ポルシェ 911 GT3 R同士によるバトルを制し、パフ・モータースポーツがデイトナ24時間レースで勝利

デイトナ24時間レース、ポルシェ 911 GT3 Rが二冠達成!

デイトナ24時間のGTD Proクラスで勝利した、パフ・レーシングのポルシェ 911 GT3 R 9号車。
デイトナ24時間のGTD Proクラスで勝利した、パフ・レーシングのポルシェ 911 GT3 R 9号車。
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦ロレックス・デイトナ24時間レースが1月29~30日に開催され、ポルシェのカスタマーチーム「パフ・モータースポーツ」のポルシェ 911 GT3 R 9号車(マシュー・ジャミネ、マット・キャンベル、フェリペ・ナスル)が、同じポルシェのKCMGと熾烈な優勝争いを制し、新設されたGTD Proクラスで優勝を達成した。

Porsche  911 GT3 R

フルコースイエローが頻発される大混戦

IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦デイトナ24時間を走行するポルシェ 911 GT3 R。
61台が参戦したIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦、デイトナ24時間は、アクシデントが頻発。セーフティカーが幾度となく導入されることになった。

フロリダ州デイトナにあるデイトナ・インターナショナル・スピードウェイは、晴れてはいるものの季節外れの涼しい気温のなか、1月29日土曜日の午後1時40分に61台が一斉にスタートした。 

レース序盤は、ポルシェのカスタマーチームが順位を入れ替えながらも、GTD Proクラスの上位を走行。ところがスタートから12時間はアクシデントが頻発し、11回ものイエローコーションが出されたことで、どのチームも決定的なリードを奪うことができない。ドライバーたちは合計4時間近くもセーフティカー先導での走行を強いられることになった。 

それでも、日付が変わった30日の日曜日早朝、コース上の状況が落ち着き、ポルシェ 911 GT3 Rはようやくクラス優勝を狙える位置につけるようになった。 

最終ラップの死闘を制したパフ・モータースポーツ

ポルシェ 911 GT3 R同士による最終ラップまで続いた死闘は、フ・レーシングのマシュー・ジャミネが競り勝った。表彰台で喜びを爆発させた、キャンベル、ジャミネ、ナスールの3人。
ポルシェ 911 GT3 R同士による最終ラップまで続いた死闘は、パフ・モータースポーツのマシュー・ジャミネが競り勝った。表彰台で喜びを爆発させた、左からキャンベル、ジャミネ、ナスールの3人。

トップを争うのはパフ・モータースポーツの9号車と、同じ911 GT3 Rで参戦するKCMGの2号車。両車はピットストップのたびにトップを入れ替えながら、終盤まで走行。最後のセーフティカーが退出し、パフ・モータースポーツ3号車のマシュー・ジャミネは、KCMGの2号車のローレンス・ファントールに0.5秒の差をつけてトップに立つ。

レース残り30分、ジャミネとファントールは911 GT3 Rを巧みに操り、ホイール・トゥ・ホイールのバトルを繰り返し、集まった大観衆を釘付けにする。24時間レースのラスト3分、2台の911 GT3 Rのボディサイドが接触。ジャミネはそのまま逃げ切ったが、ファントールはこの接触によりスピンを喫し3位に転落してしまう。

ファントールとの死闘を制し、トップフィニッシュを果たしたジャミネは、フィニッシュ後に次のように喜びを語った。

「最後の2時間は信じられないようなバトルでした。1周1周、全力で走りました。本当にすべてを出し切りました。もちろんローレンス(ファントール)のことはよく分かっています。彼はポルシェのチームメイトですし、彼がどれだけ強いかも知っています。彼は何度も何度もトライし、僕らのクルマは何度も何度も接触しました」

「でも僕は『今日は彼に抜かれることはない!』と自分に言い聞かせていました。最終ラップでは接触し、ふたりともグリーンに乗り上げたのですが、それでも僕は幸運にもスピンを避けることができました。KCMGの方がわずかに速いマシンを持っていましたが、パフ・モータースポーツの完璧なチームワーク、そしてチームメイトの卓越したドライブのおかげで、優勝を手にすることができました。僕らにとって、完璧なシーズンのスタートになりましたね」

最後のスピンで勝利を逸したKCMG

デイトナ24時間のGTD Proクラスで3位に入った、KCMGのポルシェ 911 GT3 R 2号車。
ニュルブルクリンク、スパ、ル・マンを制覇し、優勝候補として挑んだKCMGは、最終ラップで接触からスピンを喫し、3位に終わった。

優勝したパフ・モータースポーツが歓喜の勝利に沸く一方、ファントールはフィニッシュ後に悔しい涙を流し、KCMGのチームメイトのパトリック・ピレ、デニス・オルセン、アレキサンドレ・インペラトーリと共に3位表彰台に上がった。あと一歩で勝利を失ったファントールは、悔しさを噛み締めながらもパフ・モータースポーツの優勝を祝福している。

「ニュルブルクリンク、スパ、ル・マンで優勝した後、僕らにはデイトナ24時間レースで優勝し、この4連戦を締めくくるという明確な目標がありました。残念ですが、うまくいきませんでした。最後の1周における接触とスピンは、間違いなくずっと僕の頭の中で繰り返し再生されるでしょう」

「フィニッシュ後、ピットに戻る途中、涙が出ました。すべてを出し切ったのに、勝てなかった・・・。今日は、僕らよりも優れた人たちが勝ったのです。それがパフ・モータースポーツでした。ポルシェ・チームの仲間に、あらためておめでとうと言いたいです」

混戦のGTDクラスはライトモータースポーツが勝利

デイトナ24時間のGTD クラスで勝利した、ライトモータースポーツの911 GT3 R 16号車。
多くのマニュファクチャラーが接戦を展開したGTDクラスは、ライトモータースポーツが制した。

GTDクラスは、各メーカーのマシンがトップを入れ替える混戦となった。ライトモータースポーツの911 GT3 R 16号車(リヒャルト・リーツ、ヤン・ヘイレン、ザカリー・ロビション、ライアン・ハードウィック)は、巧みな戦略と見事なドライビングにより、ポルシェに5年ぶりのGTDクラス優勝をもたらしている。

ポルシェはデイトナ24時間レースにおいて、GTD ProクラスとGTDクラスを制覇。この勝利により、ポルシェはこのクラシックレースにおいて、コンストラクターとして18回、エンジンパートナーとして4回の総合優勝に加えて、80回のクラス優勝を記録することになった。 

ポルシェ 911 GT3 Rのプロジェクトマネージャーを務めるセバスチャン・ゴルツは、GTD ProクラスとGTDクラスの二冠達成に喜びを隠さない。

「ファクトリチームレベルのカスタマーレース、それが今回のデイトナ24時間レースでした。GTD Proクラスで展開された、あのフィナーレには言葉を失いました。このレースがいかに難しいものであったか、そして7台の911 GT3 Rを走らせた各チームのプロ意識の高さは、まさに驚きです」

「GTD-Proクラスでの1位と3位、そしてGTDクラスでの勝利。35台ものGT3マシンがひしめくこのレースで、最高の結果を残すことができたのは、本当に素晴らしいことです。チーム、ドライバー、そしてポルシェにとって、シーズンオフのハードワークが報われる最高のシーズンスタートになりました」

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