BMWの本流であるスポーツサルーンもBEVへ

“i”ブランド初のMモデルも登場! BMW i4のコンサバティブな魅力とは? 【IAAモビリティ レポート】

BMW i4のフロントスタイル
BMW i4のフロントスタイル
いよいよBMWの本流もBEVの時代へ。それが2世代目4シリーズ・グランクーペをベースとするBEVとして生まれたBMW i4である。それは長きにわたって後輪駆動のスポーツサルーンを作り続けてきたBMWらしいもの。初めてiブランドにMパフォーマンスの称号が組み合わされたM50も登場した。

BMW i4

最高出力544psを発揮するBEV版Mモデルもラインナップ

BMW i4のリヤスタイル
BMWの電動パフォーマンスカーを統括する“iブランド”に、新たに4シリーズグランクーペのBEV版「 i4」が加わった。eDrive40とM50のツーラインナップを形成する。

BMW i4は、4シリーズのBEV版である。1、3、5、7と奇数で示されるセダンに対して、そのひとつ上の数字はそれぞれのクーペ(グランクーペ)を示すBMWの定説通り、i4は3シリーズのグランクーペ版である4シリーズ・グランクーペのBEVということ。“i3”は過去に別モデルで使ってしまったから“i4”にしたのかどうかはともあれ、BMWにとって主軸を担う3、4シリーズにも、いよいよ電気自動車の時代が訪れた。

iブランドとして4番目のi4は、iXと同じく、ICEやPHEV、そしてBEVという3種類のパワートレインを搭載できるフレキシブル・アーキテクチャーのもとに成り立つ。いかにも既存のBMWらしいロングノーズ&ショートデッキスタイルを持ち、既存の4シリーズに採用された大型のキドニーグリルも踏襲された。もっともエンジン冷却が不要なことからそこに開口部はなく、カメラやレーダー、センサーなどが内臓される仕組みだ。

専用設計されたバッテリーにより重心はさらに低く設定

BMW i4のパワートレイン
i4 eDrive40は最高出力350ps/最大トルク430Nm、航続可能距離は最大で590km。Mパフォーマンスの称号を得たM50はシステム最高出力544ps/最大トルク795Nmを発生し、最大航続距離は510kmを計上する。

発表されたグレードは2種類。リヤアクスルにのみ電気モーターを備えるeDrive40と、フロントアクスルにも電気モーターを加えたM50だ。既出のBEVの中ではテスラ・モデル3などがライバルになるのだろう。eDrive40は最高出力250kW(350ps)、最大トルク430Nm(43.8kgm)を発揮し、WLTPサイクルでの航続可能距離は最大で590kmに及ぶ。DC(直流)急速充電を使えば、たった10分で約164kmもの走行分を充電できる。

M50になるとフロントに190kW(258ps)、リヤには230kW(313ps)ものモーターを搭載し、システム全体での最高出力400kW(544ps)、最大トルク795Nm(81.0kgm)にまで増大する。まさにMパフォーマンスの称号に相応しいだけの動力性能を持つと言えそうだ。バッテリー自体はeDrive40と同じ83.9kWhの容量であり、M50は出力性能に重きを置いたぶん、航続可能距離がわずかに劣る510kmとなる。このバッテリーはi4用に専用設計されたもので、車両フロアの低い位置に敷き詰められ、かつ全高が110mmに抑えられた。結果として3シリーズセダンよりも最大で53mm重心が低くなり、また車室空間の犠牲も最小限に抑えられた。

フルデジタルスクリーンメーターを採用

BMW i4のダッシュボード
BMWオペレーション8をインストールした14.9インチ&12.6インチのBMWカーブド・ディスプレイ。あくまでドライバーオリエンテッドにこだわるBMWならではの曲面が描かれ、スポーツドライブにも貢献する。

内燃機関時代の伝統的なプロポーションを持つエクステリアと同じく、インテリアも馴染みのあるものだ。おなじみの円形ステアリング、センターコンソールに置かれたシフトノブとiDriveコントローラーなどは既存のBMWそのもの。新鮮なのは14.9インチと12.6インチの曲面スクリーンが連続して置かれるBMWカーブド・ディスプレイである。ここにBMWオペレーション8がインストールされており、最新のADAS(ドライバーアシストシステム)も網羅される。あくまでドライバーが主体でありながら、定められた条件下で自動運転するレベル2+が可能である。M50にはホイールやエアロパーツ、インテリアの装飾品などMパフォーマンス製パーツが多数用意されるのは既存のMモデルと同様だ。

i4は2022年前半からデリバリーが開始される。同時期にデビューしたiXは、そのメカニズムのみならずスタイリングや世界観でも既存の内燃機関とは違う新機軸を描いているのに対して、i4はより保守的に思える。しかし、それは決してネガティブなことではない。後輪駆動のスポーツサルーンを作り続けてきたBMWらしいパッケージングで、旧来の自動車好きを自然とBEVに馴染ませる、橋渡し役的な存在となるかもしれない。

TEXT/中三川大地(Daichi NAKAMIGAWA)
PHOTO/山本佳吾(Keigo YAMAMOTO)

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