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BMW M2 Racing
2023年から開発プログラムがスタート

2026年シーズンから、BMW Mモータースポーツは世界中のプライベートカスタマーチームに向けて、最新エントリー向けレーシングカー「M2 レーシング」のデリバリーを開始すると明らかにした。2025年現在、開発・テストプログラムは佳境を迎えており、オッシャースレーベンで開催されたDTM開幕戦において、正式販売を前に実車が公開された。
2023年11月、ミュンヘン近郊のアッシュハイムのファクトリーにおいて開発を開始。開発チームはまず、現行M2世代のシャシーがモータースポーツの厳しい環境下に耐えるものかを厳密にチェックした。続いて3台の開発車両が製作され、サーキットにおいて3万kmにおよぶ厳しいテストプログラムが行われている。
BMW M社(BMW M GmbH)のフランツィスクス・ファン・ミールCEOは、M2 レーシングについて次のように説明する。
「M2レーシングの導入により、私たちは誇り高きBMWの伝統を継承していきます。M235i レーシング、M240i レーシング、M2 CS レーシングのように、ニューマシンもエントリー向けレーシングカーのレベルを大きく引き上げることになるでしょう」
「レーシングチームやドライバーにとって妥協のないパフォーマンスや耐久性を確保し、純粋なドライビングプレジャーを提供しながら、手頃な価格を実現しました。BMW Mモータースポーツは、メンテナンスが容易でコスト効率に優れ、スリリングなドライビングが楽しめるレーシングカーを供給することで、プライベーターの皆さんをサポートしていきます」
多くのレーシングドライバーが開発に参加

BMW Mモータースポーツのワークスドライバーの多くが、集中的なテストプログラムにおいて、M2 レーシングのステアリングを握った。彼らはレースコンディション下で、パフォーマンス、ドライバビリティ、タイヤの摩耗、耐久性などのテストを行い、開発に大きく貢献している。
開発テストに参加したレーシングドライバーのイェンス・クリングマンはM2 レーシングの完成度に太鼓判を押す。
「M2 レーシングを購入したプライベーターは、操作が簡単で、市販モデルとのリンクにより運用コストが極めて低く抑えられています。しかも、パフォーマンスに優れた本格的なレーシングカーなのです」
「サーキットにおいて、M2 レーシングはBMWのDNAに深く根ざしたドライビングプレジャーを感じることができるでしょう。私たちはサーキット走行初心者から、野心的なジェントルマンドライバーまで、すべての人にとって完璧なクルマであることに重点を置いています。そして、この完成度に心から満足しています」
EU区域内において9万8000ユーロで販売

M2 レーシングに搭載されるエンジンは、市販車が採用する3.0リッター直6ツインターボではなく、最高出力317PS、最大トルク420Nmを発揮する2.0リッター直列4気筒「B48」ガソリンターボエンジンとなる。トランスミッションはZF製8速ATで後輪を駆動する。足まわりにはM4 GT3用をベースに開発されたKW製ショックアブソーバーが奢られる。
最高速度は270km/h。現行M2のシャシーをベースに、M3譲りレーシングコンポーネントが数多く導入された。EU区域内における価格は9万8000ユーロから。BMW Mモータースポーツ専門ディーラーを通じて注文と販売が行われる。BMW Mモータースポーツのカスタマーレーシング責任者を務めるビヨルン・レルマンは、M2 レーシングの完成度に胸を張った。
「M2 レーシングはドライビングの楽しさとパフォーマンス、そして直感的なハンドリングを兼ね備えたエントリーレベルのカスタマー向けレーシングカーです。開発はBMW Mモータースポーツと生産車両の開発担当者による緊密な協力のもとに行われました。その結果、簡単な操作と低ランニングコストを兼ね備えたパワフルなレーシングカーが誕生したのです。M2 レーシングにより、お客様にとってレースがより身近な存在となるでしょう」