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現代的なハンドリングに酔いしれる
グリップエンドのミラーを合わせ、バックステップに足を乗せてエンジンを始動すれば、バンス&ハインズのステンレス製スリップオンマフラーがツインらしい歯切れの良いサウンドを奏で、もう胸の高まりを抑えきれません。
カフェレーサー然としたルックスは、スパルタンでどことなく気難しそうなイメージを抱きがちですが、270度クランクのエンジンは積極的にアクセルを開けたくなる扱いやすい味付けで、過激すぎるなんてことは感じません。全域で力強く、トルクのムラがなくどこからでも加速してくれるから、ダッシュの繰り返しが楽しくて仕方なくなります。
ライディングモードは「スポーツ」「ロード」「レイン」の3つがあり、「スポーツ」を選べばスロットル操作によりダイレクトなレスポンスで応えてくれ、加速はますます強烈です。トラクションコントロールの介入度が高まりスリップへの不安を解消してくれる「レイン」も雨天時にはありがたく、実際に撮影中の天候不良で大いに助けられたことも報告しておきましょう。
前後17インチの足まわりは、フロントにショーワ製ビッグピストンフォーク、リヤにオーリンズ製ピギーバックリザーバー式で、前後ともフルアジャスタブル。初期荷重からしなやかに動いて優れたトラクション性能を生み、アルミ製32本スポークホイールに履くピレリDiablo Rosso Corsaは旋回中もしっかりとした接地感があります。
ボンネビルT120/100やストリートツインがフロント18インチで大らかなハンドリングなのに対し、スラクストンはシャープで現代的なステアリングフィール。前輪荷重をライダーの姿勢変化でより積極的にかけて、アグレシッブなスポーツライディングが楽しめます。
ブレーキも前輪をブレンボ製4ピストン・ラジアルモノブロックキャリパーと310mm径フローティングディスクの組み合わせにするなど徹底強化され、次元の高い走りを実現。コーナー進入のブレーキングがコントロールしやく、開けて楽しいエンジンも相まってワインディングではペースが上がる一方に。
人車一体感が少しずつ強まり、かつての耐久レーサーもきっとそうだったのでしょう。いつの間にか陶酔してしまうような、操る楽しさに満ちあふれているのでした。