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Lamborghini Lanzador
ハイブリッドモデルやEVを続々と投入
アウトモビリ・ランボルギーニの会長兼CEOを務めるステファン・ヴィンケルマンは、取締役会とともに、CO2排出量の削減において、これまでに達成してきた成果を共有。これを受けて、新たな野心的目標として、2030年までにバリューチェーン全体で、自動車1台あたりのCO2排出量を40%削減(2021年比)することを発表した。
今回の野心的な目標は、生産からサプライチェーン、ロジスティクス、製品の使用段階まで、企業全体と製品のライフサイクル全体をカバー。CO2排出量40%削減という目標を達成するため、関連企業全社を巻き込んだ取り組みとなる。
2021年に初めて発表した「コル・タウリ戦略」において、ランボルギーニは電動化に関する継続的な研究を実施すると宣言。2023年に初のHPEV(ハイパフォーマンスEV)の「レヴエルト」を発表した。2024年にはウルスのハイブリッド仕様、ウラカンの後継モデルとなる2番目のHPEVモデルを発売する予定だ。
さらに、昨年のモントレー・カーウィークにおいては、初のフル電動モデルコンセプトカー「ランザドール」を公開。2028年には初のフル電動モデルを発表し、2029年はフル電動SUVも投入する予定だ。電動ラインナップを充実させることで、販売車両のCO2排出量を2025年までに50%(2021年比較)、2030年までに80%まで削減することを目指している。
ヴィンケルマン会長兼CEOは、コル・タウリ戦略のアップデートについて次のようにコメントした。
「コル・タウリ戦略は、ランボルギーニの電動化への ロードマップであり、サンタアガタ・ボロネーゼの施設だけでなく、バリューチェーン全体の脱炭素化に向けた道筋でもあります。また、当社のグローバルなサステナビリティ戦略に対する総合的なアプローチです」
「大きな変革の時代の中で、誰もが目標の達成に貢献する必要があります。この取り組みは、単に個人や各企業だけではなく、インフラや再生可能エネルギーへの移行を担う機関や政府にも及ぶでしょう。世界的に認知されたブランドとして、ランボルギーニの使命は、こうした現代の課題に取り組むよう、他者にインスピレーションを与え、鼓舞することです。アウトモビリ・ランボルギーニは、サステナブルなビジョンが可能であることを証明しています」
サスティナブルなスーパースポーツメーカー
温室効果ガスの世界的な排出量は、CO2換算で約59ギガtに相当し、運輸部門全体では、直接的な排気ガスのみをカウントすると、この数字の約15%にも相当する。現在、ランボルギーニの保有資産は、CO2換算で約70万tであり、これには2021年から2022年に生産された車両のライフサイクル全体が含まれている。
サンタアガタ・ボロネーゼでの生産活動は、世界のCO2排出量のわずか0.001%に過ぎないが、地域社会や地球に対する企業としての責任は、環境影響の数値そのものにとどまらないと、ランボルギーニは認識しているという。アウトモビリ・ランボルギーニのストラテジー・ディレクターを務めるステファノ・ルティリアーノは、現在の取り組みについて次のように説明した。
「サステナビリティは、ランボルギ一二の企業戦略の中でも重要な柱のひとつです。我々は、課題の全体を考慮し、持続可能な社会の実現に向けて、最も永続的な取り組みを行うスーパースポーツメーカーになることを目指しています。現在、コル・タウリ戦略の実施に向けて、部門間にまたがった専任チームも設けています」
生産拠点でカーボンニュートラルを達成
ランボルギーニのサステナビリティへの取り組みは2015年にスタート。サンタアガタ・ボロネーゼの生産拠点においてカーボンニュートラルを達成し、生産拠点の規模が2倍になったにもかかわらず、その後数年間にわたってこれを維持してきた。これまで施設全体で多くの取り組みが実施され、継続的な脱炭素化につながっている。
アウトモビリ・ランボルギーニのチーフ・マニュファクチャリング・オフィサーのラニエリ・ニッコリは、次のようにこれまでの取り組みを振り返った。
「私たちは、2009年にエミリア・ロマーニャ州最大の太陽光発電システムを設置し、新しい建物の高エネルギー効率認証など、サステナビリティを推進する多くの施策を採用してきました。この活動は現在も継続しており、トリジェネレーション(熱源からの熱や電気に加えて、発生する二酸化炭素も有効活用するエネルギー供給システム)や、地域熱供給プラントを通じて、エネルギー消費量を大幅に削減しています」
「そして水の使用と排出を最小限に抑える、先進的な塗装工場のコンセプトも発表されました。これらの取り組みにより、2022年には2010年と比較して、車両1台あたりのエネルギー消費量が36%も削減されています」
環境への影響を削減するための、最新の取り組みは水資源管理に関するもの。2022年には車両1台あたりの水消費量を2010年比で34%も削減した。
工場内のCO2排出量を削減するだけでなく、2011年にはランボルギーニパークをオープンさせるなど、周辺環境の整備にも積極的に取り組み、地域社会との深いつながりを育んでいる。工場から少し離れた場所にあるこの公園には、1万本のオークの木が植えられ、野生動物の生息地だけでなく、地元の人々やスタッフの憩いの場として利用されている。
「我々はイタリアやヨーロッパの一流大学と共同で、ミツバチの研究による汚染物質のバイオモニタリングや、ランボルギーニパークのオークの木や土壌におけるcO2や炭素の吸収など、多くの研究プロジェクトを立ち上げました。また、工場が周辺地域に及ぼす影響を相殺するために、2つの植林計画を含む土地再開発プロジェクトも実施しています」と、ニッコリは付け加えた。
スーパースポーツの電動化が新たなチャンスに
ランボルギーニは社会の大きな変化に対して、常に挑戦をチャンスへと変えてきた。これはハイブリッドスーパースポーツとして開発された「レヴエルト」や、ウラカンの後継モデルのハイブリッド化、さらにフル電動スーパーSUVや、将来的に投入を予定している電動2+2ウルトラGTなど、積極的なラインアップの電動化にも見て取れる。
ランボルギーニのような国際的なブランドにとって、最も複雑な課題のひとつが、事業を展開している様々なマーケットに適応することにある。チーフマーケティング&セールス・オフィサーのフェデリコ・フォスキーニは、その難しさについて次のようにコメントした。
「現在の主な課題は、車両のCO2排出量に関する規制です。これはマーケットによって異なり、各基準を満たすために遵守する必要があります。我々はトレンドに対して、受動的に反応するのではなく、私たちの価値観とDNA に忠実であり続けながら、トレンドを先取りし、このような規制への準備もきちんと整えているのです」
電気モーターの導入は制限ではなく、むしろチャンスであり、スーパースポーツを新たな時代へと押し上げると指摘するのは、チーフテクニカルオフィサーのルーヴェン・モールだ。
「電気モーターは、ダイナミクスとドライビング・エクスペリエンスの面で新たな境地を切り開くでえしょう。スーパースポーツにとっては、新時代の幕開けであり、私たちはスポーティさ、楽しさ、ドライビング・ダイナミクスのコンセプトをサステナブルな形として再定義しています。ランボルギーニのDNAは、常にエモーショナルパフォーマンスというンセプトに基づいているのです」