【東京オートサロン2024】オートサロン2024注目の“スーパーカー”

今年のオートサロンで注目を集めた“スーパーカー”【東京オートサロン2024】

TCW/OLD&NEW
TCW/OLD&NEW
スーパーカーという言葉は決して、一部のウルトラハイエンドスポーツカーだけのものではない。今年、会場でスポットライトを浴びたこれらのカスタムカーたち、そのすべてを“スーパーカー”だと断言したい。(GENROQ 2024年3月号より転載・再構成)

SUPER CAR

SVR

イヤーモデルのごとく進化するオリジナルフェラーリ

SVR
SVR

SVRのボディワークはいつも理に叶っている。単に奇抜さを追い求めるのではなく、サーキットでのエアロダイナミクス性能を重視し、なおかつモデル固有の方向性もリスペクトする。今回は昨年に発表したSVR-F8R(F8トリブート)の改良版の姿があった。それはまるでフェラーリ限定モデルのような迫力と調和を持つもので、機能最優先かつ「デザインで魅せる美学」を貫く代表、谷 暢之氏の感性と技術を色濃く感じさせるものだった。

J Factory

見た目はクリーンながらモンスターなゴルフ

J Factory

VW/アウディ系チューナーとして活動するジェイファクトリーらしい1台だ。熟成極まる7世代目のゴルフRで「コスパが良くて速くてカッコいい」というシンプルながら難しい課題に取り組んだ。APR DTRターボシステム(タービン交換&ECU)に吸排気、インタークーラーなどのチューニングにより、車検対応のまま最高出力602PSへ。MCSのサスペンションやウェイブトラックのデフなどでその出力性能を効率的に速さへと変える。

HATANO JIDOUSHA

ルノー5ターボの再来か!? フレンチホットハッチ現る

HATANO JIDOUSHA
HATANO JIDOUSHA

欧州車の販売・整備において75年以上の歴史を持つ畑野自動車は、トゥインゴのパッケージに惹かれ、往年のルノー5ターボをオマージュしたモンスターカーをつくり上げた。その名も「C’elavie105」およびそのマキシ。前車は全幅+105mm、後車は片側だけで+105mmという超ワイドボディをまとう。マキシはV6スーパーチャージャーエンジンに換装予定だという。少量生産の可能性を含めて今後の進化が楽しみなプロジェクトだ。

TCW/OLD&NEW

911の歴史を辿り己のセンスと技術を投入

TCW/OLD&NEW

空冷ポルシェ911をベースに外観をナロールックとするのはさして珍しくもないが、全身くまなくフルカーボンボディとなったら誰もが驚く。トーキョーカスタムワークス(TCW)のグループならではの技術力を感じさせる。また、往年の935の姿カタチを水冷ポルシェ(996、997)で再現したOLD&NEWのポルシェもある。ボディメイクからカーボン成型、そしてラッピングにカスタム、チューニングとあらゆる技の融合を可能とするTCWらしい。「唯一無二を具現化する」という彼らのコンセプトを象徴するように、この2台は燦々と輝いていた。

balance it

アウディ専門チューナーの説得力

balance it
balance it

アウディ専門ブランドとしてボディパーツを送り出すバランスイットのフラッグシップといったらR8 V10だろう。精緻でクリーンな造形にスポーティな装いをオントップする、そのデザインセンスと空力哲学を感じさせる。KW製サスペンションにBBS FI-Rなど老舗ブランドで足もとを引き締めているのも特徴だ。まるでユーロコンプリートのような存在感を持つが、構築するその多くがバランスイットを中心とした日本の技術である。

air force japan

スーパーカーに宿るエアサス新時代

air force japan
air force japan

エイムゲインのフルエアロにパワークラフトのエキゾーストシステムなど、TWO7カーメンテナンスがやりきったNSXに、その決め手としてさらに大胆なローフォルムに導いたのがエアフォースサスペンションだ。トランク内に次世代エアサスと謳われる車高調一体型エアバッグ・ボルトオンエアサスキット(スーパーパフォーマンスキット)を備え、足まわりも特別にセッティング。ボタンひとつで地面に着地する個性的なNSXに仕上がった。

NOVITEC Group

ラグジュアリーのその先へ

NOVITEC Group
NOVITEC Group

昨年、東京国際カスタムカーコンテストのインポート部門優秀賞を受賞したのはノビテック-ローマだったが、今年はF8 N-LARGOが鮮やかにブースを彩っていた。世界限定15台のうち1台で、これからもう1台がやってくる予定だとのこと。その奥にはスポーフェック・ゴーストがお目見えしていた。既に完成された魅力を持つクルマたちを高い次元に昇華させるノビテックグループの底力を感じさせる。それぞれ9900万円、8800万円と価格も明記されていた。

Maniwa Sokusai

“クルマで興奮してますか?”

Maniwa Sokusai
Maniwa Sokusai

2023年11月に「真庭速祭」が岡山県真庭市で行われた。伝説のMHヒルクライムのように、日本中のクルマ好きが集まる祭りを創りたいという熱い想いで実現したもの。ブースには岡山のカスタムショップMADLANEが手がけたポルシェ935MLの姿があり、その姿をひと目見ようと大勢の人が詰めかけた。このマシンは前日搬入日に不運な事故で相当なダメージを負ったものの、翌日の開幕までに修復を果たしたという奇跡の1台である。

MCC-Complete

あらゆる方向性を許容する懐の深いプロショップ

MCCコンプリートはいつもやんちゃなカスタムカーを仕立ててくるが、非現実的なショーカーではない。どれもが性能を犠牲にせず、リアルに使い倒せる。今回お目見えしたのはG42型2シリーズと、そしてF56型MINI JCW GP。2シリーズはKW V3の車高調とBBS LM(20インチ)でより走りを研ぎ澄まし、MINI JCW GPはラッピングやエアリフト/PLOOMエアサスなどでちょっぴり遊び心も取り入れた。両車に共通するのはネクストイノベーションのスポイラー。アクリル素材を用いた極薄設計ながら強度や剛性に優れた次世代エアロパーツだ。

AUTOBACS

あのガライヤがBEVで復活!

AUTOBACS
AUTOBACS

日本初にして最大規模のカー用品量販店であるオートバックスが、50周年という節目に推したのはBEVだった。A PITオートバックスブランドでカスタムしたテスラ・モデルYやヒョンデ・アイオニック5が展示されたが、注目はガライヤがBEVとなって復活したこと。2001年に発表されたオリジナルスポーツカーにして一般販売されなかったガライヤが、24年の時を経て壇上に立ったのだ。当時の日産製SR20VEエンジンはモーターとバッテリーに置き換わったが、基本的な姿カタチは不変だ。それでも少しも旧さを感じせず、とても魅力的に映った。

TECHART

992 GT Sportsワールドプレミア

TECHART
TECHART

992型911ターボS カブリオレをベースに仕立てた30台限定のコンプリートカーの第1号車が、ここ東京オートサロンでお披露目された。シートや内装はすべてテックアート本社に送って総張り替えされ、細かなステッチや素材にいたるまで吟味した贅沢な仕様となっている。さらにはタービン交換によって800PSを叩き出すまでに性能アップした。「テクニックとアートの融合」から生まれる作品は今年もあざやかな魅力を放っていた。

TECHART Special Interview

「1 of 1というプレミアムを多くの人へ」

Regional Director Christian Pauketat
Regional Director Christian Pauketat

Regional Director Christian Pauketat

ポルシェのトップチューナーとしての貫禄は今年も健在だった。昨年のオートサロンで取材時に話していた2023年3月発表の特別プロジェクトは無事にリリースされ、世界中から注目を浴びた。その名も「992 GTストリートR フライウエイト」と呼ばれ、従来の992型ターボSから60kgもの軽量化に成功している。彼はこのプロジェクトのリーダー的存在として多くの時間を費やしてきた。だからこそ喜びもひとしおだったのだろう。「この特別なプロジェクトが完成したことは私にとってこの上ない喜びでした。世界にたったひとつのクルマで、しかもすべて手作業でペイントされているなんて本当にかっこいいでしょ!」と、写真を見せながら興奮気味に話してくれた。残念ながら日本では公道走行不可のようだが、本国で試乗したボンドグループのスタッフも本当に驚くほどの速さだったそうだ。今年も新たな発表を3月に控えているとのことでますます目が離せない。

EURO

唯一無二の存在感

EURO
EURO

AMG S63 EパフォーマンスはV8ツインターボエンジンとリヤに搭載した電気モーターによるPHVである。メルセデスのチューニングを得意とするユーロは、この新時代のラグジュアリーサルーンに己のカラーを加えて持ち込んだ。ドイツのホイールメーカーCOR.SPEEDのDEVILLE(デヴィル)を組み合わせるあたりはさすがのセンスだと思う。スポーティとエレガントをミックスして凝縮したかのような1台に仕上がっていた。

BARTBAR

いつの時代も定番のSクラスを再考する

BARTBAR
BARTBAR

メルセデス専門店として35年もの歴史を持つバルトベーアだけに、王道中の王道メイクスを持ってくるだけで存在感がある。W222型のSクラスだ。「ベンツと言えばSクラス」という往年のイメージを持って、それをスマートに現代に表したかのような1台だ。WALDのエアロパーツやオリジナルエキゾースト、ロワリングキット、WALD BM-001ホイールという定番だからこそ、この王道アプローチを次世代に継承していきたいと思えた。

roncraft

公道キングを際立たせる決め手はリップスポイラー

roncraft
roncraft

KW製サスペンションをアジャストしてニュートレイルのKSPモノブロック(前9.0J×21/後12.0J×22)を履きこなし、992型911ターボSをストリート最強のマシンへと誘う。そんなロンクラフトのアプローチに対して、頼れるアイテムがストンピンアークのリップスポイラーだ。インフュージョン(真空)成型がウリの新機軸で、汎用性を持たせてあらゆるクルマへの装着を可能とする。強度、軽量性、そして空力性能も抜群である。

Liberty Walk

世界遺産級のスーパーカーを“自由”にイジって楽しむ

世界中が驚くようなLBワークスのスーパーカーがズラリと並ぶ光景は東京オートサロンの風物詩となった。昨年のフェラーリF40に続き、今年はカウンタックが初お披露目された。世界遺産級のマシンながらフェンダーをカットしてオリジナルデザインのワイドボディへと仕立てる手法はまるで変わらず。その大胆さは世界中を虜にした。もっとも惹かれるのは代表を務める加藤 渉氏のセンスと視点、そして人柄かもしれない。絶え間なく駆けつけるファンや子供たちに対して、彼は常に笑顔で語り合っている。その光景こそが真の風物詩かもしれない。

EURO HABIT

新旧が入り乱れた、ザ・スタンスマシン

EURO HABIT
EURO HABIT

徳島で活動するユーロハビットは、エアリフトパフォーマンスやフィフティーン52、ディリンジャーなど、瑞々しい最新ブランドと、己の確固たる技術を用いて、主にスタンス系のカスタムカーをつくってきた。今年は名門ショップであるムーンテックやニュートレイルホイールとコラボすることで、アストンマーティン・ヴァンテージAMRとE30型BMW M3を並べた。1年以上をかけた隙のないつくり込みには惚れ惚れとさせられてしまった。

MANSORY

華やかなスパイダーに宿るマンソリーイズム

マンソリーのソフトキットを装着し、同ブランドのYT.5ホイール(前21インチ、後22インチ)を装着した強烈なF8スパイダーコンプリートである。ソフトキットとはいっても、バンパー、サイドスカート、ディフューザー、デュアルスポイラーなどで構成されるアグレッシヴな“ハードキット”だ。世界で最も華やかなクルマをつくるというマンソリーのコンセプトを体現したような1台でもある。これが日本に生息していることが素直に嬉しい。

Hashimoto Corp.

最高峰ブランドの共演

G81型M3ツーリングにG87型M2が並び、それを世界最高峰のアフターパーツが取り囲む。橋本コーポレーションのブースは、チューナーやユーザーにとっての情報発信基地だ。彼らは「リアルなコミニュケーションを使って情報を伝えたい」としていつもデモカーや製品を展示する。今年はアクラポヴィッチやCSF、ブレンボなどが強調され、もちろんKWやBBSジャーマニーもあった。それぞれのブランドが魅力的であることはもちろん、それらをブランドミックスさせる術にも長けているのは1世紀以上の歴史を持つ同社ならではの強みだろう。

T’s club/R’s Racing

ユーザーに寄り添ったオリジナルカスタム

T’s club/R’s Racing
T’s club/R’s Racing

車両販売から好みのカスタムまでなんでも相談できるティーズクラブの姿勢が、しっかりと表現されているようなブースである。今年はG82型M4にG80M3と、2台のMモデルを並べつつ、そこにMINIクロスオーバーとアバルト595も寄り添った。KWやアクラポヴィッチに加え、ハーマンやヴォルシュテイナーなどを融合させるのが彼らの得意技だ。なお、ミニを中心に扱うオリジナルブランドであるR’sレーシングの製品も人気だった。

INOZETEK Special Interview

「色で遊ぶ楽しさを日本の皆さんにも知ってもらいたい」

SALES DIRECTOR Greg English
SALES DIRECTOR Greg English

SALES DIRECTOR Greg English

「日本におけるラッピング文化はまだまだこれから成長していくと思います。だからこそこの文化を、ファッションの延長線にあるものとして皆さんが楽しんでくれるように広めていきたい。バラエティ豊かな新色を年に何種類も発表するのはそのためでもあります」なぜ毎年そんなに多くの新色を発表するのか? という問いに彼はこう答えてくれた。「クルマを見たらまずどこに目が行くか? 無意識にでも色を見ていますよね。それくらい色って重要なんです。それを塗装で変えるのは大変だけど、ラッピングならもっと気軽に楽しめる。我々は色の裏側にあるストーリーまで考えて新色を決定しています」会場で多くの注目を浴びていたリバティーウォークのF40を鮮やかなブルーで彩っていたのは、イノゼテックのフィルムだ。フィルム自体の進化も目覚ましく、もはや塗装と見間違うほど光沢の強い質感が特徴的。「今年は16~20色を複数回にわけて発表しますのでお楽しみに!」

REPORT/中三川大地(Daichi NAKAMIGAWA)、上之園真以(Mai AGENOSONO)
PHOTO/中島仁菜(Nina NAKAJIMA)
MAGAZINE/GENROQ 2024年3月号

NISSAN GT-R NISMO(MY24)

世界の注目を集める日産GT-Rの様々なチューニングを紹介【東京オートサロン2024】

まるで演歌みたいにドメスティックな存在だったスカイラインGT-Rが、R35 GT-Rとなって…

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