2台1組「ジャガー Eタイプ」レストアコレクションは7組限定

ジャガー・クラシックがレストアする「Eタイプ」レース初勝利記念車はBluetooth接続でナビを装備

ドロップヘッドクーペとフィックスドヘッドクーペという、2台1組で構成される「Eタイプ ZP コレクション」。
1961年のレース仕様を美しくレストアした「Eタイプ ZP コレクション」。ドロップヘッドクーペ(左)とフィックスドヘッドクーペ(右)の2台で構成される。
ジャガー・クラシックは、ジャガーを象徴する「Eタイプ」のレースにおける初勝利をオマージュした、2台1組で7組限定の「Eタイプ ZP コレクション」を製作する。1961年にグラハム・ヒルとロイ・サルバドーリがステアリングを握り、レースで初優勝を果たしたEタイプからインスピレーションを得た、特別なコレクションとなる。

JAGUAR E-TYPE ZP COLLECTION

1960年代のレーシングカーを現代に再現

ドロップヘッドクーペとフィックスドヘッドクーペという、2台1組で構成される「Eタイプ ZP コレクション」。
「Eタイプ ZP コレクション」は、1961年にグラハム・ヒルとロイ・サルバドーリがステアリングを握ったジャガー Eタイプをイメージし、ジャガー・クラシック・ワークスによりレストアされる。

1961年、レース用に小規模な変更が施されたジャガー Eタイプが、サーキットで初勝利を収めた。それはEタイプが市場に投入されてからわずか1ヵ月後のことだった。「Eタイプ ZP コレクション」は、初優勝したオリジナルのレース車両からインスピレーションを得たカラーリングを採用。ドロップヘッドクーペとフィックスドヘッドクーペの2台1組で構成され、英国コベントリーのジャガー・クラシック・ワークスのエキスパートたちが、レストア作業を担当する。

インスピレーションの源となった2台のレースカーは、それぞれ「ECD 400」と「BUY 1」という登録番号で、1960年代にグラハム・ヒルとロイ・サルバドーリがドライブを担当。「Eタイプ ZP コレクション」の特徴はEタイプが紡いできたレースの伝統を記念した専用ディテールだけでなく、現代的なクルマとしての使いやすさを備えている点にある。

さらに2023年後半、ジャガーの「SVビスポーク」パーソナライゼーションチームは、「Eタイプ ZP コレクション」からインスピレーションを得た限定モデル「Fタイプ ZP エディション」も発表予定だ。このモデルは、5.0リッターV型8気筒スーパーチャージャーエンジンを搭載した最後のジャガーのスポーツカーとなる。

この限定モデルのうち14台は、「Eタイプ ZP コレクション」を購入されたカスタマーへと割り当てられる予定。これにより、今後二度と再現されることのないコレクションが誕生する。ジャガーは、2025年からEV専門ブランドへと変革することを目標に掲げている。

初レースで1位と3位を獲得したEタイプ

ドロップヘッドクーペとフィックスドヘッドクーペという、2台1組で構成される「Eタイプ ZP コレクション」。
発表から1ヵ月後の1961年4月15日にオールトンパーク・トロフィーに参戦した2台のEタイプは、グラハム・ヒルが優勝、ロイ・サルバドーリが3位を得た。

「Eタイプ ZP コレクション」は、Eタイプの歴史における重要なストーリーを称える仕様となり、そのネーミングはレース用に改造を施した7台の初期車両から由来する。

当時のジャガーのチーフデザイナーだったクロード・ベイリーは、量産型Eタイプをジュネーブ・モーターショーで世界初公開した翌日、7台の「ZP」車両のスペックを公表。エンジンは、シリンダーブロックやシリンダーヘッドなどのコンポーネントを変更・強化し、クロスレシオのギアボックスが組み込まれている。

発表からわずか1ヵ月後の1961年4月15日、「ECD 400」と「BUY 1」の登録番号が付けられた2台のEタイプが、GTカーレースのオールトンパーク・トロフィーに参戦。この時、CタイプやDタイプといったジャガーを象徴するモデルによって確立されたモータースポーツのDNAを受け継ぎ、レースにおけるEタイプの栄光の歴史がスタートした。

オールトンパークで優勝したインディゴブルーの「ECD 400」はグラハム・ヒルがステアリングを握り、パールグレーの「BUY 1」はロイ・サルバドーリがドライブして3位を獲得。その後、サルバドーリは1961年5月21日に開催されたクリスタルパレスで勝利を収めた。1961年から1964年にかけて、Eタイプは通算24回の表彰台を獲得している。

ジャガー・クラシックの強いこだわり

「Eタイプ ZP コレクション」の美しいインテリア。
ジャガー・クラシックは、新たな5速MTの採用など、オリジナル車両の完全性を維持しながら、現代の使用にも耐えうるアップデートを施している。

「Eタイプ ZP コレクション」は、1961年から1964年にかけて生産され、3.8リッター直列6気筒エンジンを搭載したEタイプ「シリーズ1」仕様がベースとなる。最高出力268PSを発生するこの3.8リッターエンジンは、日常的な扱いやすさを考慮して、電動クーリングファンや電子イグニッションを備えたアロイラジエーター、光沢仕上げのステンレススチール製エキゾーストシステムが装着される。

5速MTは、すべてのギヤにシンクロメッシュ機構を備え、ヘリカルカットギアと強化鋳造アルミニウムケーシングを採用することで、信頼性と耐久性が向上。クロスレシオによりスムーズな変速が可能になった。このトランスミッションを搭載するために、ボディシェルやその他のコンポーネントの変更は行われていない。

オリジナル車両の完全性を維持することは、ジャガー・クラシックのチームにとって最も重要なポイントとなった。今回、ジャガー・クラシック・ワークスが開発したギヤボックスを搭載することで、ボディのオリジナリティを維持しつつも、カスタマーの利便性が大幅に向上した。

アルマイトアルミニウム製センターコンソールには、英国の彫刻アーティスト「ジョニー“キング・ナード”ダウェル(Johnny “King Nerd” Dowell)」が手掛けたビスポークのパネルを追加。オールトンパークのサーキットレイアウト、ヒルの名言「In a race my car becomes part of me, and I become part of it(レースで車は私の一部となり、私は車の一部となった)」、そして栄光の勝利を象徴する月桂樹の冠(ペアのもう1台と組み合わせるために半分)が描かれている。

また、各車両には、Bluetooth接続、ナビゲーション機能を備えた「ジャガー・クラシック・インフォテインメント・システム」を搭載。すべての車両は、ジャガー・クラシックのエキスパートが約2000時間をかけて作業する。

当時を再現した2個のヘルメットも付属

「Eタイプ ZP コレクション」にはヒルとサルバドーリが使用していたヘルメットのレプリカ仕様が付属される。
「Eタイプ ZP コレクション」にはヒルとサルバドーリが使用していたヘルメットのレプリカ仕様が付属される。

各車両には、当時、ドライバーのヒルとサルバドーリが着用していたヘルメット再現したレプリカ仕様が付属される。1950年代からヘルメットを製造してきた英国の専門メーカー、エバーオークのビル・ヴェロ(Bill Vero)が製造を担当した。

インテリアと同じレザーを使い、ジャガー・クラシックのトリムエキスパートが製作した、テーラード・レザーのヘルメット収納用バッグ、車両ハンドブック用のレザーポーチも提供される。さらに、「ZP」ロゴ入りの専用車両カバーと、トランクフロアの下に収納できる特注のジャッキ(専用の収納バッグ付き)も付属する。

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