不安の一切ない、124cc+12インチの組み合わせ。これは良いレジャーバイクだ! ホンダ・モンキー125試乗

2017年の東京モーターショー以来、お待ちかねのホンダモンキー125。待望の新発売は2018年7月12日(木)からである。モーターファンBIKESでは(おそらく)ストリート一番乗りの幸運に恵まれ、早速都内近郊のアチコチをじっくり試乗してみた。

REPORT●近田茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

※2018年07月05日に掲載した記事を再編集したものです。
価格や諸元、カラーバリエーションが現在とは異なる場合があります。
ホンダ・モンキー125
ホンダ・モンキー125

ホンダ・モンキー125……399,600円

ホンダ・モンキー125<ABS>…… 432,000円

 先ずは跨がって走り始めた瞬間の印象だが、「コイツはモンキーじゃない!」そしてもうひとつ「なかなかいい出来栄えじゃないか!!」。筆者の頭の中で同時にふたつの思いが交錯した。日常的な普段の足としてとても出来の良いバイクであることを直感し、何ともワクワクした気分。当日は真夏日だったが明らかに走る楽しさの方が勝っていた。

かつてのモンキーよりも2まわり大きくなったサイズ感

ホンダ・モンキー125

 モンキーは小さくて可愛らしいバイク。ネーミングも含めてライバル無き存在として長年根強い人気を獲得してきた。5インチだった初代モデルは別として、その大きな特徴は前後8インチホイールの採用。1969年に2代目のZ50Z登場以来、昨年50周年スペシャルとして限定販売された最終モデルまでそれはずっと変わらなかった。

 ホイールベースは僅か895mm。シート高は660mm。車重は68㎏に過ぎず、最小回転半径は1.4mだっただけに、モンキー125はふたまわり以上大きく感じられ、車体のボリューム感は同じホンダの125ccモデル、グロムに近い。つまり半世紀に渡って培われてきた“小さくて”のアイデンティティは継承されていないのだ。モンキー125 は前後に12インチホイールを履く。ホイールベースは1150mm、シート高775mm、車重は107㎏。最小回転半径も1.9mに拡大。その変化の大きさには、改めて驚かされてしまい、モンキーとは認めたくない思いが浮かんだわけだ。

 しかしそのフォルムはモンキーそのもの。サイズは別としてデザインの可愛らしさは健在。むしろ立派なサイズ感は適度な落ち着きと安心感を覚える穏やかな乗り味に貢献し、普段の足に活用するのが楽しくなるのである。

 一人乗り専用シートは長さが480mm、幅は200~310mmとたっぷりとした余裕の大きさ。クッションも厚みがあり、座り心地が抜群。タンクをニーグリップするとシート前方部と内腿がフィットして、上体を安定させるのにも好都合。体重の分散具合も巧みで快適だ。

不安の一切ない、124cc+12インチの組み合わせ

 ロングストロークのエンジンは全体にマイルドな雰囲気と絶妙のパフォーマンスを発揮。4速のギヤレシオも実に巧み。総合レシオが低過ぎず、穏やかな乗り味に終始する。しかもストレスなく噴き上がる出力特性は市街地のダッシュはもちろん、流れの速い郊外のバイパス路でも安心して走れるだけの侮れないポテンシャルを持つ。

 ローギヤで引っ張ると難なく50km/hに到達する柔軟性は各速でも活かされる。一方発進後直ぐ10㎞/hに満たない速度でセカンドにアップしても十分な粘り強さを発揮。

ホンダ・モンキー125

走行速度の遅い都市部なら3速だけでオートマチック感覚のイージーライドも許容してくれた。グロムより偏平の少ないタイヤとの相性は良く操縦性は癖のない素直さが光る。初めて乗るクラッチ付バイクとしてもおすすめできる親しみやすさと楽しさのある乗り味がとても魅力的だ。

 贅沢をいうならば、二人乗りできないのが個人的にはチョット残念。じっくり乗り込む内に、ふと4輪のMINIを思い出した。小さくて可愛らしい存在のMINIは、大きなサイズに革新してから人気再燃で売れている。本音で出来の良いモンキー125もバイク人気再燃の一助に貢献できるのではないだろうか。大いに期待したい。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…