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SVE S54 Oletha Coupe
兄弟が夢見たBMWの原点を具現
スミット・ビークル・エンジニアリング(Smit Vehicle Engineering)は、カリフォルニア出身の兄弟、ケイスとウィレム・スミットによって設立された。彼らはコンパクトなBMW Z4をベースに、Z8のスタイリングを融合させたエレガントなクーペ「オレサ」シリーズを開発。彼らが作り出すモデルはドイツの高い技術力をベースに、アメリカらしいクリエイティビティが組み合わされている。
2021年、まずBMW製4.4リッターV型8気筒エンジンを搭載した「S65 オレサ クーペ」を投入。今回、より扱いやすい3.4リッター直列6気筒仕様の「S54 オレサ クーペ」を開発した。オレサ・クーペの原点はケイスと弟ウィレムが幼い頃に抱いたBMWへの夢がベースにあると、ケイス・スミットは説明する。
「最新のエンジニアリング、現代の高度な製造技術によって作り出された車両に、過去の名車のエッセンスを組み合わせることで、エレガントでありながら、非常に刺激的な1台を作り出せると私たちは信じています」
モータースポーツの血統を持つ直6ユニット
スミット兄弟は、ゼネラレルエレクトリックやジンガー・ビークルデザイン、サンディエゴ・コンポジットなど、ハイテク企業での経験を活かし、2019年にスミット・ビークル・エンジニアリング(SVE)を設立。2022年に南カリフォルニアからテネシー州ナッシュビル郊外にヘッドクォーターを移設し、6000平方フィートもの新たな製造施設を稼働させた。
ナッシュビルの製造施設では、2022年夏からレストア、修復、アッセンブリ作業が開始されている。今回、ラインナップに「S54」が加わったことで、オレサ クーペは、BMWモータースポーツが開発した最高級の自然吸気ユニット2種類から選択できることになった。
2021年のモントレー・カーウィークにおいて初公開された「S65」は、最高出力456psを発揮する4.4リッターV型8気筒ガソリンエンジンを搭載。一方、今回追加された「S54」には、最高出力405psの3.4リッター直列6気筒自然吸気エンジンが採用された。どちらのパワーユニットも、BMWのエンジンを知り尽くしたSVEによって、徹底的なチューニングが施されている。
バルジのないスマートなボンネット
「S65」と「S54」は多くの共通点を持つが、あえて異なる雰囲気のディテールが採用された。オードレン・ニューポート・コンクール&モーターウィークで公開された「S54」は、BMWを象徴する直6エンジンが搭載されたことで、レーシングカーを思わせる猛々しいエンジンサウンドを手にした。
3.4リッター直列6気筒自然吸気エンジンには、カーボンファイバー製インテークマニホールド、6連スロットルボディ、ソリッドロッカーアーム式バルブトレインが採用され、8000rpmまで切れ目のないレーシーなエキゾーストノートを楽しむことができる。
ギヤボックスは「S65」と同様に6速MTを選択。乾燥重量で1360kgに抑えられており、「S65」から約45kgも軽量化された。50:50の重量配分、高い剛性を誇るシャシー、特注のカーボンファイバー製ボディは「S65」と共通だが、V8モデルと直6モデルでは異なるデザインのボンネットが採用されている。