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Maserati Grecale Fuoriserie Mission From MARS
火星からの注文をイメージ
今回発表されたマセラティ グレカーレの特別仕様車「グレカーレ ミッション フロム マース」。その名前どおりに「火星からの特別ミッション」がテーマだ。これはイタリア語でカスタマイズを意味する「フォーリセリエ」によるコンセプトカーである。
ボディカラーは火星の赤い砂と酸化した岩の組み合わせがイメージで、鉱物性の砂を思わせる特殊な質感のメタリックカラーで塗装されている。「ギャラクティック オレンジ」と名付けられたオレンジのボディカラーや、専用デザインのホイールがまさに火星での冒険を想起させる演出となっている。こだわりはインテリアまでおよび、メタル部分には腐食した金属をイメージさせる加工が施されている。“The Every day Exceptional(毎日が格別)”を謳うグレカーレに相応しい演出だ。
パーソナライゼーションメニューは数十万円から
フォーリセリエ プログラムは様々なパーソナライゼーションが可能だが、マセラティでの推奨オプションも用意される。大きく「コルセ」と「フトゥーラ」と呼ばれる選択肢に大別される。イタリア語で「レース」を意味するコルサは、どちらかというとオーセンティックで古式豊かなテイストとなっており、一方「未来」を意味するフトゥーラは斬新で実験的なテイストとなっている。ボディを特殊なツートンカラーとしたり、インテリアを素材から選択することも可能だという。
今回のミッション フロム マースは本国の象徴的コンセプトカーであり、そのまま再現するのは難しいそうだが、はたしてその価格は? メニューに基づいたプログラムも、「アトリエ」と呼ばれる完全ビスポークも価格はディーラーで算定する必要があるという。概算では、ボディカラーなどエクステリアで70万〜300万円、シートやトリムなどインテリアで100万〜300万円ほどの予算から受け付けているそうだ。
ギブリやクアトロポルテ、レヴァンテでも選択可能
すでにギブリ、クワトロポルテ、レヴァンテではエクステリアのフォーリセリエを受注開始しており、追って今秋からMC20のエクステリアが、2023年からMC20のインテリアとグレカーレの内外装でフォーリセリエが選択可能となる。通常の納期が3〜4ヶ月だというが、フォーリセリエを選択するとさらに3ヶ月以上の納期が必要だという。つまりフォーリセリエの納車は半年以上を覚悟しなくてはならない。
かつて自動車がすべてコーチビルドによるビスポークだった古き佳き時代に逆戻りするかのようなカスタマイズは、好事家の嗜好品となったクルマの当然の在り方かもしれない。今後3〜5%のカスタマーがフォーリセリエを選択されることが予想されるという。なおグレカーレのデリバリーは2023年初を予定している。
コンパクトSUV「グレカーレ」とは
グレカーレはレヴァンテよりもコンパクトなSUVだ。そのボディサイズ(GTグレード)は、全長4846mm、全幅2163mm(ドアミラー含む)、全高1670mm、ホイールベース2901mm。ライバルはポルシェ マカン、メルセデス・ベンツGLC、BMW X3あたりとなるだろう。
歴代のミストラル、ギブリ、ボーラなどと同様、風の呼び名を由来としており、「グレカーレ」も地中海に吹く北東の風から来ているそうだ。
2リッター直4ターボから3.0リッターV6ツインターボまでグレードは3種類
用意されるグレードは「GT(826万円)」「モデナ(1046万円)」「トロフェオ(1395万円)」の3種類。「GT」は最高出力300psの2.0リッター直4ターボを搭載するマイルドハイブリッド、「モデナ」は最高出力330psの2.0リッター直4ターボを搭載するマイルドハイブリッド、最上位グレードとなる「トロフェオ」は最高出力530psを発揮する3.0リッターV6ツインターボを搭載する。トロフェオは0-100km/h加速3.8秒、最高速度285km/hという驚異的なパフォーマンスを誇る。追ってBEV仕様の「グレカーレ フォルゴーレ」が追加される予定だ。
ヘッドライトはMC20を彷彿させる形状を、テールランプは“ブーメラン”デザインを採用。最新のマセラティデザイン言語が表現されている。ブーメランはもちろんジウジアーロの手になる3200GTをモチーフにしている。当然フロントフェンダーのトリプルサイドエアベンドがレイアウトされている。
最新のデジタル主体のインフォテイメントを採用
レザーとアルミが巧みに用いられた室内は、マセラティの高級感をコンパクトSUVでもきちんと担保している。メーターパネルは12.3インチのディスプレイとなっており、モードによって表示が変更される。中央には12.3インチと8.8インチの大型タッチスクリーンが2枚縦にレイアウトされる。エアコンなどのスイッチ類もタッチパネルで行い、物理スイッチはステアリング周辺にしか用意されない。ダッシュボード中央の時計も表示はアナログだがよく見ると液晶パネルにデジタル表示される。なお室内からのドア開閉もスイッチで行う電気式だ。
ナビゲーションなどインフォテインメントはアンドロイド・オートモーティブOSによるマセラティ・インテリジェント・アシスタントが採用され、ディスプレイのレイアウトが自在に設定できるという。
エンジンのスタート/ストップはスーパースポーツカーの多くが採り入れている方式と同じでステアリングスイッチで行う。インフォテインメント系のスイッチが集約される他、サスペンションの設定などが変わるドライブモード変更ダイヤルやADASなどの操作スイッチ類もレイアウトされる。大型のシフトパドルはコラム固定式で、そのクリック感はストロークも適度で上質だ。