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AEHRA SUV
超ロングホイールベースによる革新的な室内
ハジム・ナダ(Hazim Nada)によりイタリア・ミラノに設立されたアエラは、EVプラットフォームの可能性を最大限に引き出すという大胆な戦略を掲げ、初の量産モデルとなる「SUV」に、アバンギャルドなエクステリアデザインだけでなく、革新的なインテリアコンセプトも導入した。極めて短いオーバーハング、ロングホイールベース、完全なフルフラットフロアにより、これまでの自動車では考えられなかったユニークな室内環境を実現している。
アエラ SUVのキャビンで最も革新的な特徴のひとつが、フルダッシュボードに広がるHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)スクリーンだろう。この超大型タッチスクリーンではドライブ中の操作に加えて、独立した室内空間用大型ディスプレイとして、様々な場面での使用にも対応する。
「ドライブモード」では、スクリーンは低い位置に配置。スピード、航続距離、ヒーターやベンチレーションの設定、ナビゲーションの指示など、ドライバーが必要とするすべての情報が表示される。画面の外側のふたつのエリアはバーチャル・バックミラーとして機能し、車両の両側に装着されたサイドカメラからの高画質映像を映し出す。
駐車時にはフルスクーリンとして活用可能
駐車時にはスクリーンを上方に拡大することで、アエラ SUVをホームシアターやオフィスとして利用することもできる。
従来の車両では、フロントシート用スクリーンがパッセンジャーから近すぎたため、ワイドディスプレイとして柔軟に活用することができなかった。しかし、アエラ SUVの特徴である超ロングホイールベースにより、ディスプレイまでの距離を取ることが可能になった。
アエラは、この画期的なHMIスクリーンの特許を申請しており、車内空間の新たな活用方法として、スタンダードな存在びなる可能性もあると考えている。チーフデザインオフィサーを務めるフィリッポ・ペリーニは、アエラ SUVのインテリアについて次のように説明する。
「最初のモデルである『SUV』と2023年初めに発表予定の『サルーン』は、カスタマーの多忙なライフスタイルに対応するために、真のデジタル時代に相応しい製品として設計・開発されました。スクリーンを完全に広げれば、乗員はリラックスして映画を楽しむことができます。クルマの充電中などにでも、映画を楽しむことができるでしょう」
「また、仕事をする人にとっては、このスクリーンと広い車内が、テレビ会議への参加も可能なプライベートオフィスとなります。スマートフォンやノートパソコンとにらめっこする代わりに、座っているだけで通話中の参加者全員を完璧な高解像度で見ることができますし、クリアで完璧な音質で話を聞くことができるのです」
2025年から市販仕様の生産をスタート予定
ハンドステッチ仕上げのレザーダッシュボードのセンター部には、小型の長方形タッチスクリーンを配置。ドライバーズシートとパッセンジャーシート間に設置され、こちらからもナビゲーション、ヒーター、ベンチレーション、エンターテインメントなど、車両に搭載された多くの機能を簡単に操作することができる。
ステアリングホイールには「AEHRA」のロゴが入ったヨーク型を採用した。イタリア国旗を象ったバッジは、アエラがイタリア初のピュアEVブランドであることをアピール。ステアリングホイール上部には小型デジタルストリップが配されており、ここには走行中のドライバーに向けて重要なインフォメーションが表示される。
ヨーク型ステアリングホイールは、レーシングカーのような雰囲気を醸し出すと同時に、アエラの共同創業者でありCEOを務める、ハジム・ナダの航空業界への強い情熱を表現。創業者兼COOのサンドロ・アンドレオッティもまた空を愛するパイロットであり、ふたりはアエラに先立ち、ミラノにヨーロッパ最大の屋内垂直型風洞「エアログラビティ(Aero Gravity)」を設立している。
アエラは、2022年10月にこのエレガントな「SUV」を発表、2023年4月には2番目のモデルとなる「サルーン」をワールドプレミアする。どちらのモデルも北米、欧州、中国、湾岸諸国などで販売され、デリバリーは2025年後半から開始される予定となっている。