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Lexus GX550 “OVERTRAIL+”
快適なオンロード性能

「GX」は数多のレクサスのSUVラインナップにおいて、最もヘビーデューティなオフローダー系モデルに位置づけられる。日本への導入は昨年の限定販売が皮切りだが、実は北米や中東、豪州等では20年以上前から販売されており、グローバルではこの新型が3代目という扱いだ。
シャシー形式はフラッグシップのLXと同じラダーフレームのGA-Fだが、GXはコイルサスと電子制御可変式スタビライザーで快適性と走破性を両立している。対してLXは油圧と空気を用いてストロークをコントロールし、車高調整も可能なサスシステムを採用と、それによる乗り味の違いは明確だ。足まわりの形式は前ダブルウイッシュボーン、後がトレーリングリンクと共通する。
トルキーなエンジンに好印象


新型GXの搭載するエンジンもLXと同じ、3.5リッターV6ツインターボだ。が、よりオフロード域での使いやすさを重視し、小径タービンを用いてトルクのツキの良さを重視した味付けとなっている。ドライブトレインは副変速機付きの10速ATを組み合わせ、取材車のオーバートレイルは最もオフロード寄りのグレードゆえ、センターに加えて前後と3つのデフロック機能を備えていた。
新型GXのスリーサイズはプラットフォーム的には同系となるランクル300にほど近い。LXに比べれば5m切りの全長が実用面で注目されるが、2mにほど近い全幅に悩まされる場面も出てきそうだ。が、本格的なオフローダーらしく前後左右の直接視認にも配慮された形状ゆえ、車体の見切りは非常に良く、狭路でも意外なほどストレスは感じない。
水平基調のコクピットを採用



新型GXにはグレードに応じて2列と3列、両方のシートレイアウトが用意されているが、取材車は2列シートとなる。車室は余裕があるので、3列シートの居住性も小型ミニバン的くらいのところを期待しても間違いはなさそうだ。最もオフローダー寄りの銘柄にして最も悪路向きのグレードながら、レクサスらしく内装の質感にも気を配られている。
エンジンはパワーも十分ながら、ともあれ極低回転域からの応答性に長けていることが印象的だ。ターボラグを感じさせず歩くほどの速度からの微細な増減調整も容易と、さすがにオフローダーらしい柔軟性に気遣われたセットアップとなっている。
押し出しの強いリヤスタイルも魅力的

オンロードでの乗り心地はさすがにLX同然とはいかないが、それでも悪路想定のサス形式にして、フラットなライド感や操舵応答の一体感などにレクサスらしい洗練ぶりがみてとれる。ライバル的なモデルに位置づけられるのはGクラスやディフェンダーだろうが、個性的なデザインやラダーフレームならではの骨太な乗り味などに独自性が見いだせるのではないだろうか。日本市場でも間もなく通常販売の開始が噂されており、要注目の1台といえる。
REPORT/渡辺敏史(Toshifumi WATANABE)
PHOTO/トヨタ自動車
MAGAZINE/GENROQ 2025年5月号
SPECIFICATIONS
レクサスGX550“OVERTRAIL+”
ボディサイズ:全長4970 全幅2000 全高1925mm
ホイールベース:2850mm
エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:3444cc
最高出力:260kW(353PS)/4800-5200rpm
最大トルク:650Nm(66.3kgm)/2000-3600rpm
トランスミッション:10速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後トレーリングリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後265/65R18
車両本体価格:1235万円
【問い合わせ】
レクサスインフォメーションデスク
TEL 0800-500-5577
https://www.lexus.jp