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Porsche 718 Cayman GT4 RS Clubsport
デイトナ24時間併催レースで2位表彰台

2025年のデイトナ24時間の併催レースとして開催された「IMSAミシュラン・パイロット・チャレンジ」開幕ラウンドにおいて、「ポルシェ 718 ケイマン GT4 RSクラブスポーツ」は2位表彰台を獲得。激しいバトルが繰り広げられる中、チームRS1から参戦したベルギー人ドライバーのヤン・ヘイレンとアメリカ人のルカ・マーズは4時間のレースを終えてわずか0.364秒差で勝利を逃している。
2025年シーズンは悔しいスタートとなったが、2024年シーズンはポルシェのカスタマーチームが「ピレリGT4アメリカ・シリーズ」のプロアマ、シルバー、アマの各クラスでタイトルを獲得。さらに「GTアメリカ・パワード・バイ・AWSシリーズ」でも、GT4クラス王座を持ち帰った。
ポルシェ・モータースポーツ・ノースアメリカ(PMNA)の社長兼CEOを務めるフォルカー・ホルツマイヤーは、718 ケイマン GT4 RS クラブスポーツの活躍について次のようにコメントした。
「モータースポーツは、ポルシェのブランドアイデンティティの中核にあり、今後も変わることはありません。718 ケイマン GT4 RS クラブスポーツの活躍は、その“証”であります。クラブレースからIMSAミシュラン・パイロット・チャレンジのようなビッグレースにに至るまで、718 ケイマン GT4 RS クラブスポーツは高い競争力を示してきました」
「これは身近な存在であるGT4カテゴリーへの、ポルシェの強いコミットメントを示すものです。718 ケイマン GT4 RS クラブスポーツは、デビュー以来デザインとエンジニアリングにおいて高い汎用性も持ち続けています。そして、ポルシェとして、ポルシェ・スプリント・チャレンジ・ノースアメリカ、ポルシェ・エンデュランス・チャレンジ・ノースアメリカといったワンメイクレースにおいて、お客様をサポートできることを嬉しく思っています」
グラスルーツから世界的なレースまで

今や、718 ケイマン GT4 RS クラブスポーツは、911(タイプ992)をベースとしたコンペティションモデルと並んで、ポルシェのカスタマーレーシングプログラムの中核に成長した。2022年シーズンのデビュー以来、世界中のスプリントレースや耐久レースにおいて、常に好成績を収め続けている。
先に紹介した米国以外でも、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、タイの国内GT4シリーズタイトルを獲得。ドイツでは、W&Sモータースポーツが、718 ケイマン GT4 RS クラブスポーツで、2024年シーズンの「ADAC GT4ドイツシリーズ」の全タイトルを獲得した。
ADAC GT4ドイツシリーズは、ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)併催選手権として開催されており、GT4ヨーロッパシリーズと並び、最も厳しい戦いが繰り広げられているGT4カテゴリーのひとつ。ドイツではGT3へ足掛かりとして、多くのドライバーがこのシリーズを経験している。
ポルシェ・モータースポーツのセールスディレクター、 ミヒャエル・ドライザーは現在の状況を次のように説明する。
「GT4セグメントはポルシェ・モータースポーツにとって、今や重要な領域となっています。私たちは、718 ケイマン GT4 RS クラブスポーツという、非常に優れたレーシングカーを送り出すことに成功しました。私たちのカスタマーは、世界中の数多くのシリーズや選手権に出場し、大きな成功を収めることが可能になったのです。また、ワンメイクシリーズやサーキットデイイベントでも、多くのドライバーから高い人気を集めています」
3世代にわたり進化を続けたケイマン GT4

ポルシェは2016年、タイプ981をベースとした「ケイマン GT4 クラブスポーツ」を、当時まだ立ち上げられたばかりのGT4用レーシングカーとして発表した。2016年から2018年にかけて、ケイマン GT4 クラブスポーツは421台が製造され、世界中のカスタマーへとデリバリーされている。
タイプ982をベースとする後継モデルは2019年にデビューし、総生産台数は510台に達した。高い需要の一因となったのが、耐久性に優れた生産車ベースのテクノロジーとモータースポーツ専用コンポーネントの組み合わせたことによる、リーズナブルなレース参戦コストにあった。
2世代にわたる伝統を受け継ぎ、2022年から製造が開始された718 ケイマン GT4 RS クラブスポーツは、現行の911 GT3 カップからキャリーオーバーされた最高出力500PSを発揮する、4.0リッター水平対向6気筒エンジンを搭載。先代の3.8リッターエンジンと比較し、18%ものパワーアップを果たした。
エアインテーク形状が最適化されたことで、最高出力は従来よりも800rpm高い8300rpmで発揮され、最高回転数は9000rpm。最大トルクも先代モデルの425Nmから465Nmへと大幅アップ。これらのアップデートにより、パワーバンドが拡大し、アマチュアドライバーにも使いやすいドライバビリティを実現した。
718 ケイマン GT4 RS クラブスポーツは、天然繊維複合材料(NFC)製ボディコンポーネントを採用した初の市販レーシングカーでもある。2025年スペックではNFCの使用比率がさらに高まり、ボンネット、フロントフェンダー、フロントのエアロダイナミクスエレメント、ドア、リヤウィング、ステアリングホイールにまで及んでいる。