガス漏出のトラブルは起きにくい。

エアコンシステムの具体的な切り替え時期は2022年から2023年にかけてのタイミングだ。この間に製造された個体を購入する際は、使用しているエアコンガスの種類を現車確認しておきたい。エアコンガスの種類はエンジンルーム内に掲示されたラベルで確認できる。

あとは幌や内装のヤレ具合、エンジンや足まわりの傷みといった中古オープンスポーツカーを購入する際の要点さえ守ればハズレを引く可能性は低いだろう。

比較的安価に購入できる低年式のND型ロードスターは、エアコンまわりの定期的な点検とメンテナンスが必須項目と割り切れれば、良い相棒になってくれるはずだ。