操る楽しさを望むなら、カフェレーサーの本家「トライアンフ・スラクストンR」に乗るべきだ。

カフェレーサーの本家ともいえる英国トライアンフのTHRUXTON(スラクストン)。60年代の初代がそうだったように、現代版もボンネビルT120をベースにブラッシュアップし、運動性能を向上しています。セパレートハンドルを握り、前傾のライディングポジションでコーナーを駆け抜ければ、伝統的なブリティッシュスポーツの虜となること間違いなしでしょう。

REPORT●青木タカオ(AOKI Takao) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

※2019年12月30日に掲載した記事を再編集したものです。
価格やカラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。

現代的なハンドリングに酔いしれる

トライアンフ・スラクストンR

 グリップエンドのミラーを合わせ、バックステップに足を乗せてエンジンを始動すれば、バンス&ハインズのステンレス製スリップオンマフラーがツインらしい歯切れの良いサウンドを奏で、もう胸の高まりを抑えきれません。

 カフェレーサー然としたルックスは、スパルタンでどことなく気難しそうなイメージを抱きがちですが、270度クランクのエンジンは積極的にアクセルを開けたくなる扱いやすい味付けで、過激すぎるなんてことは感じません。全域で力強く、トルクのムラがなくどこからでも加速してくれるから、ダッシュの繰り返しが楽しくて仕方なくなります。

 ライディングモードは「スポーツ」「ロード」「レイン」の3つがあり、「スポーツ」を選べばスロットル操作によりダイレクトなレスポンスで応えてくれ、加速はますます強烈です。トラクションコントロールの介入度が高まりスリップへの不安を解消してくれる「レイン」も雨天時にはありがたく、実際に撮影中の天候不良で大いに助けられたことも報告しておきましょう。

トライアンフ・スラクストンR

 前後17インチの足まわりは、フロントにショーワ製ビッグピストンフォーク、リヤにオーリンズ製ピギーバックリザーバー式で、前後ともフルアジャスタブル。初期荷重からしなやかに動いて優れたトラクション性能を生み、アルミ製32本スポークホイールに履くピレリDiablo Rosso Corsaは旋回中もしっかりとした接地感があります。

 ボンネビルT120/100やストリートツインがフロント18インチで大らかなハンドリングなのに対し、スラクストンはシャープで現代的なステアリングフィール。前輪荷重をライダーの姿勢変化でより積極的にかけて、アグレシッブなスポーツライディングが楽しめます。

 ブレーキも前輪をブレンボ製4ピストン・ラジアルモノブロックキャリパーと310mm径フローティングディスクの組み合わせにするなど徹底強化され、次元の高い走りを実現。コーナー進入のブレーキングがコントロールしやく、開けて楽しいエンジンも相まってワインディングではペースが上がる一方に。

 人車一体感が少しずつ強まり、かつての耐久レーサーもきっとそうだったのでしょう。いつの間にか陶酔してしまうような、操る楽しさに満ちあふれているのでした。

キーワードで検索する

著者プロフィール

青木タカオ 近影

青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。最新バイク情報をビギナーの目線に絶えず立ち返…