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抽選で選ばれた400名がキャンプに参加
2010年代に耐久レースに本格復帰して以来、ポルシェはル・マン24時間レースにおける社員向けキャンペーンを実施。フランスのサルト・サーキットのインフィールドに「ポルシェ従業員キャンプ」を設置し、従業員を招待している。
多くのキャンピングカーで賑わう「ポルシェ従業員キャンプ」は、ここ数年ですっかりル・マンの風物詩となっている。ここでは世界最高峰のレースを目の前で堪能しながら、他ではけして味わえない初夏のパーティーを満喫できるからだ。
2023年のキャンプに参加できるのはわずか400人。抽選で当選者が選ばれるシステムが導入されている。今年は、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが総合優勝を狙って、初めて「963」を投入しただけに、応募が殺到することになった。このイベントを仕切る取締役会の人事・社会担当アシスタントのリヒャルト・シュラムは、今年が例年以上に人気を集めたことを明かしている。
「4月に抽選を行いましたが、今年は凄まじい人気を集めました。ポルシェ創業75周年記念のル・マンに行けるという、またとないチャンスだったからです。なんと1200名以上の応募がありました。当選された方は、ご友人やパートナーをお連れいただくことができます」
ル・マン100周年を記念した様々なイベントを実施
サルト・サーキットは、ドイツ・シュトゥットガルトからクルマで9時間の距離。レース前日の木曜日、バーデン・ヴュルテンベルク州東に位置するハイウェイには、キャンピングカーやモーターホーム、ケイマンや911、実用性の高いフル電動モデルのタイカン スポーツツーリスモまで、様々なポルシェが集結することになった。
「ポルシェ従業員キャンプ」は、予選や決勝をとおして大盛況。旧友との再会や、これから繰り広げられるレースへの期待を語り、新たな友情も芽生えている。
100回目のル・マン開催に合わせて、キャンプでは様々なスペシャルイベントを実施。恒例のバーベキューや音楽ライブに加え、ファクトリードライバーのアンドレ・ロッテラー、デーン・キャメロン、ニック・タンディが会場を訪れ、質疑応答や記念撮影に応じた。
また、ブランドアンバサダーで、かつて919 ハイブリッドでル・マンを走ったマーク・ウェバーによるトークショーも実施。レース中に963が1周するごとに750ユーロを3つのチャリティ団体に寄付する「Racing for Charity」も行われている。
従業員キャンプの雰囲気を堪能したブルーメ
今回、キャンプ場の一角には、ブラックのボディカラーを纏った1台の911ターボSが駐車されていた。
レース当日、朝食をとるために行列に並んでいた従業員たちを出迎えたのは、なんとオリバー・ブルーメ会長だった。ポルシェのCEOであり取締役会会長を務めるブルーメは、レース史に残るこの週末にポルシェ・コミュニティに参加したいと考え、同僚に混じって「ポルシェ従業員キャンプ」で寝泊まりするという素敵なアイデアを思いついたのだ。
55歳のブルーメは妻と共に、911ターボSの上にルーフテントを張って、ふた晩キャンプ。ポルシェ専用イクイップメントとして開発されたルーフテントでの寝泊まりが「とても快適だった」と明かしている。レースウイークはポルシェAGの会長としてのスケジュールが目白押しだったが、それでも仲間たちと過ごす時間を見つけ、レースを観戦し、キャンプ独特の雰囲気を楽しんでいる。
「ポルシェの従業員の皆さんと、実際にポルシェに乗ってキャンプを楽しんだことは、一生忘れられない思い出になるでしょう。そして、ル・マン24時間レースは、ファンが中心にいるからこそ、私たちを惹きつけ続けているのだとあらためて理解できました」