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FIA Formula E
激戦のシーズンを締めくくるロンドン戦
9年目となる今年は、まったく新しい「Gen3」(第3世代)マシンがデビューした。小型軽量でモーター出力も大きく、エネルギー効率も向上して「最速で高効率なEV」に進化した。僅差のバトルがこれまで以上に演じられるようになり、これまでの14レースで7人のドライバーが優勝している。
舞台となるサーキットは、ロンドン東部のテムズ川沿いにある「ドックランズ(Docklands)」と呼ばれるウォーターフロントの再開発地域に設けられる。展示会やファッションイベントなど様々な催し物が行われるエリアで、イベント会場「エクセル(ExCeL)ロンドン」内の通路と周辺道路を結んだコースをFEが疾走する。スタートから暫くはイベント会場内を走行するため、レーシングカーが屋内で競い合う珍しいシーンが楽しめるのもロンドン戦の面白さだ。
最終戦を待たずにドライバーチャンピオンが決まる?
現在のチャンピオンシップランキングは、「アバランチ・アンドレッティ・フォーミュラE」のジェイク・デニスが195ポイントでトップに立っている。24ポイント差で追うのが「エンビジョンレーシング」のニック・キャシディ。これに、「ジャガーTCSレーシング」のミッチ・エバンスと「TAGホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム」のパスカル・ウェーラインが続いている。
FEの決勝レースでは、優勝に25ポイント、2位には18ポイントが与えられ、ファステストラップを記録したドライバーにはさらに1ポイントが追加される。また、ポールポジションにも3ポイントが与えられるため、最大29ポイントを獲得できる。第15戦でデニスが優勝すると、仮にキャシディが2位に入っても最大で22ポイントにとどまるため、最終戦を待たずにデニスのチャンピオンが決まる。
僅差のチームチャンピオン争い
一方、より僅差のチーム王座争いは最終戦までもつれ込むことが予想される。現在トップのエンビジョンと2位のポルシェとの差はわずか14ポイント。さらにジャガー(25点差)とアンドレッティ(35点差)にも逆転のチャンスがある。
今シーズンはパワートレインの戦いも興味深い。エンビジョンとワークスジャガーチームのマシンには、「Jaguar I-Type 6」と呼ばれるユニットが搭載されている。一方ポルシェとアンドレッティは「ポルシェ 99X エレクトリック」パワートレインを使用する。これまでの14レースで、ジャガーとポルシェがそれぞれ6勝を挙げており、それ以外のパワートレインが勝ったのは、第4戦のDSオートモビルと第11戦のマセラティのみ。日産をはじめ、中国のNIO、インドのマヒンドラのユニットを搭載するチームは苦戦を強いられている。
FEの第15戦決勝レースは、7月29日(土)現地時間17時(日本時間・日曜日午前1時)にスタートする。最終戦は、その翌日、同じ時刻にグリーンシグナルが点灯される。