イベント取材でイタリアへ

海外取材に招聘されるメディアやジャーナリストの数は最近かなり少数に限られている。昔は総勢10人以上の団体取材も珍しくはなかったけれど、最近では2、3人がせいぜいで、5名を超えるパターンなど滅多ない。新型コロナ以降、そんな状況が顕著になっていたが、それでも月に1回程度の渡航はまだしも続いていた。ところが今年の3、4月には海外取材がとんとなく、ひょっとしてこのままなくなっていくのだろうか? などと思っていたところ、5月になって突然ガンガンと入ってきた。しかも日程のかぶること! メディアなら部員に振り分けることもできるだろうがフリーランサーはそうはいかない。海外取材の多いジャーナリスト仲間の中には毎週海外という猛者もいた。私の場合は幸い3つのイベントが“ほぼ”連続してくれたおかげで2週間、イタリアに滞在することでクリアした。それでも2つの興味深いイベントをお断りする羽目になったのだが。今回はイタリア滞在前半の様子を記してみようと思う。

2026年5月第3週

2026年5月16日(土)晴れ

1986年式「テスタロッサスパイダー」
1986年式「テスタロッサスパイダー」

コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ、初日。ホテルは流石に参加者と同じヴィラデステではなく、クルマで10分ほどのヒルトン・コモ湖だった。昨年は参加者扱いだったのでヴィラデステに滞在したが、周りに何もないところだから、街中のアメリカンLUXホテルに泊まるのも悪くない。早朝からシャトルで会場へ。ギャラリーが入ってくる前にクルマを見ておきたい。庭には50余台の選び抜かれた世界の名車たちがずらり。年代やメーカーで紋切り型のクラス分けをするのではなく、「華麗に歳を重ねたノーレストア車」とか、「アウトストラーダを駆け抜けたGT」とか、「スーパーカー時代の幕明け」といった具合に詩的なフレーズで、裏を返せば多少“緩やかな”縛りで、クラスが設けられている。個人的に刺さったのは「トップを下げ太陽を売って価値を上げた」オープンカークラスに出店された1986年式「テスタロッサスパイダー」だった。ジャンニ・アニエッリのために特別に調整された個体で、マラネッロが製作した唯一のテスタロッサ・フルオープンである。

2026年5月17日(日)晴

コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステにて
コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステにて

実はヴィラデステにおける展示そのものは土曜だけ。日曜はお隣のヴィラエルバに展示車両は移動する。一般公開するためだ。ヴィラエルバでは他にオークションやBMWの特別展示があって、フードコートなどもあるから、一般客が楽しめるサンデーピクニック状態になる。カジュアルに世界最高峰のクルマたちを眺めることができるなんて、やっぱり最高だ。実はヴィラデステで一番の見どころは日曜の早朝と夕方である。ヴィラデステとヴィラエルバの間をコンクール参加者が“往復”してくれるから。イタリアの古い街並みの細い道を走り抜けるヴィンテージやレーシング、スーパーカーたち。最高の写真が撮れるということで、凄まじい数のスポッターが参集する。彼らの群がり具合が人気のバロメーターだったりもする。

2026年5月18日(月)晴れ

プーリア州ブリンディジにて
プーリア州ブリンディジにて

ミラノ・マルペンサ空港へ移動し、LCCのイージージェットでプーリア州ブリンディジヘ。夏のバカンスに来たかのような海岸沿いのリゾートホテルに入った。もちろん早めの夏休みではない。まだ公表できないけれども、とあるモデルをテストするためにやってきた。夜はそのモデルの開発者と海沿いのレストランでディナー。意見を交わす。

2026年5月19日(火)晴れ

秘密のテスト。ところはナルド・テクニカル・センター。その昔、フィアットによって建設された欧州きってのプルービンググラウンドだが、現在はポルシェ・エンジニアリングの所有である。だからと言ってポルシェだけがテストに使っているのではなく、VWグループ各社の他、世界中の自動車メーカーが活用しているようだ。この日もポルシェはもちろん、ランボルギーニやベントレー、アウディといったグループの覆面車両に加えて、ブガッティ、フェラーリ、ランドローバー、メルセデスAMGなどの開発車両も見かけた。ミュンヘンナンバーをつけ、派手なエアロデバイスを装備するシャオミも複数台いた。もちろん写真撮影は厳禁。どのブランドをテストしたかも秘密。ディナーでは再び開発者とテーブルを囲み、この日のテストを振り返りつつ意見を交換した。

2026年5月20日(水)晴

ライアンエアーでボローニャへ
ライアンエアーでボローニャへ

ブリンディジ空港からライアンエアーでボローニャへ。これから1週間ほどチェントロ(街の中心部)に滞在することに。宿はコロナ前にほとんど常宿のように使っていたジア・バリオーニ。マッジョーレ広場(ネットゥーノ広場)も至近でクラシックなホテルだ。早くもアジア味が恋しくなり、ホテル近所にオープンした中華で焼きそばと青島ビールでランチ。妙に腹が膨れて夜はパス。ボローニャ泊。

2026年5月21日(木)晴

マッジョーレ広場(ネットゥーノ広場)にて
マッジョーレ広場(ネットゥーノ広場)にて

終日ホテルで溜まりに溜まった原稿執筆。ボローニャで原稿。悪くない。前日の中華が火をつけたか、身体がさらにアジアを欲し、和食の店を探す。駅向こうの「YUZUYA」さんはまんま日本の定食屋みたいでおいしいのだが、いかんせん歩くにはちょっと遠い(かといってタクシーに乗るととんでもなく遠回りしなければならない)。グーグルさん曰く、もう少し近くに評判のおにぎり屋さんがあるという。シェフは日本人女性。これだ! ホテルから徒歩10分。ランチは「Onigiri RAKU(楽)」さん。カツカレーを頼む。旨い。おにぎりもおいしそうだったのでテイクアウト。でもひとつ、3.5ユーロ。うどんや丼が10ユーロ前後なので、安いと思って買ったけれど、よくよく計算すると1個700円近い! 嗚呼、円安。というわけで夜はおにぎり3個で我慢する。ボローニャ泊。

2026年5月22日(金)晴れ

ランボルギーニ テメラリオ
ランボルギーニ テメラリオ
ランボルギーニミュージアムの特別展示「ミウラの60周年」
ランボルギーニミュージアムの特別展示「ミウラの60周年」

イタリアへ来てからというものの、ずっと晴れの日が続く。特にボローニャに入ってからは、晴れ男の無駄遣いかと思うくらい、雲ひとつない晴天続き。この日はせっかくボローニャにいるのだからと、ランボルギーニ本社を表敬訪問。「テメラリオ」を駆り出してドライブを楽しんだのだが、特に誰とも会う約束をしていなかったにもかかわらず、ステファン・ヴィンケルマン社長と敷地内でばったり。「おー、何してんの?」みたいな感じでちょっと立ち話。ドライブ後、ミュージアムの特別展示「ミウラの60周年」を見学。スイスのコレクターが所有するローリングシャシー「TP400」や「ミウラSVJ」「ミウラロードスター」「アヴェンタドールミウラロードスター」など、見どころいっぱいだ。疲れ果ててホテルに戻ってもディナーに外出する元気なし。ルームサービスでハンバーガーをオーダー。これが失敗の元だった。ボローニャ泊。

2026 5/16 〜2026 5/22

走行距離 約200km 試乗車数 4台

2025 11/1〜2026 5/22 累計

走行距離 約3万3250km 試乗車台数 138台

話題の名車共同使用サービス「ランデブー」

高雄サンデーミーティングと名車共同使用サービスと【西川淳の自動車1WeekダイアリーVol.27】

スーパーカー界の重鎮、モータージャーナリスト西川淳。この連載は、昨年還暦を迎えた氏が、日々どんなクルマに乗って、何を感じたのか徒然なるままに語るものである。果たして今週はどこで何をして過ごしたのか?