“内装をわずかに動かす”|進化するヘルメットの安全性【EICMA2024】

2024年11月5日(火)〜10日(金)まで、イタリア・ミラノで開催されたEICMA(エイクマ)/ミラノ国際モーターサイクルショー。二輪完成車メーカーはもちろん、部品や用品のメーカーも多数参加し、新しい技術や新商品を発表する。ここではイタリアのヘルメットブランド「AIROH」に注目し、彼らが取り組むヘルメットの安全性の進化を紹介する。
PHOTO/REPORT●河野正士 (TADASHI KONO)

「AIROH(アイロー)」はイタリアンヘルメットのトップブランド。オンロードからモトクロス、ラリーやトライアルまであらゆるカテゴリーの世界選手権を戦うトップライダーをサポートしている。これまでは先進的な素材の使用やデザインで知られていたが、EICMA2024では安全性についても進化していることをアピールした。

現在、オフロードヘルメットを中心に、内装をわずかに動かすことで転倒時に脳に衝撃を与える回転運動を和らげる、新しい保護システムが広く認知されている。

AIROHは、ON/OFF問わずラインナップするほとんどのフルフェイス型ヘルメットに独自開発の衝撃軽減システムMNSを装備。オフロードヘルメットの最高峰である「AVIATER 3」シリーズには、より高い保護パフォーマンスを持つAMS2 Plusシステムを装備していた。

この内装を動かすことで脳への衝撃を軽減する保護システムは、多くのメーカーが採用。さまざまなヘルメットブランドに独自の保護システムを提供するMips(ミップス)が有名だが、SHOEIやアメリカの6D Helmetなども独自技術を開発し、市販用ヘルメットに採用している。これから他メーカーも、同システムを採用してくるだろう。

またAIROHが、オーストリアのエアバッグメーカー/Autoliv(オートリブ)と共同で開発していたヘルメット用エアバッグシステムは、モーターサイクル用エアバッグシステムのトップブランドとして知られるフランスの「In & Motion(イン・アンド・モーション)」と新たにパートナーシップを結び、引き続き開発を行うと言う。「In & Motion」の担当社に話を聞くと、現在同社がラインナップしているレース用およびストリート用のエアバッグシステムとヘルメットをBluetoothで繋ぎ、コードレスでヘルメット用エアバッグを稼働させられるよう開発を進めて行くという。

ヘルメットもまた、進化が続いている。

↑新たに技術提携したAIROHとIn & Motion。二輪車用エアバッグシステムは、まだまだその領域を広げていく

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著者プロフィール

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河野 正士

河野 正士/コウノ タダシ
二輪専門誌の編集スタッフとして従事した後フリーランスに。その後は様々な二…