BMWの最新BEV i4はスタイリッシュでスポーティ

コスパ高めのBMW製最新BEV「i4 M50」はポルシェやアウディと伍する性能を発揮するスタイリッシュ4ドアクーペ!

試乗したi4 M50のモーターはフロント258ps/リヤ313psを発生し、システム総合で544psの最高出力をスペックシートに掲げる。
試乗したi4 M50のモーターはフロント258ps/リヤ313psを発生し、システム総合で544psの最高出力をスペックシートに掲げる。
BMWのiシリーズに加わった新型i4は、4シリーズグランクーペのボディスタイルを踏襲する電気自動車。大容量のリチウムイオン電池を搭載して実現する航続可能距離は約500〜600kmを誇る。前後アクスルにモーターを搭載する上位モデル、M50のパフォーマンスを報告する。

BMW i4 M50

見た目は4シリーズグランクーペだが

BMWは、今後さらに電気自動車(BEV)戦略を激化させるようだ。直近の計画としては、2021〜23年にグループ全体で12車種程度のBEVを市場投入予定という。i4もそんなBEV攻勢を担う1台であり、日本でも今年2月に発表されて、最近デリバリーが開始された。

BMWのBEV唯一の4ドアクーペとなるi4は、その見た目から想像されるように、おなじみ4シリーズグランクーペのBEV版である。下周りはもちろんほぼEV専用に仕立て直されているが、上屋は4シリーズグランクーペそのままだ。インテリアもiXに似た超横長ディスプレイ(実際の液晶は2枚に分かれている)が目につくが、それ以外の部分はやはり3シリーズ/4シリーズと共通である。

i4には後輪駆動の「eDrive40」と4WDの「M50」があり、前者は340psのリヤモーター、後者はフロント258ps/リヤ313psでシステム出力は544psの2モーターだ。電池の総エネルギー量83.9kWhで、一充電航続距離(WLTCモード)はeDrive40が604km、M50が546kmとなる。

驚くほどの加速

今回試乗したのは高性能4WDのM50。キャビンに乗り込むと、ダッシュボードに突き刺さった眼前の液晶ディスプレイ以外の運転環境は、おなじみの3シリーズ/4シリーズそのものだ。後席足もとこそ床がわずかに高くなっているが、それ以外は荷室も含めてなにも犠牲になっていない。低いクーペボディに80‌kWh以上という大容量電池を積んでも、常識的な室内空間が残されていることは素直に感心。電池の搭載方法にはかなり工夫が見られるようだ。

シフトレバーまわりも一部に青色があしらわれる以外はエンジン車と同じ・・・と思ったら、M/SレンジがBレンジに変わっていた点だけは異なる。ちなみに、これはスロットルオフで吸いつくように減速してそのまま完全停止にいたる“ワンペダルドライブ”モードである。

まずは「コンフォート」モードで走り出したi4は、とにかく驚くほどパワフルだ。アクセルを深めに踏み込んだ時の加速はまさにのけぞるほど強烈で、不用意なアクセル操作では息が詰まるほどのパワートレインショックが発生する。笑ってしまうほどの割り切った調律だ。

i4で市街地を上品に走りたいなら、パワーフィールがもっとも穏やかになる「エコプロ」モードがおすすめだ。このモードならアクセルペダルを半分以上踏まないと暴力的加速にはならないので、不意のショックに襲われることもほぼなくなる。ご承知のようにエコプロは従来のエンジン車にも備わっているモードだが、これを心から便利に思ったのは、個人的には今回が初めてである。つまり、i4 M50はそれほどまでにパワフルということだ。

i4のライバル車とは?

低重心ボディによる操縦性も素晴らしい。コンフォートモードなら乗り心地もよく、静粛性も高い。山坂道でムチを入れてもアンダーにもオーバーにもならず、踏めば踏むほど吸いついたようにオンザレールに曲がっていく。よほど4WDのトルク制御が緻密なのだろう。そんなi4は、BMWの現行BEVで随一のスポーティカーといっていい。

i4にはさらに専用の「スポーツブースト」モードもあり、同モードでは、0-100km/h加速3.9秒というパワーを絞り出す。これはたとえばポルシェ タイカン4S(同じく4.0秒)やアウディe-tron GT(同4.1秒)すら凌ぐ・・・というなかなかの数値だ。

i4 M50の本体価格は1081万円。1489万円のタイカン4Sや1399万円のe-tron GTと比較すると、i4はひとまわり小さく、デザインもエンジン車と共通だ。しかし、このすこぶるつきの速さと素晴らしいハンドリングに、これら2台のちょうど中間といえる電池容量を考えると、i4のコスパはちょっと無視できない。ポルシェとアウディが誇るBEVクーペの強敵になること必至である。

TEXT/佐野弘宗(Hiromune SANO)
PHOTO/神村 聖(Satoshi KAMIMURA)
MAGAZINE/GENROQ 2022年 9月号

SPECIFICATIONS

BMW i4 M50

ボディサイズ:全長4785 全幅1850 全高1455mm
ホイールベース:2855mm
車両重量:2240kg
電気モーター:交流同期電動機
最高出力:前190kW(258PS)/8000rpm 後230kW(313PS)/8000rpm
最大トルク:前365Nm(37.2kgm)/0-5000rpm 後430Nm(43.8kgm)/0-5000rpm
システム総合最高出力:400kW(544PS)
システム総合最大トルク:795Nm(81.1kgm)
バッテリー:リチウムイオン電池
総電力量:83.9kWh
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブル・ジョイント・スプリング・ストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前245/40R19 後255/40R19
0-100km/h加速:3.9秒
一充電走行距離(WLTCモード):546km
車両本体価格(税込):1081万円

【問い合わせ】
BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL 0120-269-437
https://www.bmw.co.jp/

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