レクサスのフラッグシップSUV「LX700h」に試乗「新開発ハイブリッドシステム搭載」

マイナーチェンジで待望の“ハイブリッド”が登場した新型「レクサス LX700h」にナパバレーで試乗

昨年10月に概要が発表されていた、レクサスLX初のハイブリッド、LX700hの全貌が明らかになった。試乗したのは北米仕様。バリエーションに「Fスポーツ」やオフロード仕様「オーバートレイル」が追加されたことも見逃せないトピックといえる。
マイナーチェンジしたレクサスLXに待望のハイブリッドが追加。その名も「LX700h」だ。
昨年10月に概要が発表されていた、レクサスLX初のハイブリッド、LX700hの全貌が明らかになった。試乗したのは北米仕様。バリエーションに「Fスポーツ」やオフロード仕様「オーバートレイル」が追加されたことも見逃せないトピックといえる。(GENROQ 2025年4月号より転載・再構成)

Lexus LX700h

受注再開は近い?

昨年10月に概要が発表されていた、レクサスLX初のハイブリッド、LX700hの全貌が明らかになった。試乗したのは北米仕様。バリエーションに「Fスポーツ」やオフロード仕様「オーバートレイル」が追加されたことも見逃せないトピックといえる。
ブラックアウトされたウィンドウフレームやドアハンドルを持つ、アウトドアテイストの強い「オーバートレイル」。

グローバルでは4代目となるレクサスのフラッグシップSUVといえば「LX」。その現行型は、2022年の発売開始から半年を待たずして受注を停止するほどの人気を博している。コロナ禍を契機とした部品調達や流通の混乱もあってのことだが、ようやく受注残の対応も目処が立ち、この春以降には注文を再開できるのではという情報も入ってきた。

そこに歩を合わせるかたちでLXに初のマイナーチェンジが施される。シャシー周りでは下山テストコースでの走り込みで得た知見を基に、ラジエーターサポート上縁部にパッチ補強を加えたほか、インストレインフォース部のブラケット追加や板厚アップによるステリアングユニットの支持剛性向上、ボディオンフレームのボディマウントの構造変更による低周波振動の低減、電子制御可変ダンパーのバルブ構造変更と再チューニング、などの改良が加えられた。

また、装備面では電気式シフターの採用に伴うシフトノブの小型化やオフロードでの操作性を重視した形状最適化、マッサージ機能付きシートを前席にも設定拡大したほか、メーターパネルのフル液晶化やワイヤレス充電の急速充電対応など、こちらも仔細に至るまで手が加えられている。

そして今回のマイナーチェンジで一番のトピックとなるのがハイブリッドパワートレインの追加だ。従来の600が搭載する3.5リッターV6ツインターボと副変速機付き10速ATはそのままに、エンジンとミッションの間にモーターを配してクラッチで駆動制御するパラレル式のシステムを構築している。グレード名の「700h」からも推定できるように、駆動モーターの役割は燃費低減というよりはパワーのアドオン側に軸足を置いており、実際、アウトプットは最高出力で457PS、最大トルクは790Nm。これは600に対してそれぞれ48‌PS、141Nm大きいことになる。

ハイブリッドシステムは3.5リッターV6ツインターボと10速ATの間にモータージェネレーターを挟むパラレル式。ニッケル水素バッテリーは防水構造とされ、エンジン車同様の渡河性能700mmを確保する。
ハイブリッドシステムは3.5リッターV6ツインターボと10速ATの間にモータージェネレーターを挟むパラレル式。ニッケル水素バッテリーは防水構造とされ、エンジン車同様の渡河性能700mmを確保する。

とはいえ、トヨタ系のハイブリッドといえばシリーズとパラレルの長所を活かしたTHSがお約束だ。なぜわざわざ新たなシステムを構築したのかといえば、ラダーフレーム系車両に託される信頼性や堅牢さにある。牽引や運搬などの高負荷・高荷重にもしっかり対応し、微細なトルクデリバリーが要される四駆の走破力などに配慮すると、シンプルなパラレル式が最適と見込まれたわけだ。

ちなみにこのシステムは日本での本格発売も始まる新型GXの中国仕様や、トヨタの北米向け銘柄であるタンドラ&セコイアにも採用されている。壊れず生きて帰って来るという能力が求められるがゆえ、万一ダウンした際にモーター駆動を切り離し、内燃機単独で退避走行が可能なよう緊急用のセルや発電機も構えるほどフェイルセーフも入念だ。

モーターも悪路走破性の向上に貢献

センターデフロック機構は全車に標準装備されるが、オーバートレイルにはさらにフロントおよびリヤにも追加。必要に応じてロックさせることで、悪路からの脱出性能を高める。
センターデフロック機構は全車に標準装備されるが、オーバートレイルにはさらにフロントおよびリヤにも追加。必要に応じてロックさせることで、悪路からの脱出性能を高める。

カリフォルニア北部のナパバレーでの試乗は、700hのみに新たに設定されるグレード、オーバートレイルが中心となった。3つのデフロックを備えるなど最もオフロード側に寄せた仕立てとなる。雨期ということもあって天気は芳しくなく、悪路コースは泥濘でヌタヌタと厳しい環境となったが、700hはまるで苦もなく岩場や丸太、モーグルなどの滑りやすいセクションを走り抜いた。オンロードでは低中速域からの加速時に分厚いトルクで巨体をグイグイと押し進めてくれる感触を伝えてきたモーターは、低ミューの状況では駆動力を微細にコントロール出来るだけでなく、エンジン稼働によるトルク変動もしっかり抑えられていて、悪路でのアクセルワークに至って自然に応答してくれる。

こちらはスポーティ仕様のFスポーツ。専用のフロントグリルや22インチのタイヤ&ホイール、リヤのトルセンLSD、赤いレザーシートなど、走りを意識した数々の装備が奢られる。
こちらはスポーティ仕様のFスポーツ。専用のフロントグリルや22インチのタイヤ&ホイール、リヤのトルセンLSD、赤いレザーシートなど、走りを意識した数々の装備が奢られる。

進化という点ではオンロードでの乗り味の進化も見逃せない。すっきりしたライドフィールは骨格の強化やダンパー設定の見直しに加えて、ボディマウントの特性変更による細かな横揺れの低減も奏功しているのだろう。ラダーフレーム四駆として一頭地抜けた乗り心地を得た新しいLXは、日本の路上でも十分にその熟成ぶりを味わわせてくれるはずだ。

REPORT/渡辺敏史(Toshifumi WATANABE)
PHOTO/Lexus International
MAGAZINE/GENROQ 2025年4月号

SPECIFICATIONS

レクサスLX700h オーバートレイル

ボディサイズ:全長5094mm 全幅1990mm 全高1885mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:2780kg
エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:3445cc
最高出力:336kW(457PS)/5200rpm
最大トルク:790Nm(80.6kgm)/2400rpm
トランスミッション:10速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後265/70R18
最高速度:209km/h
0→96km/h加速:6.4秒
車両本体価格:──

【問い合わせ】
レクサスインフォメーションデスク
TEL 0800-500-5577
https://www.lexus.jp

一部改良を施した「レクサス LX」の走行シーン。

「レクサス初の新型“パラレルハイブリッド”搭載」一部改良「LX」が日本導入スタート

レクサスは最高級オフロード「LX」の一部改良を実施。歴代LX初の電動化モデルとなる「LX700h」に、3.5リッターV型6気筒ツインターボをベースとする新型パラレルハイブリッドシステムを搭載した。一部改良型「LX」は、2025年3月24日から日本での販売を開始する。

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渡辺敏史