ポルシェが開発を進める高性能SUV、カイエン ターボGTの改良型プロトタイプが、ドイツ・ニュルブルクリンクで目撃された。今回のテスト車両はカモフラージュがほとんど取り払われており、市販仕様に近いエクステリアが明らかになった。さらに、軽量化や空力性能の向上を狙った“ヴァイザッハパッケージ”が新たに設定される可能性も浮上している。

カイエン ターボGTは、ポルシェのSUVラインアップでもサーキット走行を強く意識した高性能モデルだ。現行型は4.0L V型8気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力659ps、最大トルク850Nmを発揮する。0-100km/h加速は3.3秒、最高速度は305km/hに達する。

今回ニュルブルクリンク北コースで捉えられたのは、ブラックのボディをまとったカイエン クーペの開発車両だ。ヘッドライトやバンパーの一部には偽装が残るものの、ボディの大部分は露出しており、改良型のデザインがほぼ確認できる状態となっている。
フロントでは、大型エアインテークを備えたバンパーの造形が変更された。中央の開口部はほぼ露出しており、左右のエアインテーク内部も現行型とは異なる構成となっている。バンパーに設けられた水平基調のラインは従来より直線的になり、車幅を強調するデザインへと進化している。
ヘッドライトにも変更が加えられる見込みだ。灯体の基本形状は維持されているが、内部の発光グラフィックには偽装が施されており、新しいLEDシグネチャーが採用される可能性がある。
一方、サイドビューに大きな変化は見られない。低く流れるルーフラインや張り出したリヤフェンダーなど、カイエン クーペ特有のシルエットを継承している。
今回のプロトタイプで最も目を引くのが、リヤに装着された大型ウイングだ。
ルーフ後端には存在感のあるスポイラーが設けられ、リヤゲート側には一体型のリップスポイラーを配置。2つのスポイラーを組み合わせることで、高速走行時の空力性能を高める狙いがあるとみられる。
リヤコンビネーションランプの間にはブラックの偽装が残されており、左右をつなぐライトバーの発光グラフィックや“PORSCHE”のロゴにも変更が加えられる可能性がある。
リヤバンパー下部には、カイエン ターボGTの特徴であるセンター2本出しの大型エキゾーストパイプを継承。その周囲には迫力のあるディフューザーが組み込まれている。バンパー左右の下部にも偽装が残されており、エアアウトレットの形状が見直されるようだ。
こうしたエアロパーツの構成から、今回の開発車両には“ヴァイザッハパッケージ”が装着されている可能性が高い。
“ヴァイザッハパッケージ”は、ポルシェの研究開発拠点が置かれるドイツ・ヴァイザッハに由来する名称で、軽量化や空力性能の向上を目的とした高性能仕様に用いられている。
これまで911 GT3 RSや電気自動車のタイカン ターボGTなどに設定されてきたが、カイエン ターボGTに採用されれば、新たなサーキット志向の仕様が加わることになる。
現時点では具体的な装備内容は明らかになっていないものの、専用チューニングを施したシャシーやサスペンション、軽量化パーツなどの採用が予想されている。
軽量鍛造マグネシウムホイールも候補のひとつだ。車体重量だけでなく、ばね下重量の削減にもつながるため、ブレーキング性能やコーナリング性能の向上が期待できる。
また、今回のテスト車両にはロールケージが装着されていることも確認された。ニュルブルクリンク北コースで高速走行テストを実施していることから、空力性能やシャシー性能の検証が進められているものと考えられる。ただし、ロールケージが市販仕様にも採用されるかは不明だ。
パワートレインについては、現行型の4.0L V8ツインターボを継続する可能性が高い。
現行カイエン ターボGTは、最高出力659psを発揮するV8エンジンと8速AT、四輪駆動システムを組み合わせ、SUVとしては極めて高い動力性能を実現している。
改良型でさらなる出力向上が図られるかは明らかになっていないが、“ヴァイザッハパッケージ”ではエンジンの高出力化だけでなく、軽量化や空力性能、サスペンションの最適化によって総合的な走行性能を高める方向が考えられる。
ポルシェは電動化を進める一方、内燃エンジンを搭載するカイエンの改良も継続している。
現行の第3世代カイエンは2017年に登場し、2023年には内外装やシャシー、パワートレインなどを大幅に刷新した。今回目撃されたプロトタイプは基本的なボディ構造を継承していることから、全面刷新ではなく、再度の大幅改良となる見通しだ。
なお、ポルシェは2025年11月に電気自動車のカイエン エレクトリックを発表している。内燃エンジン車とEVを並行して展開するなかで、V8エンジンを搭載するターボGTの高性能化も進めているようだ。
今回の開発車両は2028年モデルとして登場する可能性が指摘されているが、正式な発表時期や発売スケジュールは明らかになっていない。
“ヴァイザッハパッケージ”の採用が実現すれば、カイエン ターボGTは従来以上にサーキット性能を重視したモデルとなる。今後は専用シャシーの仕様や軽量化の内容、ニュルブルクリンク北コースでのラップタイムが注目される。













