現在、自動車には多種多様な税金が課せられているが旧車乗りにとっては「13年経過後の重課税」が悩みの種だ。毎年4月1日時点で自動車を所有している人には自動車税が課せられる。自動車税は都道府県税であり、排気量が大きくなるにつれ税額が高くなる。さらに登録から13年が経過した自動車には上乗せして税金が課せられている。

日本の自動車税は非常に高額だ。例えばアメリカの自動車税は日本と比較すると約23.4倍、フランスでは約9.2倍、ドイツだと約3.4倍、イギリスは約1.4倍と比較するのが馬鹿らしくなるほど高い。さらには車検時に重量税までかかり燃料に複数の税金が課せられている。このような状況を嘆く自動車ユーザーは多いけれど、それが政治に反映されることはない。所有台数が多い人にとっては頭の痛い問題で、特に旧車を複数所有していると税額は大変なものとなる。念の為、どれだけ重課されているかを再確認してみよう。
自動車税と13年経過した車両への重課税
排気量 自動車税 重課税 1,000cc以下 29,500円 33,900円(+4,400円) 1,000cc〜1,500cc 34,500円 39,600円(+5,100円) 1,500cc〜2,000cc 39,500円 45,400円(+5,900円) 2,000cc〜2,500cc 45,000円 51,700円(+6,700円) 2,500cc〜3,000cc 51,000円 58,600円(+7,600円) 3,000cc〜3,500cc 58,000円 66,700円(+8,700円) 3,500cc〜4,000cc 66,500円 76,400円(+9,900円) 4,000cc〜4,500cc 76,500円 87,900円(+11,400円) 4,500cc〜6,000cc 88,000円 101,200円(+13,200円) 6,000cc超 111,000円 127,600円(+16,600円)

実は国民民主党が2026年6月に「自動車ユーザー負担軽減法案」として13年経過した自動車への重課税を廃止するよう求めた法案を衆議院へ提出している。この法案では自動車税および自動車重量税について、重課税されている分を廃止するよう求めているのだ。実は13年経過した自動車への重課税は「特例」として導入されたもので、国民民主党が提出したのは「自動車重量税率の上乗せに係る特例の廃止に関する法律案」と「自動車税及び軽自動車税の税率の上乗せに係る特例の廃止に関する法律案」であり、特例を廃止せよとしているのだ。

仮にこの法案が成立すれば旧車ユーザーの嘆きは解消するのだが、先行きは不透明と言わざるを得ない。そしてこの法案提出より前に動いた人物がいる。東京都東大和市在住のスカイライン収集家である石川勝三さんだ。石川さんはプリンス時代のスカイラインスポーツに始まり2代目のスカイライン2000GT-A・B、3代目のC10型スカイラインGT-R、4代目のC110型、通称ケンメリGT-RやGTなど数多くのスカイラインを所有している。そしてそのほとんどがナンバープレートを交付され車検を継続している。だから毎年の自動車税負担は大変なものになる。

貴重なコレクションたちはいわば「産業遺産」でもある。なかなか自動車が文化として語られることの少ない日本だが、戦後復興を支えたのは自動車産業であると言って過言ではないし、その過程で生み出された中には世界的に見ても価値ある存在が少なくない。これら貴重なクルマを保有して維持していくことがどれだけ大変なことかは過去に記事でも紹介している。石川さんが所有するスカイラインたちは50年前後経過した立派な名車であり、これからも後世へ残すべき存在。それなのに重課税とは理解し難い悪法と言える。

ちなみにただでさえ高い日本の自動車税だが、海外では特に先進国を中心に古いクルマへの税金を下げることが一般的だ。ドイツでは登録から30年を経過した「オリジナルを維持する」個体は自動車税や車検制度などに優遇措置が導入される。イギリスでも同様に登録から40年を経たクルマは自動車税が課せられない。こちらも主要骨格がノーマルを維持している個体に限られる。イタリアでも登録から20年を経過すると自動車税が減免され、30年経つと免除になる。さらに言えばアメリカは自動車税ではなく登録料が車両価格の9.65%かかり、登録後11年間減免され、道路改善料として1.7万円ほどがかかるだけだ。

スカイライン収集家の石川さんに海外の事情を話すと非常に憤慨された。明治時代に廃城令が出され貴重な城の多くが取り壊された。だが現在まで残る名城は歴史遺産として認知され、海外からも多くの観光客が訪れる。石川さんはこのことに触れ古いクルマにも一定の価値があり、いずれは産業遺産として語られる日が来るはずと語る。それなのに重課税では納得できないとする考えに賛同したのが、東京都議会議員である高田清久さんなのだ。議員は石川さんと同じ地元であり、話をする機会があったことで石川さんの強い思いに共感された。
そして数度の会合を経て2026年4月7日に東京都庁の駐車場へ多くの旧車が乗り付け、「製造から50年を経過した自動車に対する自動車税の減免制度拡充に対する要望書」が提出された。旧車にまつわる要望書が提出されたのは今回が初めてのことで、正式に受理されたものの高田議員によれば簡単に要望書の内容が実現するわけではない模様。そこで10月某日、石川さんのガレージにおいて打開策への会合が開かれた。

会合では高田議員から先行きを明るくするためには、自動車を文化として認めてもらうことが必要との結論に至った。文化事業で広く都民に旧車の魅力を伝える運動を継続することで、旧車が価値あるものと広く認知してもらうことが先決問題だと提案された。そこで会合に同席されたのが文化事業を広く手掛け、映像作品にも関与されているカルチャーマーケティング・ジャパン代表の福武謙さん。要望書を現実のものとすべく、東京都でイベントを開催することで会合は一致した。今後、どのような展開になるのか目が離せない。続報がお届けできることを願うばかりだ。