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Bugatti Chiron Sport “Les Legendes Du Ciel”
「世界限定20台」のうちの1台が日本にデリバリー
シリーズ全体で「500台のみ生産」を明言しているブガッティ シロン。その新規受注が2021年11月で終了する。W16スーパースポーツの集大成ともいえるモデルは、シロン スポーツやシロン ピュア スポーツ、シロン スーパー スポーツといった個性的なバリエーションを展開してきた。
そのシロンの最終進化形として、2020年11月に20台のみ車両価格288万ユーロ(約3億7000万円)で販売されたのが「シロン スポーツ “レ・レジェンド・デュ・シエル”(Chiron Sport “Les Legendes Du Ciel”)」。その貴重な1台が、この度日本へ上陸して特別公開された。
航空機とブガッティの密な関係
シロン最後の限定シリーズとなる「シロン スポーツ “レ・レジェンド・デュ・シエル”」をお披露目したのは、日本唯一の正規パートナーとしてブガッティを扱うSKY GROUP。もちろんすでにデリバリー先の決定している個体であり、オーナー氏の格別なご配慮により実車披露の場が設けられた。
「シロン スポーツ “レ・レジェンド・デュ・シエル”」は、ブガッティと航空機の深い繋がりにオマージュを捧げた限定仕様。かつてブガッティで活躍したレーシングドライバー、ロベール・ブノワ、パルトロメオ・コンスタンティーニらは元フランス空軍所属のパイロットであり、“Les Legendes Du Ciel=空のレジェンド”という車名は彼らを称えるものといえる。
また、1909年にブガッティを創設したエットーレ・ブガッティは、航空機から得たインスピレーションをクルマづくりに活かしたといい、1915年には航空機のエンジンも設計している。第2次世界大戦によりプロジェクトは中止されたものの、1938年には速度記録用の航空機も手掛けるなど、生涯“空”と深い関係を持ち続けた。
1920年代の航空機を彷彿させる内外装
「シロン スポーツ “レ・レジェンド・デュ・シエル”」最大の特徴は、ツヤ消しグレーの「Gris Serpent(グリ・サーパント)」と呼ぶボディカラー、そして中央を走るグロスホワイトのストライプアクセントだ。角度によっては深みのあるブラウンやカーキにも見える複雑なツヤ消しグレーは、1920年代の航空機の外板色を現代的に解釈したものである。
インテリアにもやはり1920年代の航空機を彷彿させる“ガウチョ”レザーを採用。ドアトリム部分には、デザイナーがハンドスケッチした1916年製造のフランス製複葉戦闘機「ニューポール17」と、ブガッティ タイプ13の姿が転写されている。
ちなみに、この貴重な車両のオーナー氏はアートに造詣が深く、シロンの購入に際しては配色に非常に悩まれたそうだ。ブガッティは膨大な種類のカラーパレットをラインナップしているが、それでもなかなか「これ」というものが見つけられずにいたところ、このマットグレー×ホワイトストライプ×ブラウンレザー内装の「シロン スポーツ “レ・レジェンド・デュ・シエル”」が発表されるや、一気に心が決まったのだという。
グリルのルーバーは編隊飛行の軌跡をイメージ
航空機との繋がりを感じさせるディテールは他にもある。たとえばフロントグリル内のルーバーはレーザーカットされたアルミ製で、パレードで編隊飛行する航空機の軌跡をイメージさせるパターンとしている。
サイドシルに丁寧に描きこまれたトリコロールカラーのアクセントや、センターコンソールに嵌め込まれた「1 of 20」のナンバー入りの繊細なアルミ製インレイなど、ブガッティならではのクラフトマンシップを感じさせる細かな仕掛けも満載。ドアシル部に入った“les legends du ciel”の文字には、ブガッティファミリーが使う手書きのフォントに近いものを使用しているという。
稀少なW16ハイパースポーツは間もなく「完売」
パワースペック等は「シロン スポーツ “レ・レジェンド・デュ・シエル”」のベースであるシロン スポーツから変更はない。最高出力1500ps、最大トルク1600Nmの8.0リッターW型16気筒エンジンをミッドに搭載。7速デュアルクラッチトランスミッションDSGと4WDを組み合わせ、最高速は420km/hでリミッターが作動する。0-100km/h加速は2.4秒、0-200km/h加速は6.1秒、0-300km/h加速は13.1秒を誇り、400km/hまでは32.6秒で到達する。
圧巻のパワーを放つ無二のW16ユニットを積み、モルスハイムで1台1台ハンドメイドされるブガッティ シロンはデビュー時からの宣言通り500台以上を生産する予定はなく、今回の個体もそのうちの1台に含まれる。シロンの新規注文受け付けは2021年11月で終了するが、同社取締役の笠井裕太氏によれば、どうやらそのタイミングを待たずに500台の枠は埋まってしまいそうである。