ランボルギーニの最新PHEV「ウルス SE」がデビュー

新型PHEV「ランボルギーニ ウルス SE」がデビュー「最高出力800PSと最大トルク950Nmを発生」

ウルスSEと名付けられた新型は、既存の“S”や“ペルフォルマンテ”と置き換えられ、今後は「唯一のウルス」として販売される。このためパフォーマンス強化は重要テーマで、システム出力は800PS、システムトルクは950Nmを発生。666PSと850Nmだった“S”を大幅に凌ぐ。
ウルスSEと名付けられた新型は、既存の“S”や“ペルフォルマンテ”と置き換えられ、今後は「唯一のウルス」として販売される。このためパフォーマンス強化は重要テーマで、システム出力は800PS、システムトルクは950Nmを発生。666PSと850Nmだった“S”を大幅に凌ぐ。
ランボルギーニにとって新たなカスタマーを獲得し、今や販売台数の半分を占めるウルス。2017年のデビュー以来、大きな変更は行われていなかったが、2024年はPHV化という大きなパワートレインの進化を遂げ、同時にエクステリアもグレードアップが図られた。(GENROQ 2024年6月号より転載・再構成)

LAMBORGHINI Urus SE

最高速度は“S”を7km/h上回る312km/h

システム出力800PSとなるウルスSのパワーウエイトレシオは3.13PS/kg。車両重量は発表されていないが、そこから計算すると約2500kgというところか。
システム出力800PSとなるウルスSのパワーウエイトレシオは3.13PS/kg。車両重量は発表されていないが、そこから計算すると約2500kgというところか。

ランボルギーニ初のSUVとして2017年に誕生したウルスがPHVに生まれ変わった。これは同社の中期計画“ディレッツィオーネ・コル・タウリ”に基づくもので、年内にはウラカンの後継モデルもPHVとなってデビュー。昨年リリースされて納車まで3年待ちとも言われるレヴエルトを含め、これでランボルギーニの全モデルがPHVに刷新されることになる。

ウルスSEと名付けられた新型は、既存の“S”や“ペルフォルマンテ”と置き換えられ、今後は「唯一のウルス」として販売される。このためパフォーマンス強化は重要テーマで、システム出力は800PS、システムトルクは950Nmを発生。666PSと850Nmだった“S”を大幅に凌ぐ。この結果、0-100km/h加速は“S”よりコンマ1秒速い3.4秒、最高速度は“S”を7km/h上回る312km/hに達する。

もっとも、アーキテクチャー的には既存のウルスを最大限、活かす形で開発された。プラットフォームはMLB evoを踏襲。4.0リッターV8ツインターボ・エンジンはシリンダーヘッドこそ新開発されたものの基本的には流用で、192PSと483Nmを生み出すモーターは8速AT内に格納された。エアサスペンションについては特に言及がなかったが、これもウルスS用と同じと考えるのが自然だ。

大幅に見直された駆動系

ただし、駆動系は大幅に見直された。これまではトルセン式センターデフを用いてきたが、ウルスSEでは初めて電子制御式油圧多板クラッチ方式を採用。また、従来はアクティブ・トルクベクタリング方式を用いていたリヤデフも、スリップ率を電子制御できるE-Diffに改められている。なお、ランボルギーニは油圧多板クラッチによるトルク配分をハングオンと呼んでいるが、従来方式から全面的に変更された理由について、チーフ・テクニカル・オフィサーのルーヴェン・モールは次のように説明してくれた。

「トルセンは、前後車軸のスリップ率の差を機械的に検出してロック率を変化させます。したがって、4WDシステムがドライバーの意図を理解して能動的に動作を変えることはできません。一方、ランボルギーニには長年培ってきた予測技術のノウハウがあります。たとえば、コーナーに向けてブレーキングした後、大きなステアリング入力が維持されれば、ドライバーはドリフトを望んでいると判断できます。この場合、リヤのトルク配分を高め、リヤデフのロック率を高めることで、ドリフトのきっかけを作りやすくなります」

つまり、ランボルギーニの4WDシステムは実際にドリフトが起きる前から、ドリフトを起こすための準備を始めていることになる。これが、モールのいうところの予測制御なのだ。ちなみに、4WDシステムやサスペンション、トルクベクタリングなどを統合制御する彼らのアルゴリズムは知的所有権によって保護されているため、ライバルメーカーがこれを使おうとすれば使用許諾権を得なければならないようだ。

デザインも生まれ変わっている。従来型に比べてフロント周りがすっきりとして見えるのは、ボンネットを前方に延長したうえで、ボンネットとフロントグリルの間にあったボディパネルを廃した影響が大きい。さらにフロントグリルは幅広でシンプルな形状に変更して力強いスタンスを生み出している。

ウルスの“シーズン2”始まる

インテリアではダッシュボードをスリムにすると同時に、アルミの加飾を廃してシンプルかつラグジュアリーな雰囲気を生み出した。タッチスクリーンを大型化する一方で、物理式スイッチを残して操作性に留意した点はなかなかの見識だ。

PHV化による重量増を駆動力制御でカバーし、より活発なハンドリングを生み出すコンセプトは大成功を収めたレヴエルトと共通するもの。同じく成功の道を歩み続けてきたウルスの“シーズン2”は、このSEから始まることになりそうだ。

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)
PHOTO/LAMBORGHINI S.p.A.
MAGAZINE/GENROQ 2024年 6月号

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https://www.lamborghini.com/jp-en

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著者プロフィール

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大谷達也

大学卒業後、電機メーカーの研究所にエンジニアとして勤務。1990年に自動車雑誌「CAR GRAPHIC」の編集部員…