日産が新型SUV『テクトン(Tekton)』をインドで世界初公開した。

スクエアなボディと力強いフロントマスクから、早くも巷では『ベビーパトロール』と呼ばれているが、このモデルの価値はデザインだけではない。日産が世界市場でSUVラインアップを再構築するうえで、重要な役割を担う戦略車となる可能性を秘めている。
■インド発の世界戦略SUV

今回、世界初公開の舞台に選ばれたのはインドである。近年のインドは世界有数の成長市場となるだけでなく、グローバル向け車両の開発・生産・輸出拠点としての存在感を高めている。日産もその流れを重視しており、テクトンはインド市場だけを狙ったモデルではなく、世界市場への展開を前提に開発された量販SUVと考えられる。
つまり、インド発ではあるものの、その役割はグローバル市場を見据えた新世代SUVなのである。
■パトロールのDNAを受け継ぐデザイン
テクトンで最も印象的なのは、やはりフロントフェイスだ。スクエアなシルエットに加え、大型SUV『パトロール』を連想させる力強い造形を採用することで、フラッグシップSUVのイメージをコンパクトクラスへ落とし込んでいる。
近年の日産は、ブランドイメージを牽引する存在としてパトロールを積極的に打ち出しており、そのデザインエッセンスを量販モデルへ展開することで、ブランド全体の統一感を高める狙いがあると考えられる。
一方で、テクトンは本格的なクロスカントリーSUVではない。モノコックボディを採用し、舗装路での快適性や日常での扱いやすさを重視したクロスオーバーSUVという位置付けになる見込みだ。
■テラノとは異なるポジション
一部では、以前公開された『テラノPHEVコンセプト』との関係を指摘する声もある。しかし、現時点で両車を直接結び付ける公式な情報は存在しない。
テラノPHEVコンセプトは電動化時代を見据えたプレミアムSUVとして提案されたコンセプトカーであるのに対し、テクトンはグローバル市場をターゲットとする量販SUVという役割を担う。
どちらもスクエアなデザインを採用しているものの、商品企画そのものは大きく異なる可能性が高い。仮に将来『テラノ』の車名が復活するとすれば、より上級で電動化を前面に押し出したSUVとして差別化される余地も残されている。
■日本導入の可能性は
現時点で日産は、日本市場への導入について何も明らかにしていない。ただ、世界市場向けに開発された戦略車であることを考えれば、今後の展開地域は注目に値する。日本ではランドクルーザー250やジムニーをはじめ、スクエアなデザインを採用したSUVへの人気が高まっている。
その流れを考えれば、テクトンのようなタフなスタイリングを持つSUVにも一定の需要が期待できるだろう。
もちろん、日本導入には右ハンドル仕様やパワートレイン、価格設定などクリアすべき課題も少なくない。現時点で国内投入を予想するのは時期尚早だが、グローバル市場で販売を伸ばせば、日本市場が候補に挙がる可能性も否定できない。
■世界市場でSUVラインアップを再構築
テクトンは単なる新型SUVではなく、日産のSUV戦略を象徴する存在とも言える。
プレミアム路線を担うパトロール、電動化を示唆するテラノPHEVコンセプト、そして世界市場で販売台数を支える量販SUVとしてのテクトン。それぞれ異なる役割を担いながら、SUVラインアップ全体を強化していく構図が見えてくる。
日産は現在、世界各地域で商品ラインアップの見直しを進めている。そのなかでテクトンが成功を収めれば、今後のSUV戦略を支える中核モデルへ成長する可能性も十分ある。
■ 日産SUV戦略は“量販”と“電動化”の二本柱へ
テクトンはインド発の世界戦略SUVとして量販市場を担う一方、将来的な電動SUVや上級モデルとの役割分担も視野に入れた存在となりそうだ。単なる新型車ではなく、日産がグローバル市場でSUVブランドを再構築していくための重要な一歩として、その今後の展開に注目したい。








