むしろ自身の運転が
アバルトのクセを強めている?
595の挙動に悩む前に、まず押さえたいのがドライビングポジションだ。背の高いコンパクトカーゆえに、車高を落としてシートポジションも下げると、安定・安心感が高まりそうに思える。しかし、蘇武講師は違った視点を持つ。
「メーターバイザーが大きいので、着座位置が低く過ぎると、視界と被って、前方が見にくくなる。当然、運転の姿勢に影響します。メーターバイザーの位置に合わせて、ポジションを決めましょう」
ハンドル、ペダルとの関係も確認しながらしっかりポジションを調整することで、操作性を確保する。
挙動が不安定になりやすいブレーキングについては、

「595はフロントのみブレンボの大型ブレーキが備わるため、強い初期ブレーキ踏力では前のめりになりリア荷重が抜けやすい。制動初期ではドン・ブレーキではなく、丁寧に踏むのが姿勢を乱さないコツだという。
それで止まりきれなくなって、クルマを曲げられない。ABSが掴んだり、離したりする周期でも車体が振られる。結局、クルマの向きを変えられなくて、コーナーの奥へ行くラインが定まらなくなる。
だから制動初期はペダルを丁寧に踏んで、気持ち長めにブレーキを掛けます。試してみてください」

595はフロントのみブレンボの大型ブレーキがつくため、強い初期ブレーキ踏力では前のめりになりリア荷重が抜けやすい。制動初期ではドン・ブレーキではなく、丁寧に踏むのが姿勢を乱さないコツだという。
感覚を磨くには、基本に立ち返ってスローインファーストアウト。そこから、アプローチの精度を上げていくのが、595乗りこなしの第一歩といえるだろう。

コーナーのライン取りについては、
「この車体で、エンジンは低回転からピックアップがよくて、パワーがぐっと盛り上がる。なので、パワーアンダーの傾向があります。ボトムスピードを無理に上げると、結果的にクルマが外へ進んでいく。それでアクセルを戻すと、今度は待ち時間が増える。
高いボトムスピードで早く旋回しようとしても、もともとクルマがそういう性格ではないんです。僕が心掛けているのは、抑えて走るV字状のライン取り。縦に進み、縦に立ち上がる。それにもブレーキングが大事なんです」
595は長い旋回コーナリングが得意な車両ではない。そのためボトムスピードでしっかり向きを変えるV字ラインを意識したほうが、立ち上がりでタイヤを縦に使えてタイムが出るというのだ。
慣れるまでの練習には
逆に制御も活用する?

続いて、アクセル操作について。
「コーナーの立ち上がり加速でのアクセルONは、パワーを一挙に出すような操作はしません。舵角とトラクションの掛かり方を意識しながら開けます。
595コンペティツィオーネはハンドルを切った状態でアクセルをドンと踏んでも、制御でパワーが絞られる。ハンドルを戻さないとパワーが出ないので、操作の同調がつかみやすいかもしれません。
初心者は、電子制御を切らずに練習するのも手です。トラクションコントロールも効きますから」もちろん、その電子制御は、スポーツ走行やタイムアタックでは足かせになる。

595は純正スイッチの制御OFFでは、解除しきれない。A PITデモカーの595コンペティツィオーネは年式から、制御の介入対策にはTHREE HUNDREDのTTCカットオフデバイスを使う。OBD接続で、ABSの機能を残したまま解除が行えるのだ。

さらに、コーナーを立ち上がってからのシフトアップのコツとしては
「トランスミッションのギア比が割にロングなので、基本はしっかり上まで回してシフトアップすること。引っ張り方が足りないと、ギアチェンジで回転が落ち過ぎて、次のギアとのつながりに間ができます。加速が遅れてもったいない」
とコメント。そして、595でサーキットを走るうえで気をつけたいのが縁石だ。

「クルマの特性から、縁石を使うのはミスしたときに危ない。ドライバーが乗っていない側を乗せるのはリスクが多いので、要注意です」
ドラテクをパーツで補う。そんなアドバイスも含めて締めたい。「フロントサスのバネレートを少し上げる。ブレーキパッドはコントロール性の高いタイプを選ぶ。リアスポイラーを装着。リアサスの取り付けを補正したり、ピロにしたりする方法はあります。
初心者には、595は電子制御が凄く助けてくれて、優しく走れます。中上級者は性格に合わせた運転で、どんどん面白さに触れられる。サーキットではその特性を学びつつ遊びましょう」
■A PIT オートバックス東雲
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