250ccなどの軽二輪車に車検がない理由

そもそも、車検が必要なバイクか否かは、道路運送車両法で定められた車両区分によって異なる。

【道路運送車両法上の区分と車検の有無】
小型二輪車(250cc超)=車検が必要(新車は初回3年、以後2年ごと)
軽二輪車(125cc超~250cc以下)=車検不要
原動機付自転車(125cc以下)=車検不要

上記を見れば分かる通り、250ccを超える350ccや400ccモデル、それ以上の大型バイクは、小型二輪車に該当し、道路運送車両法上の「検査対象」となっているため、車検が義務付けられている。

一方、250ccや155ccなどの軽二輪車は、道路運送車両法上の「検査対象外軽自動車」に該当するため、車検を受ける必要がない。

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250ccなどの軽二輪車は法律で検査対象外となっているため、車検が不要(写真はホンダ・レブル250E-クラッチ)

車検がないからコスパがいい!

しかも、250ccなどの軽二輪車は、原付と違い高速道路を走行できるため、ツーリングにも適している。加えて、小型二輪車のように車検がないことで、主に以下のようなメリットがある。

・車検費用が不要
・自動車重量税は原則として新車新規届出時のみ

車検代は、ショップに依頼する場合、車両や整備内容などによっても変わるが、数万円程度かかるケースが一般的だ。車検がない軽二輪車は、後述する点検や整備などの費用こそ必要となるが、車検に伴う検査費用や手続き費用が発生しない分、維持費を抑えやすい。

また、小型二輪車は車検の際などに自動車重量税を納付する必要がある。自家用で車齢13年未満なら1900円/年(継続車検時は2年分の3800円)なのに対し、軽二輪は新車新規届出時に4900円を納付するだけ。検査対象外の軽二輪車は継続車検がないため、その後の自動車重量税の納付もない。

維持費の点でも、400ccや1000ccなどの小型二輪車と比べて有利な面が多いのが軽二輪車。それが、このジャンルの人気を高めている要因のひとつといえるだろう。

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車検がないことで、維持費面でも小型二輪車より有利なのが軽二輪車

車検なしでも定期点検は義務!

ただし、車検がないからといって、「ノーメンテでいい」というわけではない。125cc超~250cc以下の軽二輪を含む二輪自動車では、道路運送車両法に基づき、定期的な点検整備を行うことが使用者の義務となっている。

二輪自動車の定期点検には、1年ごとに行う項目と2年ごとに行う項目があり、国土交通省の資料では、それぞれ35項目、54項目が基本となっている。定期点検の具体的な項目は点検整備記録簿に示されており、メーカーが提供するメンテナンスノートにも添付されている。

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車両購入時にメーカーが提供するメンテナンスノート(写真はホンダの126cc以上用)

二輪自動車の定期点検には、1年ごとの点検と2年ごとの点検があり、国土交通省の資料では、それぞれ35項目、54項目が基本となっている。定期点検の具体的な項目は点検整備記録簿に示されており、メーカーが提供するメンテナンスノートにも添付されている。

点検では、ハンドルまわり、ブレーキ、タイヤ、ホイール、サスペンション、灯火装置、エンジンなど、走行の安全に関わるさまざまな箇所をチェックする。

なお、定期点検は専門的な知識や技術が必要な項目も多いため、国の認証を受けた整備工場などに依頼することもできる。

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定期点検では、タイヤやブレーキ、ホイールやサスペンションなど、安全な走行に重要な装備のチェックを行う

なお、エンジンオイルの交換やスパークプラグ、チェーンなどのメンテナンスについては、定期点検とは別に、メーカーが定める交換時期や車両の使用状況などに応じて実施することが重要だ。

自分でできる日常点検も実施は必須

道路運送車両法では、定期点検とは別に日常点検も義務付けている。

日常点検とは、自動車の使用者が、走行距離や運行時の状態などから判断して適切な時期に、自身の責任で行う安全確保のための基本的な点検のことだ。つまり、一般の自家用車やバイクでは「1か月に1回」などと一律に決められているわけではなく、走行状況などに応じて適切なタイミングで実施する。

たとえば、以下のような内容が挙げられる。

【日常点検の例】
・ブレーキの効き
・タイヤの空気圧や損傷、溝の状態
・灯火装置の点灯・点滅
・方向指示器の作動
・エンジンのかかり具合や異音
・ドライブチェーンなどの状態

これらは目視や手で触れるなど、比較的簡単に確認できるものが多く、特別な資格は必要ない。タイヤの空気圧を確認する際などには、エアゲージなどの工具があると便利だ。

なお、日常点検で確認すべき具体的な項目についても、国土交通省の「自動車の点検及び整備に関する手引」やメーカーのメンテナンスノートなどを参考にすることができる。

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メンテナンスノートには、日常点検の項目も記載されている

日常点検や定期点検・整備は、車検の有無にかかわらず、二輪車の使用者に求められているものだ。車検がない軽二輪だからこそ、ユーザー自身が愛車の状態を確認することが重要になる。

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走行状況などに応じてオーナーが実施する日常点検も重要

点検をしないことによるリスクやデメリット

日常点検や定期点検を実施しなかったこと自体について、直ちに罰則が科される仕組みになっているわけではない。だが、点検・整備を適切に行わないことで、以下のようなリスクが考えられる。

・整備不良による故障や事故のリスク
・自賠責保険の更新を忘れるリスク
・整備履歴が売却時の査定に影響するリスク

まず、点検を怠ったことで、故障や事故などのトラブルが発生するリスクが高まることが考えられる。

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点検を怠ったことで、故障や事故などのトラブルが発生するリスクが高まる

また、車検があるバイクでは、車検のタイミングで自賠責保険の更新時期を確認する機会がある。一方、車検がない軽二輪では、更新時期を自分で管理する必要があるため、ついつい忘れてしまう可能性もある。

ちなみに、もし自賠責保険の更新を忘れ、有効期限が切れたままバイクに乗ると、無保険運行となり、以下の罰則の対象となる。

【無保険運行(自賠責保険の未加入・期限切れ)の罰則】
・違反点数:6点
・刑事罰:1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

違反点数6点は、免許停止処分の対象となる。自賠責保険は250cc以下のバイクでも加入が義務付けられており、期限切れには十分注意したい。

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車検のない軽二輪車などは、自賠責保険の更新を忘れるリスクもある

なお、任意保険については車検の有無とは別に更新時期を管理する必要がある。車検がないことを理由に、任意保険まで忘れてしまわないよう注意したい。

さらに、愛車を売却する場合も、メンテナンスノートや点検整備記録簿などに整備履歴がきちんと残っている車両は、購入希望者や買取業者が車両の状態を判断する際の材料になる。

もちろん、整備履歴があるから必ず高く売れるというわけではない。しかし、点検や整備の履歴が残っていない車両は、これまでどのように管理されてきたのか分かりにくく、査定時に不利に働く可能性もある。そのため、きちんと点検を実施することはもちろん、メンテナンスノートなどの整備記録もきちんと管理しておきたい。

SNSでの「車検必要論」の真相は?

ちなみに、最近、SNSなどでよく話題になるのが「軽二輪車への車検導入」だ。

これについて、2026年9月上旬現在、国土交通省が軽二輪車への車検導入を決定した、あるいは具体的な導入時期などを公表した事実は確認できない。現状では、あくまで「250ccなどのバイクにも車検が必要なのではないか」という意見や主張がSNSなどで見られる、という段階だ。

ただし、だからといって、安心していてはいけない。こうした軽二輪車の車検必要論を主張する人たちの背景には、「車検がないことを理由に、250ccなどの軽二輪で整備不良の危険なバイクが走っているのではないか」という問題意識がある。

たとえば、ブレーキなどの整備を十分に行っていないため、安全に停止できないような車両が公道を走れば、重大な事故につながる可能性もある。そうした「走ると危険な車両」による事故を防止する策のひとつとして、車検の必要性を挙げる意見があるわけだ。

SNSなどを見ると、実際に整備不良とみられる二輪車についての投稿などが見られることもある。ただし、SNS上の情報だけで軽二輪全体の整備状況を判断することはできない。

いずれにしても、せっかく車検がないことで維持費を抑えやすい軽二輪車でも、整備不良による重大事故が増えれば、将来的に制度の見直しを求める声が強まる可能性はある。

だからこそ、ライダー側も「車検がない=点検しなくていい」と考えるのではなく、ユーザーの責任として日常点検や定期点検・整備をきちんと行うことが重要だ。

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軽二輪車のメリットを十分にいかすためにも、ユーザーの責任として日常点検や定期点検・整備をきちんと行うことが重要

車検がないからと点検・整備を後回しにした結果、故障して余計に修理費が高額になるケースも考えられる。ともあれ、安全かつ快適にバイクライフを楽しむためにも、車検の有無にかかわらず、日常点検と定期的な点検・整備はしっかり実施したいものだ。

【関連リンク】
国土交通省「自動車の点検及び整備に関する手引」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/tebiki.html