シートが小ぶり、見た目レトロ。電動バイク、GOCCIA GEV600試乗レポート!

株式会社プロトが輸入・販売している老舗ディーラー「ベネリ」。そのラインナップの中にある一風変わった車両がGOCCIA(ゴッチア)のGEV600である。GOCCIAとは、ベネリが扱うE-BIKE(電動アシスト自転車)を製造する中国のQ.J.GROUPがスタートさせた電動モビリティブランドだ。モーターのパワーだけで走る純粋な電動スクーターが容易に入手できる時代が来ている。その独特な走行フィーリングをお伝えしよう。

REPORT●横田和彦(YOKOTA Kazuhiko)
PHOTO&EDIT●佐藤恭央(SATO Yasuo)
GOCCIA/GEV600 … 16万2,800円(税込)

日常使いで役立つ電動コミューターの時代が到来!

自動車の世界では、エンジンとモーターそれぞれの得意なところを使ったハイブリッド車や100%バッテリーのパワーだけで走るEV(electric vehicle:電気自動車)が続々とデビュー。ガソリン価格の高騰や、自然環境の保全に対する意思の向上などにより注目度が高まってきている。バイクにもその波は確実に近付いてきているのだが、車体がコンパクトなのでハイブリッドのような複雑な機構は搭載しにくい。そこで注目されているのが電動バイクである。

バッテリーとモーター、それをコントロールする制御系があれば成立するという比較的シンプルな構造なので小型のバイクにも使いやすい。しかしデメリットもある。それはバッテリーを大量に搭載できないこと。今の技術で生産されているバッテリーの容量では航続距離が限られてしまうのだ。そのため現在販売されている電動バイクは近距離の移動に特化したモデルが中心となっている。

ハイクオリティで車体サイズも価格もお手頃

現在、電動バイクは発展途上にある。日本ではまだそんなに多くの種類が発売されていなく、価格も同クラスのエンジン車と比べると高価に感じるモデルが多い。

ところがベネリがプロデュースするGEV600は、プロトが品質管理を徹底しながらも16万2,800円(税込)という比較的安価な車両価格。また車格はエンジンスクーターと自転車の中間くらいで親しみやすい。

車重は56kgという驚きの軽さ。取り回しは自転車のようで、駐車場からの出し入れもまったく苦にならない。こぶりなシートに腰掛けてアクセルを開ける。力強く押し出される、という感じではないがスムーズに加速する。停止状態からアクセルを開けるとすぐに最高トルクが発生されるというのがモーターの特性。GEV600は原付一種カテゴリー(50ccエンジンと同等)としては不自由ない加速感があると感じた。

車重が軽くタイヤが細いこともあってハンドリングは軽く、50ccスクーターと自転車の中間的な挙動をみせる。サスペンションもブレーキも必要十分といった感じ。価格とのバランスを考えれば及第点と言えるだろう。

Uターンするようなとき、一度アクセルを閉じてから再度開けたときに一瞬リヤタイヤにトルクが伝わるのにタイムラグが生じる感覚があったが、慣れてしまえば問題ない。電動スクーターの音もなく加速していく感覚は不思議なもの。最初のうちは少し違和感があったが、10分も乗れば馴染んでくる。

静かなので早朝の住宅街を抜けるときなども必要以上に気を使わずにすむのはメリットだといえる。また狭い道でのUターンもラクラク。アクセル開閉時のトルクフィーリングがエンジンスクーターと少し異なるが、慣れればかなりの小回りができる。

ただし注意するポイントもある。それは音が静かなので周囲に気付かれにくいということだ。市街地で歩行者に後ろから近付いても直前まで気が付かれず、驚かせてしまったこともあった。交差点では歩行者のみならず自転車とニアミスすることも。

とにかく「電動スクーターは相手に気付かれにくい」ということを意識して乗る必要があると感じた。


コスパ上々! 2つの走行モードを都度使い分けたい

気になるスペックについて説明すると、走行モードがパワーモードとエコモードの2種類がある。力強いパワーモードで走ると満充電で35〜40km走れる。消費電力が少ないエコモードだと約70km走れるという。一般的な原付一種スクーターは通勤通学や買い物などで一日8km程度の移動に使われることが多いというデータがあるので、3日に1回フル充電すれば使える計算になる。

バッテリーは脱着可能。車載状態で充電できるが、車両から外して充電することもできる。予備バッテリーも4万9500円(税込)で販売している。

パワーモードでの最高速度は約50km/h。原付一種は最高速度が30km/hなのでクリアしているが、幹線道路を長時間走り続けるのは精神的にも疲れるというのが正直なところ。短距離の移動に向いている特性だといえよう。

一般的な100Vのコンセントで充電できるのも嬉しい。また1回のフル充電にかかる費用は約25円というからランニングコストもかなり低く抑えられる。

インホイールモーターを採用しているので、メンテナンスも少なくてすむのもメリット。シティコミューターとしての総合性能はかなり高いと考えられる。個人的には軽さを活かしてクルマに積み、ドライブ先での移動にも使えるなと感じた。



スリムでシャレたデザインのGEV600は2021年度グッドデザイン賞を受賞している。新生活の相棒にピッタリの存在となる可能性を秘めている。

モーターサイクルショーではカスタム車の姿も!

またシンプルなフォルムなのでカスタムも楽しそうだ。2022年の東京モーターサイクルショーのプロトブースにはGEV600のカスタム車も展示してあった。

ブロックタイヤを履かせ積載量を増やしたモデルは、可愛らしさにアウトドアイメージが加わり、夢が大きく広がる。ベースがシンプルなだけにユーザーの自由な発想が反映できるGEV600はカスタムの素材とでしても高いポテンシャルを秘めているといえる。

発展途上の電動スクーターだけに、使い方は無限大だ。未来に向けて新しいバイクライフを構築するのも楽しいことだといえよう。

ディテール解説

キーレスのリモコンスターターで起動する。メーターは大きな表示で見やすい。Pはパワーモードのことで、走り出すとスピードが表示される。バッテリー残量や距離計などを備え、距離計はトリップメーターに切り替えることも可能だ。

 

ハンドルスイッチはシンプル。左にヘッドライトのハイ/ロー、ウインカー、ホーンを装備。右側にはハザードとパワーモード切り替えスイッチがある。

メインスイッチの下に便利なUSB給電口をセット。出先でもスマートフォンやナビといったガジェットの充電が行える。

フロントにはディスクブレーキを装備。小径ローターと片押し式のシングルピストンキャリパーだが必要十分な制動力を発生させる。

リヤホイールのハブ内にモーターがセットされている。チェーン調整やギヤオイル交換などのメンテナンスは不要だ。リヤブレーキはシンプルなドラム式。

左右にステップボードをセット。スリムなゆえ足置き場の自由度は少なめ。

シートは小振りだ。わりと肉厚だから短時間の移動なら問題ないけど、コンパクトだから長時間の連続走行だとちょっと大変かも。

ヘッドライトやウインカーなどの灯火類には全てLEDを採用する。で明るさも申し分なし!

テールランプやウインカーもコンパクト。ハザードが標準装備されているのが嬉しい。LEDは輝度が高いので視認性は高い。

リヤキャリアを備え、荷物の積載もしやすい。オプションとしてフルフェイスヘルメットが1つ収納できるヘプコ&ベッカーのトップケースが用意されている。

 

GOCCIA GEV600
●全長×全幅×全高:1700×660×1050mm
●シート高:750mm
●車体重量:55kg
●原動機:リヤハブモーター(48V×600W) 
●最大出力:1400W ■最高速度:45km/h 
●駆動用バッテリー:リチウムイオンバッテリー 
●一充電走行距離:約60km(30km/h定地走行値) 
●バッテリー電圧/容量/充電時間/単体重量:48V/20.8AH/6~8時間/6.7kg 
■タイヤサイズ:フロント2.25×14、リヤ2.25×14

ライダープロフィール

横田和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得して以来、50ccからリッターオーバーまで数多くのバイクを乗り継ぐ。普段から移動手段にバイクを使うことが多く、プライベートでもツーリングやサーキット走行、草レース参戦などを楽しむスポーツライディング好き。現在は雑誌やWebなど、さまざまな媒体で執筆活動をしている。


著者プロフィール

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佐藤恭央