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MERCEDES-BENZ E-CLASS STATIONWAGON
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PORSCHE CAYENNE
高速域の走行安定性は物理的にEクラスのほうが高い




セダンベースのステーションワゴンと、クロスカントリー4WDが由来であるSUVのボディを単純に考えてみると、ステーションワゴンのほうが長く、SUVのほうが腰高な印象を持つだろう。その印象は間違っていないのだが、いざこの2台を比較してみると興味深い結果が見つかる。
「メルセデス・ベンツ Eクラス」と「ポルシェ カイエン」を比較してみると、実は全長はそれほど変わらないのだ。Eクラスのほうが長く、カイエンのほうが短く感じるのは、車高の違いとホイールベースの違いが大きく影響していると考えられる。さらに大きな違いがあるのは全幅だ。この違いもボディサイズの印象の差に影響しているだろう。
ただ、気になるのは前面投影面積の違いによる燃費への影響だ。両車ともに空力については十分に検討しているはずだが、物理的な差を埋められるわけではない。例えばアウトバーンのような高速道路を走ると、前面投影面積が少なく重心も低いEクラスのほうが安定感が高いのではないだろうか。
メルセデスベンツ Eクラス・ステーションワゴン E 300 エクスクルーシブ
ボディサイズ=全長4960mm×全幅1880mm×全高1480mm
ホイールベース=2960mm
車両重量=1950kg
タイヤサイズ=225/55R18
ポルシェ カイエン
ボディサイズ=全長4930mm×全幅1983mm×全高1698mm
ホイールベース=2895mm
車両重量=2130kg
タイヤサイズ=225/55ZR20(前)295/45ZR20(後)
らしさと狙いどころが違うエンジン




Eクラスとカイエンのエンジンは形式も狙い所も違うと考えてよいだろう。Eクラスのエンジンは、メルセデス・ベンツとしての安定感の高さと環境性能を追求した結果、直列4気筒エンジンに落ち着いたと考えられる。あくまでステーションワゴンとしての機能性を追求しつつ、スポーツ性と環境性能のバランスをとった結果だ。
一方、カイエンといえば高性能SUVの先駆けとなったモデルだ。そのため、SUVであるもののスポーツ性能を追求している。なんといってもカイエンはポルシェである。ポルシェといえば高性能スポーツ車というイメージが定着しているため、どんなモデルでもその方向性から逸脱することはユーザーとファンの期待を裏切ることになる。
SUVがスポーツ性能を追求するということは一見すると矛盾しているが、カイエンは作り手を考えれば納得がいく。ちなみに、カイエンにはV型8気筒+電気モーターを搭載した「ターボ E-ハイブリッド」が最高峰として用意されている。
メルセデスベンツ Eクラス・ステーションワゴン E 300 エクスクルーシブ
エンジン形式=直列4気筒DOHCターボ
排気量=1997cc
最高出力=258PS/5800rpm
最大トルク=400Nm/2000〜3200rpm
トランスミッション=9速AT
駆動方式=RWD
ポルシェ カイエン
エンジン形式=V型6気筒DOHCターボ
排気量=2995cc
最高出力=353PS/5400〜6400rpm
最大トルク=500Nm/1450〜4500rpm
トランスミッション=8速AT
駆動方式=AWD
Eクラスは高く、カイエンは安く感じる?


実は両車の価格差は約80万円しかない。カイエンのほうが高いのだが、両車とも1000万円を超えているだけにその差は微々たるものと感じる。
ただ、エンジンスペックを考えてみると、2.0リッター4気筒のEクラスは割高に感じてしまう。そして諸費用込みだと2000万円近くの予算が必要になる「911」を思えば、カイエンは割安と感じる。ブランドイメージから考えて高く感じるか安く感じるか、ひとそれぞれに違うだろう。