ポルシェのカスタマーチームが、3台の911 GT3 RをDTMに投入

ポルシェ、GT3で争われるドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)に初参戦

2022年のDTMに参戦する、SSR パフォーマンスのポルシェ 911 GT3 R。
2021年からGT3で争われるようになったDTMにポルシェが初参戦する。写真はSSR パフォーマンスのポルシェ 911 GT3 R。
ポルシェのカスタマーチーム「SSR パフォーマンス(SSR Performance)」と「チーム75 ベルンハルト(Team 75 Bernhard)」が、2022年シーズンのドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)に911 GT3 Rで参戦。ポルシェがDTMにフル参戦するのは史上初となる。

Porsche 911 GT3 R

開幕戦アルガルベに3台の911 GT3 Rを投入

2022年のDTMに参戦する、チーム75 ベルンハルトのポルシェ 911 GT3 R。
ポルシェはカスタマーチームの「SSR パフォーマンス」と「チーム75 ベルンハルト(写真)」をサポートし、DTMへの参戦をスタートする。

2020年までは日本のSuper GTと共通のクラス1規定マシンで争われていたDTMだったが、参戦マニュファクチャラーの相次ぐ撤退により、2021年シーズンからFIA GT3規定を導入。これにより、世界中のGT3シリーズで素晴らしい成果を挙げてきたポルシェに、DTM参戦の門戸が開かれることになった。

2022年シーズンは、4月29~5月1日にポルトガルのポルティマオ(アルガルベ)で開幕。イモラ、ニュルブルクリンク、スパ・フランコルシャン、レッドブルリンク、ホッケンハイムなど、全8ラウンド・16戦が予定されている。シーズン開幕前に、チームとドライバーは新シーズンに向けて、ホッケンハイムとアルガルベで大規模なプレシーズンテストを行った。

ポルシェの「911 GT3 R」プロジェクトマネージャーを務めるセバスチャン・ゴルツは、シーズン開幕に向けて次のように語った。

「DTMへの参戦は、ポルシェにとってカスタマーモータースポーツの全く新しい扉を開くものとなります。DTMは『ドライバー対ドライバー』がモットーに掲げられているシリーズ。マシンのセットアップは各ドライバーに合わせて調整され、一切の妥協はありません。ピットストップでの素早いタイヤ交換が勝敗を左右するため、チーム間のメカニックの質も重要な役割を果たします。私たちは、カスタマーチームと一緒にこのチャレンジに挑むことをとても楽しみにしています」

2台の911で参戦するチーム「SSRパフォーマンス」

2022年のDTMに参戦する、SSR パフォーマンスのポルシェ 911 GT3 R。
ADAC GTマスターズでタイトル獲得経験を持つSSRパフォーマンスは、ローレンス・ヴァントールとデニス・オルセンのふたりを擁してDTMに初参戦する。

FIA GT3規定を導入した他のシリーズが複数のドライバーによる耐久レースをメインとするのに対し、DTMは1名のドライバーによるスプリントレースとして開催。ポルシェは、パートナーチームのSSRパフォーマンスとチーム75 ベルンハルトに、パーツサービス、パフォーマンスエンジニアによるアドバイス、そしてワークスドライバーを送り込むなど、手厚いサポートを行う。

ミュンヘンに拠点を置くSSRパフォーマンスはADAC GTマスターズでタイトル獲得し、2022年シーズンからDTMへの挑戦をスタートする。ポルシェ・ワークスから派遣されたベルギー出身のローレンス・ヴァントールが92号車、ノルウェーのデニス・オルセンが94号車をドライブする。

「すべてが新しい挑戦です。ポルシェ 911 GT3 R、SSRパフォーマンス、そして私はDTMという新しいフィールドに向かっています。ライバルの中にはこのシリーズで長年の経験を持ち、それがアドバンテージとなるでしょう。一方、私にとっては大きなチャレンジになると思います。それでも私は自信があります。テストでは計画的に準備を進めてきました。アルガルベで行われる開幕戦が本当に楽しみです」と、ヴァントールは意気込みを語った。

オーナーとしてチームを率いるベルンハルト

ポルシェのブランドアンバサダーを務めるレーシングドライバーのティモ・ベルンハルトは自身のチームで、DTM参戦を決めた。
ポルシェのブランドアンバサダーを務めるレーシングドライバーのティモ・ベルンハルトは自身のチームで、DTM参戦を決めた。

チーム75 ベルンハルトも、ADAC GT マスターズからDTMへと参戦シリーズを変更する。このチームはポルシェのブランドアンバサダーを務めるティモ・ベルンハルトが立ち上げたチーム。オーストリア出身のワークスドライバー、23歳のトーマス・プライニンクに24号車のステアリングを託す。

チームオーナーとしてDTM参戦を果たしたベルンハルトは、新たなチャレンジについて次のように目標を語った。

「私たちのターゲットは、トップ5で戦い表彰台に上ること。それができれば幸せですね。もちろん簡単なチャレンジではありませんが、不可能ではありません。チームとして十分戦えるポジションにいますし、素晴らしいクルマと理想的なドライバーを組み合わせることができました」

「トーマス(プライニンク)は、DTM参戦に相応しい才能を備えていると確信しています。彼はポルシェ 911 GT3 Rを自分に合わせて完璧にセットアップする方法を知っていますし、サイド・バイ・サイドでのバトルもこなせるドライバーです。若さゆえのスピードに、多くの観客やライバルが驚くことになるでしょう」

世界最高のGTシリーズを期待するプライニンク

2022年のDTMにチーム75 ベルンハルトから参戦する、トーマス・プライニンク。
オーストリア出身の23歳、トーマス・プライニンクは、ベルンハルトのサポートを受けてDTMに初参戦。ドライバー同士の高レベルなバトルに期待をのぞかせる。

ベルンハルトに抜擢されたプライニンクは、新シーズン開幕に向けて冷静に状況を分析している。

「DTMでは、すべてのドライバーが自分専用のマシンで参戦します。自分のためのセットアップで挑めるため、妥協する必要がないのです。このシリーズではドライバー自身が脚光を浴び、注目されます。ただ、このフォーマットにはメリットとデメリットがあるのも確かです。他のGT3シリーズでは、強いチームメイトがいればお互いにモチベーションを高めあうことができますから・・・」

「2022年のDTMでは、ドライバー同士によるコンペティティブな接戦を期待しています。もしかしたら、世界最高のGTシリーズになるかもしれません。展開を予想するのは難しいですが、僕自身も絶対に勝ちたいと思っています。それが可能なのか、もうすぐ分かるはずです」

デイトナ24時間のGTD Proクラスで勝利した、パフ・レーシングのポルシェ 911 GT3 R 9号車。

非公開: デイトナ24時間レース、ポルシェ 911 GT3 Rが二冠達成!

IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦ロレックス・デイトナ24時間レースが1月29~30日に開催され、ポルシェのカスタマーチーム「パフ・モータースポーツ」のポルシェ 911 GT3 R 9号車(マシュー・ジャミネ、マット・キャンベル、フェリペ・ナスル)が、同じポルシェのKCMGと熾烈な優勝争いを制し、新設されたGTD Proクラスで優勝を達成した。

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ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…