アウディが自社開発のEV充電器用「耐塩害ボックス」を屋久島「THE HOTEL YAKUSHIMA」に導入

屋久島の「THE HOTEL YAKUSHIMA Ocean ＆ Forest」に、アウディジャパンは、自社開発したEV充電器用「耐塩害ボックス」を設置した。

アウディジャパンは、海辺に設置する電気自動車（EV）用充電器の塩害を防ぐ専用ボックスを自社開発し、屋久島の「THE HOTEL YAKUSHIMA Ocean ＆ Forest」の8kW普通充電器2基に設置した。

塩害を抑えつつユーザーの利便性も確保

アウディジャパンが「THE HOTEL YAKUSHIMA Ocean ＆ Forest」に設置した、EV充電器用耐塩害ボックス。 — 今回、屋久島の「THE HOTEL YAKUSHIMA」の充電器に設置された耐塩害ボックスは、塩害や風雨から充電器を守りながらも、同時にユーザーの使い勝手を損なわないよう配慮されている。

潮風に含まれる塩分は、電気機器を腐食させたり、劣化させたりすることで、機器の不具合の原因となる。「THE HOTEL YAKUSHIMA」は雄大な東シナ海を望む海岸沿いに建っており、EV充電器の設置には塩害を防ぐ対策が必要とされていた。

今回、アウディジャパンが自社開発したEV充電器用耐塩害ボックスには、SUS（304）というニッケルを多く含んだ耐食性に優れたステンレス鋼板を採用。塩害を防ぐ強力な特殊塗料を塗布しており、潮風の塩分から充電器を守る効果が与えられた。また、海岸沿いに吹く強い風にも耐えられるよう、充電器はアンカーボルトで強固に固定されている。

充電の利便性を損なわないよう、ボックス中央部に開口部を設けて充電ケーブルを通し、ボックスの扉を閉めたままでの充電も可能にした。また、開口部にはブラシを付けることで、充電時のケーブルの動きにも対応できるよう工夫している。

アウディジャパンは充電器設置を拡大するだけでなく、各地域の自然と共存できるような設備を整えることが、EVの普及に重要だと認識しており、専門家のアドバイスやガイドラインを参照して、今回の設備を開発したという。

EV充電器用耐塩害ボックスが設置された「THE HOTEL YAKUSHIMA」は、アウディの電気自動車「e-tron」のレンタカーサービスを運営しており、今回の施策により、屋久島での電気自動車の利便性がさらに向上したと言えそうだ。

日本全国で充電器の拡充を進めるアウディ

今回の取り組みは、アウディが屋久島町、アウディ正規販売店を運営する株式会社ファーレン九州と、2023年7月に締結した包括連携協定に基づいて実施された。

アウディでは屋久島での取り組みのほかにも、独自の電動化戦略に基づき、EVの利便性向上のために8kW普通充電器の設置を全国で推進中。2024年6月末時点で、すでに103ヵ所202基の設置が完了した。

急速充電器としては、アウディ、フォルクスワーゲン、ポルシェのEVオーナーを対象に提供する、最大150kWの急速充電ネットワーク「プレミアムチャージングアライアンス（PCA）」を展開。さらに都市部のユーザー向け蓄電池型超急速EV充電施設「Audi charging hub（アウディチャージングハブ）」の運営を行うなど、各地のニーズと環境に準じた充電ネットワークの拡充に努めている。