マツダ6の後継モデルにして「EZ-6」のインドネシア版
インドネシアの首都ジャカルタ近郊にあるコンベンションセンター「ICE BSD City」にて、 2026年7月30日 〜 8月9日の期間で開催された国際オートショー『GIIAS2026』で、マツダが同国史上初となるBEVとして発表したのが、ミドルサイズセダン「マツダ6eファストバック」だ。

まずマツダ6eファストバックについて解説すると、2024年4月の中国・北京モーターショーで世界初公開された「EZ-6」の名称違いで、中国以外の地域では「6e」の名で展開されているのだ。
同車は中国でのマツダの合弁事業パートナーである長安汽車の協力のもと、長安マツダが開発製造を行なう新エネルギー車の第1弾モデルで、2024年より中国での販売を開始。2025年より欧州市場にも販路を拡大し、さらに2026年からは、アジア・オセアニア地域での投入が進められている。

ちなみに、長安汽車のミドルサイズセダン「DEEPAL L07」とプラットフォームを共有するとされているが、セダンルックとフロアシフトレスのコクピットなどの似ている部分もあるが、内外装デザインやディスプレイの数など異なる点も多い。さらに中国向けモデル「EZ-6」のみ、発電エンジン付きのレンジエクステンダーモデルも用意されているのも特徴だ。マルチソリューション戦略の中で重要な役目を担う世界戦略車だが、その名が示すように、マツダ6の実質的な後継モデルに相当する。

ただ6eは、マツダ6セダンよりもひと回りサイズアップされ、全長4921mm(+56mm)×全幅1890mm(+50mm)×全高1485mm(+35mm)となる。クーペらしいルーフの低さを感じさせるが、意外にも全高は、セダンよりも大きいマツダ6ステーションワゴンより、さらに5mm高いのだ。
それでも低いシルエットに映るのは、コンパクトなガラスキャビンデザインに加え、ワイド化された全幅によりクーペらしいシルエットにあるのだろう。インドネシアでは、セダンであることよりも大型テールゲート付きの4ドアクーペであることを強調し、「ファストバック」のサブネームが与えられているのも特筆すべきところだ。

伸びやかなフォルムのファストバックスタイル
エクステリアの細部を見ていこう。展示車は、メルティングカッパーメタリックとソウルレッドクリスタルメタリックの2台。フロントマスクは、魂動デザインの特徴なワイドなグリルとシャープなライトを採用しているが、そのグリルはグラフィックだけのダミーで、一部にライトが仕込まれ、より鼻先の立体感が強められている。

ボンネット内部は小型収納になっているRWDだが、セダンらしい伸びやかなボンネットを持つことは、上級感とスポーティさを演出に重要な役目を果たしているだろう。鼻先に収納が設けられるのもメリット。足元のアルミホイールは、樹脂パネル組み合わせの空力特性に優れたもの。タイヤは効率に優れる「ミシュランeプライマシー」が奢られている。
サイドビューは、6ライトウィンドウによる流麗なクーペシルエットを構築しており、セダン風味は薄め。ボディパネルが厚めかつコンパクトなガラスエリアなので、実際の寸法よりも背が低く見えるのも美しさの秘密だろう。

テールランプは、リヤテールを横断型するワイドタイプだが、コンパクトなデザイン。マツダ3のように丸目4灯ライトを含む。大型テールゲートはトノカバーが付属するので、防犯対策もばっちり。展示車では、動きを見ることはできなかったがテールゲート内蔵式のリヤスポイラーも備えている。またドアハンドルも電動格納式で、空気抵抗低減と美しいデザインにひと役買う。

上質かつスポーティに仕立てられたインテリア

インテリアデザインも、上質かつスポーティさを意識したもの。ダッシュボードデザインは、CX-5同様にデジタルメーターパネルと大型センタータッチスクリーンを備えたものだが、セダン向けの薄型デザインに。シフト操作もコラムシフトとなるため、センターコンソール周りもすっきり。左右席の独立性を高めるだけでなく、広いスペースを活用したスマホ2台分のワイヤレス充電器と縦並びのドリンクホルダーに加え、その下にも小物入れがある。

フロントシートはヘッドレスト一体のセミバケットタイプで、質感とホールド性に優れた作り。助手席にはオットマンも備わっている。後席は3名乗車仕様かつフラットな床面の使い勝手の良いものだが、贅沢さを演出するべく、左右席を優先したデザインに仕上げられた4シーター風だ。内装はレザーとスエードのコンビで、全車タンカラーとなる。ルーフはシェード付きのガラスとなるので、ショー会場内でも室内が明るく開放感も抜群だった。
スペック&グレードは?
メカニズムにも触れておくと、駆動用リチウムイオンバッテリーの容量は77.94kWhで、満充電での航続距離を560km(WLTP)としている。駆動方式はモーターを後輪側に設置するRWDで、モーターの性能は最高出力190kW(258ps)・最大トルク290Nmを発揮する。

グレード構成はモノグレードとなるのでかなり豪華。19インチアルミホイール、SONY14スピーカーシステム、14.6インチタッチスクリーン、ベンチレーション付きフロント電動シート、ヘッドアップディスプレイ、充実の先進の安全運転支援システムなどを標準装備。唯一のメーカーオプションとしてボディカラーがあり、ソウルレッドクリスタルメタリックやポリメタルグレーメタリック、マシングレーメタリックの匠塗が設定される。

実は以前、筆者はマツダ6eを国内で取材・同乗したことがあるが、室内は広く快適。足まわりはスポーティな印象だったが、乗り心地は悪くなかったと記憶している。日本のマツダ車とは異なる巨大スクリーンを中心とした作りは、当時の最新マツダ車にはないものだったので独自性も感じた。そして、内外装の高い質感に購入者の満足度は高いのではと思ったものだ。

気になる現地価格だが、8億5000万ルピア(約745万円)と超高価だ。ただ継続販売されているCX-8(2.5L NA/FWD)が、8億2880万ルピア(約726万円)であることを鑑みれば、上級装備を備えるBEVとしては思ったほど高価でないとも受け取れる。ちなみに現地で最も高価なマツダ車はCX-80で、プラグインハイブリッドモデルを導入。2グレードが展開されているが価格は同じで11億9990万ルピア(約1050万円)となっている。

CX-80と比べるとお安いものの、700万円越えのBEVとなれば日本でも上級車に分類される高価な存在だ。しかも、平均年収が40万円台に留まるインドネシアでは夢のような高級車といえよう。そして、SUVやMPVが多い市場で4ドアクーペは貴重な存在であり、スポーツカー並に目立つこと間違いなし。どんな人がオーナーになるのかも、ちょっと気になるところだ。

日本への投入については今のところ検討されてはおらず、母国での電動化戦略はCX-5で予告しているマツダ独自のストロングハイブリッドと新エンジン「SKYACTIV-Z」との組み合わせが大きなカギとなるようだ。




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