プロトタイプの造形を受け継ぎ、グロスブラックとチタンの地肌で仕上げた市販予定車が登場

ホンダは、イタリア・ミラノで開催されるEICMA 2026(ミラノショー、プレスデー:11月3〜4日、一般公開:11月5〜8日)に、「V3R 900 E-Compressor」の市販予定車を出展した。

ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車

V3R 900 E-Compressorは、二輪車として世界初(ホンダ調べ)となる電子制御過給機を備えたV型3気筒エンジンを搭載するネイキッドモデル。EICMA 2025でプロトタイプとして初公開され、日本でも今春の大阪、東京、名古屋の各モーターサイクルショーで展示されたモデルだ。

今回の市販予定車は、プロトタイプで示した筋肉質なボリューム感と、左右非対称のサイドカウルという基本の構成を受け継ぐ。外装はグロスブラックのパネルと、チタンの地肌を活かしたつや消しの燃料タンクの組み合わせ。トレリスフレームはガンメタリック、シリンダーヘッドカバーはレッドとし、フロントフォークのゴールド、ホイールのブロンズとあわせて、メカニカルな部分を積極的に見せる仕立てだ。

ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車

右には大きく口を開けたダクト、左にはブラックの開口部。左右で表情を変えたサイドカウル

左右非対称のデザインがもっとも表れているのが、燃料タンク前方のサイドカウルだ。車体右側は、太いシルバーの枠で縁取った大きなダクトが前方に口を開け、縦長の開口部が目を引く。一方の左側はグロスブラックのパネルにブラックで縁取ったひとまわり小さな開口部を設けた控えめな造形で、正面から見ると左右の違いがはっきりわかる。左右のカウルには、円形のバッジに収めたウイングマークと「V3R 900」のロゴを配置した。

フロントまわりは、Y字形のLEDヘッドライトを中心に、その両脇をスモークの小さなパネルで挟んだシャープな顔つき。丸形のミラーは細いステーでハンドルの上に掲げている。

ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車
ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車
ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車

中央の溶接ラインを見せるチタン製燃料タンクと、3本出しのチタン製マフラー

市販予定車では、燃料タンク、エキゾーストパイプ、マフラーにチタンを採用した。ヘアライン調の燃料タンクは、上面の中央を縦に走る溶接のラインをそのまま見せているのが特徴だ。給油口まわりはグロスブラックのカバーで覆い、その前端には「E-COMPRESSOR」のエンブレムとメッシュを組み合わせた。なお、ホンダは同じEICMAで公開した新型「CBR1000RR-R FIREBLADE」にもチタン製燃料タンクを採用している。

ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車

マフラーは車体右側に1本。角断面の大柄なサイレンサーで、後端のブラックのエンドキャップから3本のテールパイプがのぞく。サイレンサーには「TITANIUM」と「V3R 900」のロゴを入れた。エンジンの前方から下側へ回り込むエキゾーストパイプは、チタンの焼け色をそのまま見せている。

ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車

赤いヘッドカバーをのぞかせるトレリスフレームと、右側からホイールが丸ごと見える片持ちスイングアーム

シャシーはパイプを組んだトレリスフレームで、その内側に収まったV型3気筒エンジンの赤いシリンダーヘッドカバーが外からよく見える。リヤには片持ちスイングアームを採用。スイングアームは車体左側にあり、右側からはブロンズのホイールが丸ごと見える構成だ。

ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車
ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車

リヤサスペンションはショーワ製で、上部のダイヤルには伸び側(TEN)と縮み側(COM)の表示があり、それぞれの減衰力を個別に調整できるようだ。フロントはゴールドのアウターチューブをもつ倒立フォーク。ブレーキキャリパーは前後ともレッドで、フロントキャリパーには「V3R 900」のロゴを入れた。フロントのフローティングディスクは、大きな抜きを設けた独特の形状だ。タイヤはミシュラン・パワーGP2(フロント120/70ZR17、リヤ200/55ZR17)を装着している。

テールまわりは短く切り上げた形で、ブラックのテールカウルにLEDのテールライトを組み込む。ナンバープレートのホルダーはテールの下から後方へ伸ばしている。

ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車
ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車
ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車

900ccで1200cc級の性能をめざす、二輪車初の電子制御過給機

V3R 900 E-Compressorの核となるのが、エンジン回転数に関係なく過給をコントロールできる電子制御過給機だ。低回転からレスポンスの良いトルクを発揮し、900ccの排気量で約1200ccのエンジンに匹敵する性能を得られるという。エンジンはEICMA 2024で公開したコンセプトの水冷75度V型3気筒を基本に、プロトタイプの段階で排気量を900ccとした。

プロトタイプ公開時にホンダが掲げた開発コンセプトは「Non-Rail ROLLER COASTER(ノンレール ローラー コースター)」。レールのないジェットコースターのように、「約束された高揚感」と「卓越した安心感」という相反する要素を両立させることをめざしたものだ。

ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車

操作性を高めたHMIと、AIによる音声操作に対応した新しいHonda RoadSync

装備面では、スマートフォン連携機能「Honda RoadSync」の進化版を採用した。より直感的に操作できるHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)に加え、AIを活用した音声操作に対応し、ライダーは走行中も声でシステムを操作できる(利用には専用アプリが必要)。メーターは横長のTFTディスプレイで、ハンドルクランプには「V3R」のロゴを入れた。RoadSyncの新機能は、対応するほかのホンダ車にも順次導入する見込みだ。

ホンダV3R 900 E-Compressor市販予定車

出力や車両重量などの主要諸元と価格は未発表。生産開始の時期は、近く詳細を発表する見込みだという。