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日本人の心です
モータースポーツの仕事を生業としている私にとって、春から秋の終わりまで愛車でヨーロッパを取材に駆け回る日々を過ごしている。
各サーキットには、メディアセンター(プレスルームともいう)という私たちライターやフォトグラファー、各自動車メーカーの広報部やプレスエージェンシーといったメディア関係者が仕事をする大きな部屋があるのだが、暖かいお食事や軽食のご提供を頂けるサーキットもあるが、ドイツ以外の国ではお水とコーヒーのみというところが大半だ。
この昨今の酷い円安と物価高で毎日のように仕事終わりにレストランで好きなモノを食べるという事は夢のような事。ましてや2万歩以上もサーキットを1日中歩き回る事も少なくない日々で、疲労困憊のクタクタでわざわざレストランに行く事さえも億劫で、早く宿へ戻ってシャワーを浴びて横になりたいというのが正直なところ。
そんな私が今年購入したのは炊飯器! それも昭和レトロ感満載の超単機能の1.5合炊き。実は同じモノを以前も所有していたのだが、残念ながら今年のル・マン24時間レースウィーク前に電源が入らなくなり、ドイツに帰国後に同じモノを購入。非常に軽く、小さくてお気に入りなのだ。
おにぎりや日本式のお弁当を作って行く事も
あの世界的に有名なル・マン24時間レースでも例外ではなく、メディアセンターにはお水とコーヒー以外は何もなく、自動車メーカーにご招待されるような立派な方ではない限り、自分で食料を調達して長いレースウィークを乗り切る必要があるのだ。なので、スーパーマーケットのエコバッグに食料品や飲み物を大量に持ってメディアセンターに出勤して来るメディア関係者も多く、私もそのひとりだ。
私の昨今のル・マンの定宿はフランス人女性のステキな一軒家で、キッチンも備えていて非常に便利。今年のル・マンのレースウィークには炊飯器が突如壊れて急遽お鍋で炊いて乗り切った。
長丁場となるル・マンやスパ24時間レースには、朝に時間的余裕があればおにぎりや日本式のお弁当を作って行く事もあるのだが、ニュルブルクリンク24時間レースをはじめ、いくつかのレースではメディアセンターのケータリングが非常に充実しており、いつも暖かいお食事を頂けて感謝でいっぱいで、宿での炊飯器や湯沸かしケトルでの調理はほぼ不要なのがありがたい。そして、そのお食事タイムがとても楽しみで仕方がない。大概はゆっくり食べている時間がなく、掻き込む感じで早食いをしているのが現実だ(笑)。
便利なコンビニエンスストアはない
私の愛車のトランクには、いつも湯沸かしケトルや炊飯器(お米は0.6合ずつ小分けにしてある)やご飯のお供のふりかけや海苔、お土産で頂いたレトルト食品等をいつも積んでいる。貧乏くさくて恐縮だが、これが現実! 宿に冷蔵庫や電子レンジがあれば良いのだが、それらの日本のようなサービスはよほど高級ホテルしかないので、サーキットからホテルに帰る途中にパック入りのサラダやチーズ、サラミ等を購入しておかずのひとつにし、おかずを多目に購入して翌日のお弁当に入れる事もある。
フランスやベルギー、イタリアのスーパーマーケットには暖かい手作りのお惣菜が充実していて重宝しているのだが、取材の都合でスーパーマーケットの閉店時間に間に合わない事も多々ある。もちろん、日本のような便利なコンビニエンスストアもなく、ひもじい夕食難民になってしまう可能性があるという過去の経験を踏まえて愛車のトランクには念の為に何でも積んでおく事にしている。
余談になるが、フランスとドイツのホテルで就寝中に二度トコジラミの大襲撃を受けて、顔から全身にとんでもなく酷い痒みで苦しんだ経験があり、トコジラミ対策のスプレーや突然の深夜の蚊の襲撃用に蚊取りキットになんとも言えないヨーロピアンな匂いに包まれた部屋に当たった時の為にファブリーズ等、あらゆるモノを用意している。仕事用にミニバンを購入出来れば良いのだが、そうもいかず狭い一台の愛車にはこんな生活感溢れるモノが満載で、人前でトランクを開けるのがちょっと恥ずかしい(笑)。