久々に登場したモタードバイク、カワサキKLX230SM。最高出力19psエンジンは、100km巡航も十分可能!

以前は国内各メーカーからモタードモデルが出ていましたが、いまではすっかり姿を消してしまっています。しかし、オフロードモデルのボディに前後17インチロードタイヤをマッチさせたモタードモデルは、軽量でスリムなボディを生かした軽快な走りが特色で、ストリートからワインディングまで楽しめるバイクとして根強い人気を誇っています。そんなモタードカテゴリーに久々にニューモデルが登場しました。カワサキKLX230SMです。さっそく街中へと飛び出してみました。
PHOTO●村岡力

専用の足回りで驚くほど軽快なハンドリングを実現

トレールモデルのラインナップが減少している中にあって、2019年にカワサキからKLX230が発売されました。かつてこのカテゴリーには水冷DOHC4バルブ単気筒エンジン搭載でパワフルさを全面に押し出していたKLX250がありましたが、2016年に生産を終えてしまいました。そしてKLX250をベースとしたモタードモデルであるDトラッカー(後にDトラッカーX)も、同様に2016年を最後に生産を終了しました。
それから3年、2019年にトレールモデルKLX230が新たに登場しました。水冷DOHC4バルブ単気筒だったKLX250と異なり、空冷SOHC2バルブ単気筒エンジンを心臓部に据え、ストリートから林道ツーリングに最適な扱いやすいパワー特性が特徴のモデルです。230という排気量からビギナーにも親しみやすいモデルなのかなと思っていましたが、実際には林道をはじめとしたダート走破性を意識した造りとしていました。ところがその後継機となるKLX230Sではシート高を55㎜下げ、扱いやすいものとしています。
そんなKLX230をベースにしたモタードモデルがついに登場しました。KLX230SMです。日本メーカーの国内販売モデルとしては唯一のモタードモデルということになります。カワサキは長年に渡ってDトラッカーを生産していたという実績がありますから、KLX230SMの開発に当たってもDトラッカーのノウハウが生かされているはずです。

前後17インチのオンロードタイヤを装着し、さらに倒立フロントフォークとしたことでオンロードでのハンドリングは軽快になった。一般道で無茶な走り方さえしなければ、抜群の機動性を発揮してくれる

フレーム、エンジンなどの基本コンポーネンツはKLX230Sと同じです。しかしモタードモデルの特色である前後17インチロードタイヤに変更するとともに、フロントサスペンションにはΦ37㎜の倒立フロントフォークを採用しています。さらにオンロードにおけるハードランに対応するべく、フロントシングルディスクブレーキはローターをΦ265㎜から300㎜へと大径化しています。外装系ではヘッドライトがコンパクトなものに変更され、スタイリングのバランスが良くなりました。このように変更箇所は少なくないのですが、車重は136㎏と変わっていません。いずれにしてもKLX230Sと比較するとよりアグレッシブな雰囲気になっていると思いました。

シート高は845㎜とKLX230Sより10㎜高い設定です。ボディがスリムなので数値から想像するよりは足つきは悪くありません。といっても平均的な体格のライダーだと両足のつま先が着く程度でしょう。もし不安を感じるようならリアサスのプリロードを最弱の状態にセットすれば足つき性が改善されます。ポジションはアップライトな上体となり、目線はかなり高めです。シートは硬めで座り心地は決して良くありません。長距離移動が快適にできるタイプじゃないことはたしかで、どちらかというと、スポーツライディングを意識したものになっていると感じました。

上体がアップライトでヒザの曲がりも穏やかなポジションは、操作性が良くツーリングでの疲労も少なそう
シート高は845㎜あるが、前後サスペンションの初期作動がソフトで、さらにボディがスリムなこともあって足つき性はまずまず
KLX230Sよりわずかにシート高はあるが、平均的な体格の人ならば足つきに不安はない
身長178㎝のボクの場合、両足がベッタリと着けられる

232㏄の空冷単気筒エンジンは、最高出力19psというスペックです。低中速型のトルク特性としていて、あくまでもストリートでの使い勝手を優先しています。手応えとして感じるパワフルさは希薄ですが、発進加速に不足はなく、吹け上がりも良いので、たとえば高速道路の進入もスムーズに完了します。ただし、新東名などの120㎞/h区間を走る際にはほとんど全開状態となるのでストレスが溜まるかもしれません。一般道は走る速度域では力不足を感じることもないし、むしろ機動性に富んだスポーティな走りができます。またシングルエンジンで懸念される振動も、ほとんど気になりませんでした。
前後17インチとなったことでハンドリングは軽快です。個人的な好みでいえば、KLX230Sの安定感のある軽快性に安心感を覚えるのですが、オンロードをスポーティに走るにはこのSMの軽快性は大きな武器になります。モタードモデルの場合、無茶をしたり不必要に深いバンクをさせるとフロントタイヤが切れ込んだり滑ったりして転倒するなんていわれていますが、KLX230SMもフロントに荷重をかけすぎてフルバンク状態へと持っていくとリスクが高まるように思います。一般公道ではムリをせず、軽量なボディを生かしてリズミカルに走ってやれば、十分にスポーツライディングが楽しめると思います。またフロントブレーキに関してはかなり効きが良く、通常の走行でABSを作動させてしまうことはまずないと感じました。
街中の移動やショートツーリングでスポーティな走りを楽しみたい。そんな要求に見事に応えてくれる性能がKLX230SMには備わっているのです。

基本的にKLX230Sと共通のバー付きハンドルを装備。高さ、幅ともにちょうどいい
メーターはデジタル式。液晶パネルにはスピードメーターのほか、オドメーター、デュアルトリップメーター、燃料計、時計を表示
ヘッドライト切り替え、ウインカー、ホーンスイッチが並ぶ左側スイッチ
セルスイッチとキルスイッチを配置した右側スイッチ
シンプルなテール周り。テールランプは必要最小限の大きさだ。ウインカーはホワイトレンズを採用
メーターバイザーともどもデザインを独自のものとしたLEDヘッドライト。スッキリとした表情となった。
細身で前後に自由度の大きいシートは、さまざまなライディングスタイルに対応する
豊富なアクセサリー用品が用意されていて、ETC2.0車載器キットはリアキャリア装備で装着できる
低中回転域から豊富なトルクを発生させる空冷SOHC2バルブ単気筒エンジン。粘りのあるエンジン特性で日常域で扱いやすい。もちろん高速道路での100km/h巡航も十分に可能だ
フロントサスペンションにはΦ37mmの倒立フォークを採用。リヤのニューユニトラックサスペンションはプリロード調整が可能となっている
リヤブレーキは、Φ220mmディスクとシングルピストンキャリパーを採用
フロントブレーキは、Φ300mmの大径セミフローティングペタルディスクとツインポットキャリパーを組み合わせる
トレールモデルのKLX230Sと異なり、ステップはラバー装着タイプを採用している

主要諸元

車名:KLX230SM
マーケットコード:KLX230RPFAN
型式:2BK-LX230A
全長x全幅x全高:2,050mm×835mm×1,120mm
軸間距離:1,375mm
最低地上高:230mm
シート高:845mm
キャスター/トレール:26.5°/ 86mm
エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク単気筒/SOHC 2バルブ
総排気量:232cm³
内径x行程/圧縮比:67.0mm×66.0mm/9.4:1
最高出力:14kW(19PS)/7,600rpm
最大トルク:19N・m(1.9kgf・m)/6,100rpm
始動方式:セルフスターター
点火方式:バッテリー&コイル(トランジスタ点火)
潤滑方式:ウェットサンプ
エンジンオイル容量:1.3L
燃料供給方式:フューエルインジェクション
トランスミッション形式:常噛6段リターン
クラッチ形式:湿式多板
ギヤ・レシオ:
 1速…3.000 (39/13)
 2速…2.066 (31/15)
 3速…1.555 (28/18)
 4速…1.260 (29/23)
 5速…1.040 (26/25)
 6速…0.851 (23/27)
一次減速比 / 二次減速比:2.870(89/31)/3.071(43/14)
フレーム形式:ペリメター(高張力鋼)
懸架方式:
前…テレスコピック(倒立・インナーチューブ径 37mm)
後…スイングアーム(ニューユニトラック)
ホイールトラベル:前…204mm、後…168mm
タイヤサイズ:前…110/70-17M/C 54P、後…120/70-17M/C 58P
ホイールサイズ:前…17M/C×MT3.00、後17M/C×MT3.50
ブレーキ形式:前…シングルディスク 300mm(外径)、後…シングルディスク 220mm(外径)
ステアリングアングル(左/右):45°/ 45°
車両重量:136kg
燃料タンク容量:7.4L
乗車定員:2名
燃料消費率(km/L)(※1):
38.0km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)(※2)
33.4㎞/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時)(※3)
最小回転半径:2.1m
カラー:エボニー(BK1)

※1:燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状況などの諸条件により異なります。
※2:定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
※3:WMTCモード値とは、発進・加速・停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
※改良のため、仕様および諸元は予告なく変更することがあります。

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著者プロフィール

栗栖国安 近影

栗栖国安

TV局や新聞社のプレスライダー、メーカー広告のモデルライダー経験を持つバイクジャーナリスト。およそ40…