ポルシェ、2021年に業績を大幅にアップ。ベストセラーは「マカン」に

ポルシェの2021年は過去最高の業績を記録! 販売台数は史上初の30万台を突破

2021年も8万台以上をデリバリー、最も売れたポルシェとなったマカン。
2021年も8万台以上をデリバリー、最も売れたポルシェとなったマカン。
ポルシェAGが2021年の業績を発表し、売上高と営業利益の両方において史上最高を記録した。全世界で30万1915台を販売し、ベストセラーは昨年に続き「マカン」となっている。

前年度を大きく上回った売上高と営業利益

史上初の30万台を販売、最高益を更新したポルシェ。
2021年に331億ユーロの売上高を記録し、目標とする15%の成長を達成。オリバー・ブルーメ会長は「成功はチームワークが要因」と語った。

ポルシェAGの2021年の売上高は331億ユーロと、前年より44億ユーロ増加し(前年度の売上高:287億ユーロ)、15%の成長を示した。営業利益は53億ユーロで、前年を11億ユーロ上回り(27%増)、16.0%(前年度:14.6%)の営業利益率を生み出している。

ポルシェAGの取締役会・会長であるオリバー・ブルーメは、2021年の業績について次のようにコメントした。

「当社の良好な業績は、勇気ある革新的で前向きな決定に基づいています。私たちの業界は、おそらくその歴史の中で最大の変革を経験しています。当社は早い段階で戦略コースを設定し、経営面で安定しています。このような成功はチームワークによるところが大きいと考えます」

良好な業績の基盤となる健全なコスト構造

史上初の30万台を販売、最高益を更新したポルシェ。
ポルシェのキャッシュフローは、15億ユーロ増加して37億ユーロを達成。ポルシェは依然として健全なコスト構造にあると、財務及びIT担当の取締役会副会長であるルッツ・メシュケは指摘する。

財務及びIT担当の取締役会・副会長であるルッツ・メシュケは、魅力的な製品ラインナップに加えて良好な業績の基盤がポルシェAGの健全なコスト構造にあると考えている。

「ポルシェの業績は当社の優れた収益力を反映しており、半導体不足などの困難な状況下でも、当社の価値創造的な成長と成功のためのビジネスモデルの堅牢性を実証しています。この数値はポルシェが優れたポジションにあることの実証にもなります」

2021年のネットキャッシュフローは15億ユーロ増加して37億ユーロ(前年度:22億ユーロ)になった。このようなポジティブな展開は、意欲的な2025年の収益性プログラムにも基づいている。これは新しいイノベーションとビジネスモデルを通して収益を持続的にサポートすることを意図したものだ。

「モチベーションの高い従業員のおかげで収益性プログラムは完全な成功を収めました。ポルシェは効率をさらに高めて損益分岐点を下げました。これにより、厳しい経済状況にもかかわらず当社の将来の存続に投資する余裕が生まれます。私たちは、電動化、デジタル化、持続可能性への投資を決然として推進しています。私はポルシェが現在の世界的な危機をうまく切り抜けられると楽観視しています」と、メシュケは付け加えた。

不安定な状況で求められる謙虚さと注意深さ

史上初の30万台を販売、最高益を更新したポルシェ。
ウクライナ情勢や半導体不足も重なり、ポルシェのサプライチェーンにも影響を及ぼす可能性が浮上している。

好調な業績の一方で、依然として世界的に続く新型コロナウイルスの感染拡大、そしてロシアのウクライナ侵攻など、世界情勢は不安定さが続いている。オリバー・ブルーメは今後も謙虚さと注意深さが必要だと指摘した。

「ポルシェはウクライナでの武力紛争を大きな懸念と落胆で見ています。私たちは敵対行為の停止と外交への復帰を継続して望んでいます。人々の安全と尊厳は最優先事項です」

ポルシェAGは、ウクライナで困難に陥っている人々を助けるため、合計100万ユーロを寄付。タスクフォースにおけるポルシェの事業活動への影響の度合いを専門家が継続的に判断している。さらに、ポルシェ製造工場のサプライチェーンに影響が出ており、計画通りの生産ができない可能性もある。

「経済的にも政治的にも課題の多い前途が続きますが、長期的に15%以上の営業利益を確保するという長年にわたって根付いてきた戦略目標を継続します。私たちのタスクフォースはすでに収益を保護するための初動措置を講じています。このようにして高い収益目標を継続して達成したいと考えています。これが成功するかどうかは、我々がコントロールできない外部要因にも依存します」と、メシュケは強調した。

マカンとカイエンが8万台超えのセールス

史上初の30万台を販売、最高益を更新したポルシェ。
ベストセラーは、昨年に引き続きマカンとなった。さらにカイエンも8万台を超えており、SUVモデルが好調を維持している。

ポルシェは2021年、世界中で30万1915台を販売。ポルシェの販売台数が30万台を超えたのは史上初めてのこととなる(前年度は27万2162台)。すべての販売地域で販売台数は増加し、最大の単独市場は再び中国の約9万6000台(前年比8%増)となった。北米でもポルシェが急速に成長し、米国では7万台(22%増)を超えた。ヨーロッパでも非常に好調な売れ行きを示しており、ドイツにおける新車販売台数も約2万9000台(9%増)に増加している。

ベストセラーモデルはマカン(8万8362台)、2位はカイエン(8万3071台)と、SUVモデルがトップ2を占めた。ポルシェ初のフル電動スポーツカーのタイカンは、前年の2倍を超える4万1296台がデリバリーされた。これはポルシェを象徴するスポーツカーの911を上回っているが、911の販売も3万8464台と新記録を樹立している。

「100%ポルシェのスポーツカーであるタイカンは、既存及び新規のお客様、専門家、メディアなど、あらゆる種類の人々にインスピレーションを与えています。私たちはさらなるモデルで電動化を強化します。2025年までにミッドシップエンジンの2ドアスポーツカー、718をフル電動モデルのみで提供します」と、ブルーメは語る。

新車の40%が電動パワートレインモデルに

史上初の30万台を販売、最高益を更新したポルシェ。
ヨーロッパで納車されたポルシェ新車の40%が、PHEVやフルEVの電動パワー搭載モデルとなった。

2021年、ヨーロッパで納車されたポルシェ新車の約40%が、プラグインハイブリッドまたはフル電動モデルなどの電動モデルとなった。さらにポルシェは、2030年までにカーボンニュートラルに移行することを発表している。

「2025年には、すべてのポルシェ新車の半数が電動車、つまりフル電動またはプラグインハイブリッドになることが予定されています。2030年にはすべての新車に対するフル電動モデルのシェアは80%を超えます」と、ブルーメ。

このような意欲的な目標を達成するために、ポルシェはパートナーとともにプレミアム充電ステーションに投資。独自の充電インフラにも投資しており、バッテリーシステムやモジュール製造などのコアテクノロジーにはさらに大きな投資が行われている。新たに設立されたセルフォースグループでは、2024年までに量産準備が整う予定の高性能バッテリーセルを開発・製造する。

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