
世界トップクラスの長寿国である日本の中でも一段と長寿だという地域がある。一般的には長野や滋賀、京都などを思い浮かべるのだが、エリアを限定すると、意外にも川崎市麻生区が長寿日本一なのだそうだ。要因はさまざまだろうが、坂が多いということもひとつの理由らしい。しかも麻生区には激坂として有名な一番坂から十番坂というのもあるらしい。どれほどの坂道なのかこの目でたしかめてみようと出かけてみることにした。もちろん体力維持のため自分の足で上ろうなんていう気はさらさらない。それらの坂をめぐりながらカブで上ってみることにしたのだ。
噂の十番坂はまさに壁のように立ちはだかった
川崎市麻生区と聞いてピンとくる人はそう多くはないだろう。川崎というと、京浜工業地帯の中心で工場が林立しているイメージだ。たしかに臨海部は巨大な工場だらけだ。しかし内陸部は丘陵地帯に住宅が建ち並ぶ緑豊かな住宅地となっている。麻生区は川崎市のもっとも北に位置していて、行政機関が集中する川崎駅とは距離がある。そのため小田急線のターミナル駅である新百合ヶ丘を副都心として整備。多くの商業施設などがあり、周辺はニュータウンらしくオシャレな住宅街となっている。
麻生区には横浜市青葉区や東京都町田市に接する飛び地があって、一番坂から十番坂は飛び地の岡上地区にある。


麻生区岡上は小田急線鶴川駅の南側に位置している。アクセスには小田急線と並行する県道3号世田谷町田線(津久井道)を利用することになるが、今回は稲城市から鶴川街道を経由して岡上へと入った。小田急線の南側、鶴見川沿いの道を南西へ少し進んでいくと、南の山の斜面に住宅が密集する中に一番坂があった。
親切なことに「1」と記されているので見つけるのは容易だ。見える範囲ではそう大して急な坂ではなく、右に曲がった先はやや勾配が強くなるといった程度で、どうということはない。



二番坂は、納豆を製造販売する(株)かじのやの前にある。この坂も手前は緩やかで左に曲がったところから急になる。しかし激坂と呼べるほどではない。

三番坂は階段なのでパス。四番坂も欠番になっていて存在しない。


五番坂は和光大学の入り口前にある。この坂道はのっけからなかなかの勾配だ。路面もアスファルトではなくコンクリートで表面に丸く滑り止めが施されている。これは激坂と呼んでもよさそうだ。ローギアで上りきると、その先もまだどちらの方角に行く道も上り坂になっていた。しかもそれら坂道沿いには家が軒を連ねているのだからすごい!


六番坂はアスファルト路面なのでそれほどきつくなさそうだ。緩やかに始まり徐々に角度がついてくるのだが、まあ、ちょっと急な坂道という程度で問題なし。だが鋭角に左折してちょっと進むと、右手にさらに急な坂が出現。丸い滑り止め付きのコンクリート路面なので、激坂といっていい。上りきった先には田園風景が広がっていた。


七番坂も手前は緩やかで先に進むほど勾配がきつくなるスタイル。しかし全体にそれほどきつくない。


八番坂は入口から勾配がきつい。滑り止めの溝が切ってあるコンクリート路面で、一気に高度を稼ぐ。上りきった先にも坂道が続いていて、そろそろ坂道を走るのにも飽きてきた。


九番坂もそこそこの勾配で、丸い滑り止めのコンクリート路面。上りきる手前を右に曲がると、溝が切ってある路面の急坂となり、十番坂の上部に至る。




というわけで、いよいよ最後の十番坂を駆け上がることにする。入口は丸い滑り止めのコンクリート路面から始まり、右にカーブすると目の前に壁のような激坂が立ちはだかる。溝を切ったコンクリート路面の両脇には、なんと階段まである。「ここを上るのか~」と一瞬ビビる。しかしせっかく来たのだからと意を決してスタート。普通の乗車姿勢だとウイリーしてしまいそうなので、前傾姿勢でアクセルを開ける。スーパーカブ110のエンジンは加速こそしないものの失速せずになんとか上りきってくれた。50㏄だとちょっと厳しいかもしれない。いずれにしても、川崎市の公道でもっとも勾配がきついという岡上十番坂は、噂どおりの激坂だった。

坂が多くて体力維持に効果があるから長寿日本一なのだ!という麻生区だが、さすがに十番坂を上る年寄りはいないだろう。そんなことを思いながら、すべての坂をクリアした満足感に浸ったのである。
柿生のこんぴらさん琴平神社の石段を上る



麻生区には武州柿生琴平神社がある。なんでも四国の金刀比羅宮を総本宮とし、その主祭神である大物主神を祀る神社とのことで、坂が多い麻生区なので、金刀比羅宮の785段の石段のような恐ろしい石段があるのかもしれない。ということで、怖いもの見たさで琴平神社へ行ってみた。
岡上地区を後に、尾根越えの道を探しながら王禅寺地区方面を目指す。尾根を越えるごとに田園風景だったり、住宅地だったりと変化があってけっこう旅感が味わえる。なんとなく寄り道しながら走ること30分で、琴平神社に到着した。
朱塗りの大鳥居があるところは、境内に社務所や儀式殿などがある。本殿は少し先にあり、石造りの鳥居の先に本殿に至る石段があった。見たところけっこう急だが785段はない。なのでがんばって上ってみた。手水舎で手を清め、新旧の狛犬が出迎えてくれる間を通って本殿へ。型どおりに拝礼し、石段が多くなかったことに感謝した次第。


今回はふと思い立って出かけたので、午後からのスタートだった。走った距離は約69km。給油量は1.15Lだったので、燃費は約54km/L。急坂をいくつも上ったからか、燃費は良くなかった。かかった費用は177円だった。
