前後駆動配分を最適化し、ニュートラルな旋回性能を実現
サスペンションチューンの先にある”曲がるGT-R”の作り方!
R35 GT-R最大の武器である電子制御4WD「アテーサE-TS」。ラッシュファクトリーでは、そのポテンシャルをさらに引き出すため、専用コントロールユニットと独自マッピングを組み合わせたATTESAチューニング(17万6000円〜)を展開している。

純正制御はGセンサーやヨーセンサーを主体とした万人向けのセッティングだが、ラッシュファクトリーでは車速と舵角を軸に前後駆動力を最適化。コーナー進入から立ち上がりまで一貫して自然な挙動を生み出し、ドライバーが安心してアクセルを踏み込める特性へと進化させる。

その効果は富士スピードウェイの100Rをはじめとする高速コーナーや、筑波サーキットのヘアピン立ち上がり、最終コーナーなどで顕著に現れ、条件次第では富士で約2秒、筑波で約0.8秒のタイム短縮も期待できるという。
ただし、このマッピングは決して”魔法のチューニング”ではない。サスペンションをニュートラルな方向へ煮詰め、ドライバー自身も安定したラップを刻める状態になって初めて真価を発揮する、いわば最後の仕上げだ。また、サーキット走行を繰り返す車両ではアテーサのクラッチ容量不足が発生するケースもあるため、高負荷仕様では強化メニューの併用も推奨される。


興味深いのは、その開発思想である。マッピング作成で最優先されるのはプロドライバーの限界性能ではなく、一般ユーザーが違和感なく扱える自然なフィーリング。急激に特性を変えるのではなく、誰が乗っても安心して旋回性能の向上を体感できる味付けが施されている。この絶妙なセッティングは、全日本ジムカーナ参戦経験を持つセッティングマネージャー・稲木さんのノウハウによるものだ。なお、サーキット用だけでなく、ドラッグレース向けのバーナウトモードなども設定可能となっている。
施工実績はすでに70台以上。多くの車両は蓄積したデータをもとにしたセッティングで十分な効果を発揮するが、1000ps級や軽量化を進めたタイムアタック仕様では、サーキットへ車両を持ち込み、現車合わせによる専用マッピングも実施している。

さらにラッシュファクトリーでは、ATTESAチューニングだけでなく、R35 GT-R専用サスペンション「Ryuダンパー」(ダンパーのみ37万1800円、スプリング付きサーキットスペック54万7800円)もラインアップ。低速・中速・高速域それぞれで減衰特性を最適化し、ニュートラルなハンドリングを実現するとともに、スプリング交換を容易に行える独自構造を採用するなど、実戦でのメンテナンス性にも配慮されている。

「R35GT-Rの卓越した走行性能を支える電子制御4WDシステムは、本来非常に優秀ですが、サーキットという極限状態では、さらに最適化できる余地があります。ラッシュファクトリーのATTESAマッピングは、純正ユニットの基板を最適化する手法を採用し、前後トルク配分を細かく制御することで、コーナー進入から脱出までドライバーの意図に忠実な『曲がるGT-R』を実現します」と今村代表。

現在、筑波ラジアル最速クラスを誇る「RushスエヒロRE12D TA」も、このATTESA制御とRyuダンパーをベースに開発が進められている。1050ps仕様という超ハイパワーマシンでありながら、軽量化に合わせた現車セッティングによって筑波53秒750を記録。電子制御4WDをいかに使いこなすかが、R35 GT-Rをさらに速く走らせるための重要な鍵となっている。
●取材協力:ラッシュファクトリー 神奈川県伊勢原市歌川2-2-10 TEL:0463-73-5937
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