新型「レクサス GX オーバートレイル」をオフロードで試乗

新型「レクサス GX」の目玉グレードとなるヘビーデューティな「オーバートレイル」をオフロードで試乗

約20年ぶりにフレームから全刷新された3代目「GX」。ラインナップ中もっともヘビーデューティなキャラクターだ。
約20年ぶりにフレームから全刷新された3代目「GX」。ラインナップ中もっともヘビーデューティなキャラクターだ。
レクサスが北米で販売している本格オフロードSUV「GX」が3世代目へと生まれ変わった。新型では日本への導入も予定されているから、その仕上がり具合は我々にも気になるところだ。プラットフォームも一新し、全方位での進化を遂げた新型GXの実力を北米で試す。(GENROQ 2024年4月号より転載・再構成)

Lexus GX

約20年ぶりの全刷新

こちらはオフロード仕様のオーバートレイル。フェンダーに樹脂ガードが装着され、バンパー形状も変更、またルーフレールも装着されている。

レクサスのSUVラインナップは、モノコックとラダーフレームという骨格別で二系統に分類できる。これは1990年代後半、プレミアムSUVの先駆けとして市場を開拓した初代RXの登場を機に、LXとの二本柱になってからの伝統だ。そしてこういうラインナップを構成するブランドは数少ない。フレームを持つ同等の同級……といえば、Gクラスやエスカレードといったところだろうか。

そのLXに次いで、2002年に初代が投入されたGXが、日本での販売を開始する。約20年ぶりにフレームから全刷新された3代目の登場がその契機となる。そのGXに託されるのは、ラインナップ中もっともヘビーデューティなキャラクターだ。

刷新されたプラットフォームは現行LXと同じ、GA-Fをベースとしている。日本市場でも近々投入されるだろう、ランドクルーザー250と骨格設計を共有し、仕様が決定してからはレクサス独自の開発を重ねてきたという。結果、ラジエーターサポートやステアリングサポート、Cピラー付近にブレースを追加したほか、開口部のスポット溶接の短ピッチ化や構造接着剤の多用など、独自の補強対策が施される。

粘り強いトルクを発揮するエンジン

搭載するエンジンはLXと同じ、3.5リッターV6ツインターボだが、タービンの小径化や出力特性の変更などによって、悪路走破に用いる低中回転域で、扱いやすく粘り強いトルクを発するような性格にセットアップされた。そのぶん、最高出力はLXに対して60‌PS近く低い354PSとなるが、普通に使うぶんには有り余るほどのパワーではある。

ミッションは10速ATとレシオカバレッジはワイドだが、トランスファーには副変速機を用いる辺りがヘビーデューティの証といえる。センターデフロックは標準で、グレードによってはリヤにもデフロックが配されるが、こちらも伝統的なメカデフと、伝達系周りの仕様はオーソドックスだ。これらは信頼性や耐久性への配慮だろう。それゆえにサスペンションもコイルバネで、形式も前がダブルウイッシュボーン、後ろがラテラルロッド支持の4リンクリジッドと、代々の流儀に則っている。但しジオメトリーは新しいもので、オンロードのスタビリティやハンドリングも十分に意識した仕立てだ。

駆動制御系では路面状況に応じて駆動配分やエンジン&変速等を統合的にマネジメントするマルチテレインセレクトや、悪路での脱出性を高めるクロールコントロールなど、LXでお馴染みのシステムは配されている。加えてメカニカルな懸架方式でもサスストロークを可変するために、新型GXにはリヤスタビライザーの効きを電気的にコントロールするE-KDSSが採用された。

ヘビーデューティグレード「オーバートレイル」でオフロード走行

オフロードの走行では、新型の目玉となるヘビーデューティグレード「オーバートレイル」を試したが、深く彫り込まれたモーグルや30度のバンクや登坂など、4WDローとE-KDSSをアクティブにしておくだけで、まるで躊躇なく走り切った。エアサスによる車高調整では至らないだろう、リジッドアクスルによるトラクション性能の高さや、タイヤが窪みに落ちる際のアタリの柔らかさなど、GXがゆえの動的性能と質感の融合を感じさせてくれる。

その上で特筆すべきは、オンロードのマナーの良さだろう。日本ではオプションとなるだろう専用開発のオールテレインを履いたオーバートレイルでさえ、ノイズレベルは低く、ブロック面の倒れ込みによる曖昧な応答性も感じさせない。高速巡航もワインディングも快適にドライブできる。20インチを履くベースグレードに至っては、可変ダンピング機能も持たないコンベンショナルな仕立てながら、LXにも比肩するような乗り心地と共に、加速や操舵にまつわるロールやピッチを心地よく感じさせてくれる自然な振る舞いに感心した。この、必要以上に制御に頼らない素性の良さこそが、新しいGXの最大の魅力だと思う。

REPORT/渡辺敏史(Toshifumi WATANABE)
PHOTO/LEXUS
MAGAZINE/GENROQ 2024年 4月号

SPECIFICATIONS

レクサスGX550プレミアム

ボディサイズ:全長4950 全幅1980 全高1865mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:2536kg
エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:3445cc
最高出力:258kW(349PS)/4800-5200rpm
最大トルク:479Nm(48.8kgm)/2000-3600rpm
トランスミッション:10速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後265/70R18

【問い合わせ】
レクサスインフォメーションデスク
TEL 0800-500-5577
https://lexus.jp

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