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Porsche 911 GT3 RS Jörg Bergmeister
2003年のデイトナ24時間レースで優勝
今回、ベルグマイスターは、自身の911 GT3 RSの製作のため、ポルシェ・エクスルーシブ・マニュファクチャーが2021 年から導入したカスタマイズプログラム「ソンダーバーシュ(Sonderwunsch:スペシャルリクエスト)」を活用した。
2003年2月2日は、プライベート参戦した911 GT3 RSがデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでゴールラインを通過。デイトナ24時間レースにおいて、並み居るワークスチームを抑えて優勝を達成した。その日、911 GT3 RSをドライバーしていたひとりが、若き日のベルグマイスターだった。
当時のベルグマイスターは、カレラカップ出身でデイトナ24時間レース参戦は2度目。チームメイトはケビン・バックラーとマイケル・シュロム。タイプ996ベースの911 GT3 RSは、ザ・レーサーズ・グループからエントリーし、今ではお馴染みとなったブルーとイエローのカラーリングを纏っていた。
優勝から20周年を記念した特別な911
デイトナ優勝から20年、ベルグマイスターとチームメイトは今でも定期的に連絡を取り合っている。そして2022年8月、新型911 GT3 RSが発表されると、シュロムがベルグマイスターを、ユニークで個人的なデザインのクルマへと導くひとつのヒントを与えたという。
「このアイデアは、実は2022年の夏にマイケル(シュロム)から出たものだったんです。新型911 GT3 RSのことを聞いたとき、彼は翌年がGT3 RSでデイトナ24時間レースを制してから20周年ということに気が付いたのです。まさに完璧なタイミングでした」と、ベルグマイスターは明かす。
ベルグマイスターは、貴重な911 GT3 RSの割り当てを確保。911 GT3 RSはペイント・トゥ・サンプルによって、彼が母国ドイツでフォーミュラシリーズに参戦していた頃から親しんできた、リヴィエブルーにペイントされた。そして、ソンダーバーシュ・チームと密接に協力しながら、オリジナルのカラーリングを忠実に再現し、特別な勝利の記念日を祝うために、数々のユニークな要素を取り入れたデザインが作られていく。
専用ディテールを数多く採用
ベルグマイスターは、すべてのボディパネルを当時と同じリヴィエブルーでペイントするため、レーシーな「カーボン・ヴァイザッハ・パッケージ」をオーダー。ここに2003年のデイトナ24時間ウイナーと同じレーシングイエローのコントラストカラーが加えられた。
リヤウイングはホワイト、サイドプレートはレーシングイエローでペイント。リヤウイング裏面にはポルシェ・クレストも描かれ、リヤデッキにはモデル名「911 GT3 RS」のレタリング、サイドセクションにはレーシングイエローの「 GT3 RS」フォイルデカールが貼られている。
専用のドアシルパネルを装着
コクピットは、ブラックレザーにGTシルバーのステッチを組み合わせ、ダッシュボードには高品質マイクロファイバーの「Race-Tex」をチョイス。自動消火器を含む「クラブ・スポーツ・パッケージ」もベルグマイスターはオーダーしている。インテリアで最も目を引くのは、カーボンファイバー製ドアシルパネルだろう。このレタリングは、デイトナ24時間レースの勝者に贈られる、ロレックス製腕時計の刻印を模している。
オーダー後、1年間完成を待ち続けたベルグマイスターは、2024年2月中旬にドイツ・ツッフェンハウゼンで、48歳の誕生日にオーダーメイドのGT3 RSを手に入れた。彼は、インターナショナルVIP&スペシャルセールスのサンディ=マルク・バウアーと、ポルシェ・エクスクルーシブ・マニュファクチャーにおいてビークルズ&オプションのディレクターを務めるボリス・アペンブリンクへの感謝を口にした。
「多くの人々がこのプロジェクトに携わってくれました。細かいディテールまで、徹底的にこだわる私をサポートしてくれたのです。このクルマを見た人、このクルマにまつわるストーリーを知っている人は誰もが、このクルマを気に入ってくれるでしょう」
「春になって、この素晴らしいクルマをドライブするのが待ちきれません。まずは天気が良くなってくれないと。凍結防止の塩まみれの冬道では、絶対に乗りたくありませんから(笑)。毎日乗るには、この911 GT3 RSはちょっと貴重すぎます」
「デイトナで私たちが達成したことは、今でも誇りに思っていますし、このクルマはその記憶を呼び覚ましてくれました。普段はそれほど感情的になることはないのですが、このクルマと初めて対面した時は鳥肌が立ちました。完成したことは本当に幸運なことだと思いますし、この出来栄えに感動しています」