ディーゼルもフルハイブリッドもない新型CX-5。それでも売れている理由は?

2026年5月におよそ9年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたマツダCX-5のセールスが好調だ。
6月 4668台
7月 4240台
8月 3329台
9月 4394台
10月 2959台
マツダの大黒柱だから、売れてくれなくては困るモデル、売れて当然。開発陣にかかったプレッシャーも並大抵ではないだろう。
これまで国内で高い支持を受けていた2.2L直4ディーゼルターボ(SKYACTIV-D2.2)をラインアップから外し、2.5Lガソリン直4+マイルドハイブリッドだけでデビューしたわけだが、2027年中に登場を予告しているSKYACTIV-Z+マツダ独自のフルハイブリッドなしというのも、当初の不安要素だったはずだ。
ふたを開けてみたら、受注は2万台を超えているという。
ひとクラス上がったようなボディと室内。Gグレードでも十分に上質

そのCX-5を借りだしてロングドライブに出かけた。グレードはミドルグレードのG、駆動方式はAWDである。
車両価格は375万6500円だ。
先の価格の話をしておくと、
FWDとAWDの価格差は23万6500円
最上級グレードであるLとの価格差は55万円だ。
いまどきのこのクラスの国産SUVの価格は、もっと高い。
トヨタRAV4 アドベンチャー(AWD)454万9600円
日産エクストレイル G e-4ORCE(AWD)495万円
ホンダCR-V e:HEV RS(AWD)512万2700円
という具合。上記のモデルはすべてフルハイブリッドだ。フルハイブリッドでないスバル・フォレスター ツーリングEX(AWD)が399万3000円。だから、CX-5の価格は、いまどきの言葉でいえばとても「アフォーダブル」なのだ。
と言っても、エクステリアもインテリアもライバルたちにひけを取らないどころか、上質さでは優位に立てる出来だ。
フルハイブリッドがない現状では、ウィークポイントは燃費、ということになろう。そこで、1週間お借りしてロングドライブに出かけてみたわけだ。
前型CX-5は、モデルライフ中、何度も試乗する機会があった。そのたびに、「これでいいじゃん、いや、これがいいじゃん」と思わせてくれるクルマだった。サイズもデザインもいい。とくに2.2Lディーゼル搭載モデルのトルキーな走りと燃費は、文句なしだった。
新型はどうだろう?

いつもの通り、マツダR&Dセンター横浜で車両を借り出す。
キープコンセプトとはいえ、やはりデザインはマツダらしく美しい。エアログレーメタリックのボディカラーも気に入った。
前型からサイズアップしたボディのおかげで、新型はクラスがひとつ上がった感じだ。
前型
全長×全幅×全高:4575mm×1845mm×1690mm
ホイールベース:2700mm
新型
全長×全幅×全高:4690mm×1860mm×1695mm
ホイールベース:2815mm
サイズアップの恩恵は、おもに後席の居住性に当てられている。確かに後席はアクセスも含めて快適だ。


最初、全幅1860mmというのがちょっと気になっていたのだが、視界の良さとカメラによる周囲のモニタリングが大きなセンターディスプレイに出るので、すぐに慣れた。そもそも、このクラスのベストセリングモデルであるトヨタRAV4の全幅は1880mmだし。
乗り込んで最初に目に付くのはセンターディスプレイだ。Gグレードのそれは12.9インチ。最上級グレードのLになると、15.6インチになる。Gの12.9インチだと物足りない? なんてことはまったくない。テレビ選びと同じで、家電専門店で55インチの隣に75インチがあれば、「75インチの方が大きくていいかも」と思うかもしれないが、買って家に据え付けたら、もう比較対象がない。55インチで十分だ、になる。
CX-5も同じ。Gの12.9インチでまったく不自由しないし、なんなら「大きなディスプレイだなぁ」と感心する。
市街地では9.9km/L。やはりフルハイブリッドとの差はある

形式:直列4気筒DOHC
型式:PY-VPH型(SKYACTIV-G2.5)
排気量:2488cc
ボア×ストローク:89.0mm×100.0 mm
圧縮比:13.0
最高出力:178ps(131kW)/6000-6200pm
最大トルク:237Nm/3800-4000pm
燃料供給:DI
燃料:レギュラー
燃料タンク:58ℓ
モーター:MK型交流同期モーター
最高出力4.8kW(6.5ps)
最大トルク60.5Nm
エンジンを始動する。マツダのエンジンらしいサウンドは好印象だ。けしてうるさくない。ただし、アイドルストップからの再始動は、フルハイブリッドやBEVに慣れていると、一瞬タイムラグがあるように感じるかもしれない(でも、再始動はすごく速いのだが)。
マツダR&Dセンター横浜から新宿の編集部まで37.6km走って、燃費は13.9km/Lだった(渋滞あり)。
モード燃費は
WLTCモード 14.2km/L
市街地モード10.9km/L
郊外モード:14.4km/L
高速道路:16.2km/L
自宅から編集部まで通勤でつかうと12.5kmで9.9km/Lとなった。このあたりがフルハイブリッドでないコンベのエンジンのディスアドバンテージとなる。
渋滞時ハンズオフとPDAが快適。マツダのADASは大きく進化した
さて、いよいよロングドライブである。都内から愛知県豊田市に向かう。カローラ60周年記念セレモニーを取材するためだ。
片道330km程度。東名の渋滞を避けるために早朝出発としたのに、やはり渋滞に巻き込まれてしまう。

ここで役に立つのが、渋滞時ハンズオフアシストだ(オプション設定)。40km/h以下ならハンズオフで走れる。これがかなり便利だ。もちろん、前方を見ていなければならないが、ペットボトルのふたを開けたり、スマホを充電したりを両手でできるのは楽。流れが少し速くなると「ハンドルをにぎって」とクルマから促されるが、それでも渋滞中にハンズオフができるメリットは存外大きい。
新型CX-5でもうひとつ気に入ったポイントは、プロアクティブ・ドライブ・シストだ。作動対象(先行車、自動二輪車)を検出したときにブレーキ操作の一部をクルマ側が支援し、ドライバーの負担を軽減してくれる。アクセルペダルを離したときに先行車との車間距離が近づきすぎないよう、ブレーキ操作の一部を支援してくれるのだ。これは制御が自然でとても楽だった。
高速でのADASもCX-5になって大きく進化している。以前のCX-5、というよりマツダ車全般にとって、高速道路での運転支援は必ずしも得意分野ではなかった。しかし、新型CX-5では大きく進化した。少なくとも今回の812.6kmのロングドライブでは、ライバルに対して見劣りするとは感じなかった。東京から豊田市までの行程のほとんどは、マツダ/レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)の全車速追従ADASのお世話になった。まったく楽ちんである。
新東名120km/h巡航でも余裕。高速道路では17~18km/Lを記録
高速道路での燃費は、休憩するサービスエリアごとに見ていたが、おおむね17~18km/L。モード燃費を上回っていた。
往路の新東名では制限速度120km/h区間は設定速度を120km/hにして走行、復路では100km/hにして走行した。当然のことながら、100km/h設定の方が燃費が少しよかった。
メーター読みでは
100km/h巡航時 約2000rpm
120km/h巡航時 約2400rpm
100km/hから120km/hへと速度を20%上げると、空気抵抗は約44%増加する。空気抵抗に打ち勝つために必要な出力に至っては約73%も増える。もちろん、燃料消費量がそのまま73%増えるわけではないが、高速巡航では速度の違いが燃費に大きく影響する。
興味深いのは欧州仕様のCX-5のWLTPモード燃費だ。高速走行を想定したHighフェーズでは15.9km/Lなのに対し、さらに高速域まで使うExtra Highフェーズでは13.2~13.3km/Lとなる。
欧州仕様のCX-5のWLTPモード燃費は
Low:9.6~9.7km/L
Medium:13.9~14.1km/L
High:15.9km/L
Extra High:13.2~13.3km/L
欧州にはあるExtra Highを日本は採用していない。
高速道路モード(High)の最高速度は97.4km/hなのに対して欧州のExtra Highのそれは131.3km/h。平均速度はHighが約56.7km/h、Extra Highが約92.0km/hだ。
帰路は東名上り、横浜ICから大渋滞の表示があったので、120km/hで走行しても結局渋滞にはまることを考えて走行車線を淡々と100km/hで走った。100km/h巡航が退屈かと言えば、そんなことはなく、BOSEサウンドシステムで、スマホのApple Musicでお気に入りの曲をかけながらドライブするのは、とても気持ちが良い。室内は音楽を聴くのに相応しいほど静粛性は高かった。

後日、主査の山口さんと話をする機会があった。
「Google Geminiを試しましたか? Geminiをつかうと、ドライブ中、AIと対話しながら走れますよ。ロードサイドのたとえば、お城が見えたら、あのお城の由来を教えて、というような会話が結構楽しいんです。Googleアシストと違って、毎回”OK Google”って呼びかけなくてもいいし」
なるほど、次回はそれを試してみよう。
812.6kmの平均燃費は15.6km/L。私なら352万円のG・FWDを選ぶ
さて、今回トータルで812.6km走行した。平均燃費は15.6km/L。高速道路の比率が高かったとはいえ、市街地も大渋滞もあったことを考えると、モード燃費の109.9%という数字は良好だ。
もちろん、フルハイブリッド車の燃費と比較すれば物足りないだろうが、フルハイブリッドとなると車両価格もグッと上がる。コンベとHEVの設定があった前型RAV4ではその差は61万円、フォレスターでも50万円ほど。その差額分を燃費の向上分で取り戻すには、相当の距離と時間が必要になる。ガソリン価格が上がっている現状を見ると、フルハイブリッドがいいなぁと思う人もいるだろうが、ハイブリッド代と燃費の向上分の見極める方がいいと思う。
もちろん、フルハイブリッド車と比較すれば燃費では見劣りする。とくに市街地では、その差は小さくないだろう。しかし、フルハイブリッド車は車両価格も高くなる。その価格差を燃料代の節約だけで取り戻そうとすれば、相当な距離と時間が必要になる。
新型CX-5にも、2027年中にはSKYACTIV-Zとマツダ独自のフルハイブリッドシステムを組み合わせたモデルが登場する予定だ。もちろん、それを待つという選択もある。
しかし、今回812.6km走ってみて、現行の2.5Lガソリン+マイルドハイブリッドでも十分に魅力的だと感じた。



居住性も乗り心地も上々。乗り味はマイルドで、長距離を走っても疲れにくい。今回はワインディングロードを走っていないから、ハンドリングについての評価は控えたい。ドライブモードも終始ノーマルだった。
そもそも、CX-5クラスのSUVに求められるのは、スポーツカーやスポーティセダンのようなコーナリング性能ではないはずだ。家族や大切な人と、快適に、楽しく移動時間を過ごせること。その意味で、新型CX-5はユーザーの期待に十分応えてくれる。

そして、筆者が選ぶならGのFWDだ。ボディカラーはポリメタルグレーメタリック。車両価格は352万円。今回の試乗車と同じオプションを付けても約375万円である。
フルハイブリッドが登場するのを待たなくても、いまのCX-5で十分に満足できるのではないか。
お買い得、としか言いようがない。






マツダCX-5 G(AWD)
全長×全幅×全高:4690mm×1860mm×1695mm
ホイールベース:2815mm
車重:1740kg
サスペンション:Fマクファーソン式/Rマルチリンク式
駆動方式:AWD
エンジン
形式:直列4気筒DOHC
型式:PY-VPH型(SKYACTIV-G2.5)
排気量:2488cc
ボア×ストローク:89.0mm×100.0 mm
圧縮比:13.0
最高出力:178ps(131kW)/6000-6200pm
最大トルク:237Nm/3800-4000pm
燃料供給:DI
燃料:レギュラー
燃料タンク:58ℓ
モーター:MK型交流同期モーター
最高出力4.8kW(6.5ps)
最大トルク60.5Nm
トランスミッション:6AT
燃費:WLTCモード 14.2km/L
市街地モード10.9km/L
郊外モード:14.4km/L
高速道路:16.2km/L
車両本体価格:375万6500円(オプション:22万7700円 クルージング&トラフィックサポート/前側方接近車両検知/リヤシートヒーター/BOSEサウンドシステム/シートカラーetc.)オプション込みの価格は406万6150円
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