目次
最後の数mまで導いてくれる
「忘れ物を防ぐ電子タグなんて、役立ったことなんかないよ」。忘れ物が多く、電子タグを何種類も使ってきた僕は、Appleが他社の類似品を作っているという噂を聞くたび「ほらね。使い物にならないから出ないんだよ!」と内心呟いてきたことを、まずは詫びておかねばなるまい。
実際に登場したAirTagは、そんな既成概念を軽く覆すものだった。今や僕の“心の安心”を得るために必要不可欠なものとして、カバン、鍵、スーツケース、財布とさまざまなところに忍ばせている。その仕組みはともかく、AirTagの素晴らしいところ。それは「最後の数m」を乗り越える力があるところだ。
従来の電子タグのほとんどは、大まかな位置しかわからない。忘年会で貸し切ったライブハウスに置き忘れたのはわかったものの、広い会場のどこにあるのかわからず、1時間以上も探し回ったこともあったが、AirTagなら簡単に見つけることができる。
探しものを見つける天才
なぜならAirTagに近づけば大まかな距離がわかり、約10m以内に近づくと、今度は方向までバッチリと教えてくれる(方向がわかるのはiPhone11シリーズ以降)。最後はまさに「ここ!」と教えてくれ「ピーン!」という音で場所を知らせてくれるから、小さな鍵を見えない場所に落としていても大丈夫。まさに、これこそが今までの電子タグになかったもの。この一点だけでAirTag推しだが、実はコイツが役立つ理由は他にもある。
電子タグの位置がわかる理由は、タグの近くにある匿名のスマホが位置情報を教えてくれているからだが、匿名スマホにも対応アプリが導入されていなければならない。ところがAirTagの位置報告はiOS14が導入されているiPhoneすべてが、タグの位置特定の手助けをしてくれる。だから見つかりやすい。位置特定精度の高さも画期的だが、探し物に協力してくれる端末が普遍的に存在する。基本的な部分の信頼感が盤石なのだ。
その上、匿名性には十分配慮されている。位置報告の内容や発見したタグのIDなどが匿名で発信されるのはもちろんだが、例えば見知らぬAirTagが自分のカバンに入っていたとしたらどうなるか? 実は見知らぬタグが長時間手元に存在し、しかも一緒に移動することがあると、手元のiPhoneに通知が来るのだ。最後は音を出して発見を促し、電池の抜き方まで教えてくれる。誰かの持ち物についたAirTagを発見したら? その場合、iPhoneをかざすとタグの持ち主に、やはり匿名で「落とし物ですよ」と通知が送れる。
純正アクセサリらしい素晴らしい出来
最後に強調しておきたいのが、純正アクセサリの出来の素晴らしさ。これは実際に長時間使ってみないとわからないものだが、レザーキーリングやレザーループはタグ本体よりも高価だが、半年間使い続けてもヘタる様子もなく、高い耐久性を見せてくれている。もちろん多くのサードパーティが安価なアクセサリを用意しているから、使い方の幅は人それぞれ。内蔵バッテリーは容易に入手可能なボタン型で1年間使え、自分自身で交換できるというのも嬉しい。
REPORT/本田雅一(Masakazu HONDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2021年 10月号
PRICE
3800円〜
評価
1年以上バッテリーが持つ、入手しやすいコイン型電池が使える。対応アクセサリも質が高く価格なり。特にキーホルダーはお勧めだ。iPhoneユーザーなら他の電子タグを選ぶ理由はない。
コストパフォーマンス:4
機能:5
利便性:5
デザイン:4
アクセサリ:4
【問い合わせ】
Apple Store コールセンター
TEL 0120-993-993
https://www.apple.com/jp/